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「きのう何食べた?」 よしながふみ
投稿日 : 2008/01/12 16:20
投稿者 久保田r
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2007年11月22日 (株)講談社 モーニングKC

 2007年「モーニング」12号、16号、20号、26号、30号、39号、43号、47号掲載分収録。

 同棲中の「どっちかと言えばネコ」ぐらいの弁護士・筧史朗と、タチの美容師・矢吹賢二のゲイ・カップルの食生活を描いているコミック。ゲイ・カップルなので当然男性同士のカップルなのだが、筧史朗が料理上手なので外食は登場せず、家のキッチンでこまごまと主菜、副菜を含め材料から完成までの何品ものおかずを作る手順が描写されている。筧史朗は、2パック300円のいちごを買って来ていちごジャムを作ってしまうほどの料理好き。

 単なる料理漫画と違うところは、筧史朗の弁護士の仕事振りや、同棲相手の矢吹賢二の美容師としての仕事振り、それぞれの仕事仲間、心底では息子がゲイなのを認められない筧史朗の両親、近所に住む主婦の料理友達、昔付き合っていた相手などなどが登場し、これらの登場人物との絡みが料理とほぼ同じ比重で楽しく描かれているので、料理の部分を軽く読み飛ばしても十分に楽しめる作品となっている。

 作者は、かなりの料理(食べ物)好きで、「愛がなくても喰ってゆけます。」というタイトルのコミックで作者の選んだ飲食店紹介をしているほど、漫画家の他にグルメリポーターのような仕事もしている。以前から色々な作品の中で料理上手な男性が度々登場しては、様々な料理を披露していたので、作者の料理に賭ける愛情はそこはかとなく深くかつ精通している。当作品は、”ゲイ・カップル”と”料理”という一見違和感のある組み合わせをユニークにバランスよく描いているので、作者がこれまでに積んで来た経験が上手く活かされている。ドロっとした恋愛模様は一切描かれていないので、ノンケの男性にも女性にも腐女子にも楽しく読むことのできる作品。そして、料理と深い関係のある主婦・主夫にもおすすめ。

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第12巻
投稿日 : 2016/12/01(Thu) 15:20
投稿者 久保田r
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2016年10月21日 (株)講談社 モーニングKC 

2016年4・5合併号、9号、13号、17号、26号、30号、34号、38号掲載分

 表紙がダークなイメージとなっていて、まるでどこかの組事務所にでも討ち入り(?)に行くかのようなビシっと決めたスーツ姿と渋い表情のシロさんとケンジが実にイカス。11巻でこの格好でレストランへ言った際のシロさんの弁を引用すると「どっかの暴力団の幹部とその組の顧問弁護士」の図。だけど、実のところは同棲中の弁護士と美容師のゲイ・カップルという関係で、これは男女のカップルでも言えることだけど、服装と表情で第一印象がガラッと変わるその一例かと。

 さて今回は、シロさんが両親と旅行に行った際にケンジは実家に帰って母と一緒にスキヤキを食べたり、佳代子さん宅で小日向さんとリンゴとベーキングパウダーを使ったマフィンを作ったり、新しく入った事務員がすぐに辞めて落ち込んだ志乃さんがあり合わせのもので丼を作ったり、年下の彼女と別れたタブチくんが余った食材を持ってケンジの所に押しかけて来てパスタと柳川煮風のおかずを作ったり、シロさんと小日向さんがインド料理屋の個室でカレーを食べたり、シロさんとケンジが一緒の夏休み初日に枝豆を茹でて食べたり、新しく入った事務員から教わったさつまいもご飯を作ったりという内容。

 和洋中いろいろな家庭料理が登場しながら進むストーリーの中で特にドッキリだったのは、シロさんと小日向さんが二人きりでインド料理屋の個室でカレーを食べるお話。第6巻で「二人っきりで会わない」とケンジと約束していた経緯がありつつの今回のシチュエーション。ジルベール・ワタルが回鍋肉が原因で家出したことを筧に相談するという流れで実現したようなのだけど、たかが中年男性二人が個室で食事をしているだけでちょっといかがわしいドキドキ感を覚えるのは彼らがゲイだからなのでしょう。悩み事を打ち明けるうちに相談相手に気持ちが傾くというのはよくあることで、個室で手を握り合って目詰め合うシーンは見所。

 今回ホロリと来たのは、ケンジが出張カットを始めたお話。出歩くのが困難なおばあさんの所へ出向いてカットした後日おばあさんが亡くなり、遺影に先日カットした時の写真が使われていたというエピソードがとても良かった。いつも様々な人生経験を味わわせてくれるが、今回のは真っ直ぐに心に響いた。自分もこういう仕事のできる人間になりたいと思ったエピソードだった。

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第11巻
投稿日 : 2016/11/25(Fri) 14:43
投稿者 久保田r
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2015年11月20日 (株)講談社 モーニングKC 

2015年13号、17号、26号、30号、34号、39号、43号、47号掲載分

 シロさん(弁護士)とケンジ(美容師)のゲイ・カップルが主人公の家庭料理漫画の第11巻。今回は、蒸し料理を作ったり、大勢で行く花見料理に挑戦したり、結婚した事務の志乃さんの新婚手料理があったり、レバニラを作ったり、煮魚を作ったり、ケンジが後輩のタブチくん家でお好み焼きを作ったり、ケンジが家でクラムチャウダーを作ったり、シロさんが実家で母からシフォンケーキを習ったりという内容。

 どれも家で作れるメニューばかりなのが特長で、美味しく食べるための一手間を楽しく分かりやすく説明しているのがポイント。そして料理の説明ばかりではなく、きちんと登場人物のストーリーも描かれてあるので、料理と食事を通して人間関係をも味わえる読み応えありのシリーズ。

 シリーズも長期化して来ると楽しみになるのは主人公を囲む脇役たちの暮らしぶりで、新婚の志乃さんの家でのオフの格好は年相応の可愛さだし、加えてダンナさんも太ってはいるけど男前だし、佳代子さんファミリーと小日向・ワタルくんカップルは相変わらずの陽気さだし、ケンジの勤める美容室の後輩のスキャンダル大好きタブチくんは若さゆえの危なっかしさが持ち味だし、シロさんの両親はごくごく普通の年配夫婦という雰囲気がいい味。一見普通の人に見える脇役たちのそれぞれの個性に囲まれて、中心にゲイ・カップルのシロさんとケンジがいるという構図。

 ゲイ・カップルと言っても中年なので、色恋ネタがほとんどないのもいいところ。その上、男性二人暮らしの食生活と言ってもガッツリ肉系ばかりではなく、健康を考えた野菜中心のメニューとなっているので一般的な家庭料理そのもの。実践しやすいメニューばかりなのが好印象です。

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第10巻
投稿日 : 2016/10/31(Mon) 16:02
投稿者 久保田r
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2015年6月23日 (株)講談社 モーニングKC 

2014年26号、30号、34号、39号、43号、52号、2015年2・3合併号、9号掲載分

 同棲中のシロさんとケンジが主人公のおうちごはん漫画の第10巻。シロさんの手料理を中心に、料理仲間の佳代子さんのおうちで昼食を手伝ったり、肺ガンの手術で入院したお母さんの代わりにお父さんの世話をしに実家に通ったり、忙しいシロさんに代わってケンジが料理を作ったり、シロさんの勤める弁護士事務所の事務の志乃さんの婚約発表があったり、小日向さんとワタルくんを招いてパンケーキ・パーティをしたりといった、今回も盛り沢山の内容。

 本を開いてすぐのお話は、志乃さんの婚約発表。志乃さんの実家は洋食レストランで、シェフであるお父さんの一番弟子の片岡さんと婚約するというお話。事務所で働いている志乃さんはキッチリとした佇まいなのできつめの性格なのかと思いきや、私生活ではわりとほんわかでかわいいタイプ。一度告白してフラれた過去も明かされ、今後の展開が楽しみ。

 シロさんと両親の関係は次のステップへと移り、シロさんはケンジと共に実家へ行くことはなくなったけれども、肺がんの手術をする事になったお母さんと家に一人でいるお父さんを案じて足しげく通うようになり良好な関係へ。老いた両親との付き合いや距離感を学べるお話。

 そして今回も登場のジルベール・ワタルくんと小日向大ちゃんカップルがいい味を出してます。ホットプレートを買ったシロさん家でパンケーキ・パーティをするというお話で、高級食材を小日向さんが持参し、ワタルくんご要望のリコッタチーズのパンケーキを作るという内容。手間のかかる生地作りの作業中になぜワタルくんがジルベールと呼ばれているのかその理由が判明。意外にもワタルくんと大ちゃんは純愛タイプなのでありました。

 そして今回の大きな変化は、ケンジが髪型を変えたこと。男性の悩み第1位に挙げられる薄毛問題がケンジにも。しかし、さすが美容師、機転の利いた髪型へと変身しております。

 今回登場する料理は、コロッケパン、トマトスープ、タイカレー、えびと春雨のサラダ、おうち焼肉、かれいの甘酢かけ、かぼちゃとベーコンのみそ汁、豚肉のみそ焼き、白菜とホタテのクリームスープ、まぐろの山かけ、のりの吸い物、などなど。

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第9巻
投稿日 : 2015/03/18(Wed) 15:05
投稿者 久保田r
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2014年8月22日 (株)講談社 モーニングKC

2013年34号、39号、47号、52号、2014年2・3合併号、9号、13号、17号

 弁護士の筧史朗(シロさん)と、美容師の矢吹賢二(ケンジ)のゲイ・カップルが織りなすおうちごはん&人生ドラマ漫画の第9巻。登場人物は他にゲイ・カップル仲間の小日向&ワタル(ジルベール)と、シロさんの料理仲間の佳代子さんと、シロさんの弁護士仲間の同期たちと、ケンジの美容室仲間のタブチくんと、シロさんの両親といったところ。

 前回の正月はケンジがシロさんの実家に同行しなかったが、今回はシロさんも実家に帰らずに自宅で二人で正月を迎えるというもの。ゲイであるがために親との距離感に苦労をしているシロさんであるが、男女の夫婦でもお互いの親との距離感は悩めるところで、みんながみんな相手の親に気に入られているとは言えないもの。そういった微妙な人間関係の折り合いの付け方を、おせち料理の作り方と共に描いている。

 シロさんとケンジが住んでいる自宅は、元々シロさんが住んでいたところに後からケンジがやって来た。駅から近いわりに各安な家賃を疑問に思ったケンジがシロさんに理由を尋ねると、意外な答えが返って来てびっくり。なんと事故物件。暑い夏にぴったりな内容に、シロさんの物怖じしない性格をうらやましく思いながらもヒエ〜〜〜な思いを味わえる話。

 さて、今回はジルベールことワタルくんが思いっきりアクの強い個性を発揮していてとっても楽しい。冷蔵庫が壊れたので彼氏の大ちゃんと一緒にシロさんの家に食材を持ってやって来る話では、いつもの不機嫌さと毒舌さを楽しめ、シロさんの誕生日のお話では、最後の最後に強烈な嫌がらせを仕掛けて来る。シロさんとワタルくんのバトルはぜひ今後も続けて欲しいところ。ちなみに冷蔵庫が壊れたお話では、佳代子さんが大活躍。大ちゃんの持って来た高級食材を使ってご馳走メニューを伝授してくれる。

 それにしてもシロさん。50歳になって老眼鏡デビューとは年を取りましたのぉ…。でもお母さんに肺がんの疑いがあって入院するかも知れないし、まだまだ老け込むには早過ぎる。これからもお得でタメになる話を期待しています。

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第8巻
投稿日 : 2014/07/02(Wed) 15:38
投稿者 久保田r
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2013年12月3日 (株)講談社 モーニングKC

 2012年43号、51号、2013年2・3合併号、8号、12号、16号、21・22合併号、28号

 シロさんこと弁護士の筧史朗と、ケンジこと美容師の矢吹賢二のゲイ・カップルによるおうちごはん漫画の8巻目。今回登場するメニューは、カキフライ、かみなりこんにゃく、ほうれん草の梅びたし、おでん、春菊のおひたし、ブラウニー、鶏肉の塩麹ネギ焼き、きんぴらごぼう、大根のみそ汁、しらすと三つ葉の卵とじ、ホタルイカわけぎわかめのぬた、沢煮椀、マーボーもやし、にんじんサラダ、スナップえんどうのゆずこしょうびたしなど。その他に京都旅行の食事や、ケンジの勤める美容室の同僚のタブチくんのおうちごはんが描かれている。

 今回の内容はバラエティに富んでいて、佳代子さんの娘のミチルさんに男の子が生まれて名前をシロさんの名前の史朗から一字取って付けたとか、シロさんが大ファンの女優三谷まみと食事をしたとか、シロさんとケンジが二人きりで京都で贅沢な旅行をしたりとか、バレンタインで二人でブラウニーを作ったりとか、満員電車では必ず両手を上げろとか、ケンジのお父さんが亡くなったりとか、ケンジの同僚のタブチくんの失恋の顛末とかが描かれている。今回はあの個性の強い名脇役(?)のジルベール・ワタルの出番はほとんどないが、その分変化に富んだ日常をたっぷりと堪能できる内容となっている。

 仕事に行っておうちに帰ってごはんを作って食事をするの繰り返しではあるけれど、人との出会いによって生じるドラマがそこかしこに鏤められており、その単調な繰り返しの中で少しずつ時間の経過と共にドラマが進行しているのが実に丁度いい塩梅。シロさんとケンジの暮らしは表向きには何の変化もないが、中味は着実に変化しており、シロさんが少しずつケンジの好みに歩み寄っていたり、お互いの話をきちんと聞くということなどが、ストーリーの中に何気なく描かれてあって読みやすい内容となっている。安定した日常を送る有り難さを感じることのできるホームドラマ漫画。

 それにしても京都旅行が面白過ぎる。現実の幸せについて行けないケンジの慌てっ振りが楽しい。

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第7巻
投稿日 : 2013/01/05 16:27
投稿者 久保田r
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2012年12月3日 (株)講談社 モーニングKC

 2012年2-3合併号、9号、13号、17号、21号、26号、30号、34号掲載分収録。

 弁護士でどっちかというとネコぐらいの筧史朗(通称:シロさん)と、美容師でタチの矢吹賢二(通称:ケンジ)のゲイ・カップルによるおうちごはん漫画の7巻目。一年の内に新刊2冊の発行は初。ちなみに男女逆転の大奥を描いた『大奥』も10月12月とたて続けにに新刊を発行しているため、2012年は稀に見る新刊ラッシュ。10月〜12月放映のドラマ『大奥〜[有功・家光篇]〜』と、そのシリーズ作品の12月劇場公開の『大奥〜[右衛門佐・綱吉篇]〜』に合わせての新刊ラッシュであると思うが、タイトな発行スケジュールにも拘らず内容がいつものようにストーリーがしっかりと進行している中味となっているので、手抜き感は一切なし。時折こういった映像と絡んだプロモーションの際には番外編を収録したり、いつもより少ないページ数での発行という形を見受けたりすることがあるが、今回のよしながさんの作品にいたっては一切そういうことが無くいつも通りに濃い内容のストーリーが収録されているので読み応えはバッチリ。

 第7巻は、クリスマスからスタートし、お正月を経て、佳代子さんの娘さんに子どもが出来た話、ケンジの勤める美容室改装後の話、ジルベール・ワタルのとある一日、筧の勤める弁護士事務所の数年に一度の超多忙な日々の話などなどを収録。

 例年クリスマスは、決まったメニューを作っておうちで二人で過ごすというのが定番となっていたが、今年は何と小日向&ジルベール・ワタルのカップルと一緒に食事をするという展開に。言い出しっぺはジルベール・ワタルで、シロさんとケンジの二人っきりのクリスマスを邪魔しに来るという目的での来訪。シロさんの作ったカロリーオーバーの料理に文句を言いつつたらふく食べるジルベール・ワタルが楽しい。

 お正月は、去年両親と約束した通りシロさんがケンジを連れて実家へ。連れて来いと言ったものの両親は、いざケンジと対面すると困惑気味。場の空気にいたたまれなくなり、シロさんと母親はご飯支度を始め、その間ケンジとお父さんはアルバムを見るという流れに。ケンジがお父さんとの会話の中で、シロさんが子供時代に心の内で思っていても親には言えなかったであろうことを話したシーンがじ〜んと来る。

 そのようにして年が明け、佳代子さんの娘さんが出来ちゃった結婚をすることになったり、ケンジの勤める美容室を改装して出来たエステのスタッフが何と店長の奥さんであったり、買い物帰りにこじゃれたカフェでお茶をしたり、ジルベール・ワタルの仕事はなんとデイトレーダーであったり、シロさんのお母さんの友人が亡くなった後のことや、シロさんの勤める事務所に大ものの仕事が舞い込んで2週間もおうちでご飯が食べられないといった話が描かれている。

 一般市民の暮らしの中にも人それぞれのドラマが展開され、パっと見は地味ながらも人同士の繋がりが自然な形で描かれている。生きることに必要な「食べる」を通して食卓を囲むことの大切さを当たり前のように、そしてその中で起こる日常の小さな変化をエッセンスとして、架空の登場人物たちの息づかいが聞こえて来るような魅力的な作品。
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第6巻
投稿日 : 2012/12/30 16:38
投稿者 久保田r
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2012年5月23日 (株)講談社 モーニングKC

 2011年13号、17号、21号、30号、34号、39号、43号、47号掲載分収録。

 弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二のゲイ・カップルのおうちごはん漫画も6巻目。今回もたくさんの料理が登場し、サバの味噌煮、水餃子、ちんげん菜のごま和え、たけのこごはん、あさりのみそ汁、お刺身サラダ、いかとコンニャクのみそ炒め、卵とキュウリの春雨サラダ、コンビーフオニオントースト、チンジャオロースー、焼きなす、かぼちゃとみょうがのみそ汁、サーロインステーキ、かんたんピクルス、じゃことごぼうのまぜごはんおにぎり、などなど…。

 今回は、前巻で登場したジルベール・ワタルと名前に小さいが付いてる割に大柄な小日向さんカップルとの交流をきっかけに、これまでにあまり触れられて来なかったシロさんとケンジの恋愛模様が描かれているのが特徴。小日向さんのジルベール・ワタルに対する愚痴を聞くという3人の飲み会に参加できなくなったケンジは、自分が行かないとシロさんと小日向さんが二人きりになり、浮気の可能性があるとしてシロさんにも行かないように頼み込む。ケンジを心の内を知ったシロさんは、飲み会をキャンセルする。ケンジは、嫉妬深い思いをぶつけたことを申し訳なく思い「ごめんね」とひたすら謝り続ける。シロさんは、落ち込むケンジのためにケンジの好きな水餃子をたくさん作って喜ばせ、「おいしい。ありがとう。シロさん」とお礼を言ったケンジに、シロさんは「俺も謝り倒されるよりもありがとうって言って貰える方がずっと気分がいい。だからもう謝らなくていい」と言って二人の仲は元通り。というお話。

 他にも4人の飲み会でジルベール・ワタルはシロさんの今まで付き合った男性のタイプを聞き出し、次にケンジの好みのタイプを聞き出して、ケンジはシロさんが自分の好みのシティーハンターの冴羽リョウだと惚気る。シロさんは、ずっとケンジに対して聞けなかった「どうして俺なのか?」の謎が解けてすっきりする。その他にもシロさんは、近所の商店街をケンジと二人で買い物に出かけてその帰りに喫茶店でお茶をしたり、小日向さんの草野球の試合応援のためにお弁当を作って4人で外で食べたりと、だいぶケンジと外交的な行動をするようになった。このちょっとした変化は、ジルベール・ワタル&小日向さんカップルの影響を受けているよう。

 恋愛模様の他にも仕事の話もちゃんと描かれており、裁判員裁判となったホームレスのおじいさんが誤って殺人を起こした裁判は、無罪とはならず懲役9年の実刑という判決に。若先生の落ち込み振りや少し元気のないシロさんの姿に、弁護士の哀愁を感じる話となっている。また、別れたダンナに取られた子どもの様子を月に一回母親と一緒に見守るという仕事からこの度3年越しにようやく解放され、シロさんは大喜び。後妻がいい人で、今後は子どもの様子をビデオレターで送ってくれるということになった。

 描かれてあるのは、せっせとおうちでご飯を手作りする一見地味な日常生活であるけれども、主人公がゲイであるということで、男女のカップルにとってありきたりな浮気問題や、他のカップルとの交流や、ご近所の奥さんとの交流などを楽しく読むことのできる内容となっているのがこの作品の良いところ。浮気問題の後の対処の仕方や、同棲カップルならではの悩みなど、男女間にも共通する事柄が描かれている。日常生活を滞りなく過ごすためのヒントを学ぶことができる作品。
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第5巻
投稿日 : 2012/01/19 16:48
投稿者 久保田r
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2011年9月23日 (株)講談社 モーニングKC

 2010年21/22合併号、30号、34号、39号、43号、47号、2011年4/5合併号、9号掲載分収録。

 今巻の目玉は、何と言っても「ジルベール」。新キャラで登場した二人のうち一人がガチムチ系で、もう一人が「あの」ジルベール。ジルベールと聞いてピン!と来た人は、私と同世代。そうあの麗しのジルベールのこと。でもこの作品は健全青年誌「モーニング」掲載作品なので、そうそうお耽美な流れにはならない。とはいえ、筧のイメージに出て来るジルベールは「あの」ジルベールに似ているのでジルベールを知っている人には楽しめること請け合い。(それにしてもここまでで何回ジルベールと書いたか)

 さて、当作品は、ゲイ・カップルの筧史朗と美容師の矢吹賢二が主役のおうちごはん漫画。この二人は同棲しており、料理担当は、筧史朗。料理が趣味で、職業は弁護士という人物。弁護士のお固い仕事のことにも触れながら、近所に住む料理仲間の主婦の佳代子さんとの交流や、近所のスーパーのレジ担当の店員とのバトル(?)、年末年始に過ごす実家でのこと、そして新キャラであるガチムチ&ジルベールカップルとのことなどなど、様々な人との触れ合いの日々の中で暮らす筧&矢吹家の家庭料理が描かれている。

 今巻のもう一つの目玉は、矢吹賢二の家族関係が明かされたこと。前巻までの筧のイメージの中では、賢二の両親は戦前生まれのゲイのことなど到底理解できないような古風な感じであったが、今回明かされた内容を見ると、およそ真逆な破天荒な家族関係。とはいえ、母親や二人の姉の性格などの詳しい部分がまだ描かれていないのでそれは今後のお楽しみ。

 そしてもう一つ忘れてならないのが、恋愛体質でない筧史朗が、賢二の誕生日におそろいの指輪を買ったこと。あのドケチな筧が、なんと1コ69,000円もする指輪を購入した。このお話は、珍しくゲイっぽさが前面に出ているので、新鮮味があって楽しめる内容。

 今巻で登場する主な家庭料理は、コールスロー、豆ごはん、鶏肉のトマト煮込み、アジのたたき、ピーマンとじゃこのきんぴら、トマトと長芋のみそ汁、夏野菜カレー、アボカドとトマトのわさびじょうゆあえ、豚汁、コーンのバターしょうゆ炒め、ミネストローネ、きのことツナとカブの葉の和風パスタ、バナナパウンドケーキ、トンカツ、切り干し大根の煮物、スパゲティサラダ、豚肉とちくわで八宝菜風、大根とハムとネギのピリ辛サラダ…など。

 それにしても、温和なイメージの筧のお父さんが、突然厳しい父親の顔つきに豹変するのがたまらない。見せ場。
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第4巻
投稿日 : 2011/01/29 17:09
投稿者 久保田r
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2010年10月22日 (株)講談社 モーニングKC

 2009年39号、43号、47号、2010年1号、4/5合併号、9号、13号、17号掲載分収録。

 第4巻は、前巻と同じくふたりの仲がぎくしゃくする話からスタート。40代で同棲中のゲイ・カップル、弁護士の筧士朗と美容師の矢吹賢二は、同じくゲイ・カップルのヨシさんとテツさんと共に外食をする。しかし、筧は、周囲にゲイだと知られることが嫌なタイプで、そんなことを気にする自分に嫌気がさしていたのだが、それを怒っていると捉えた賢二は「(食事に誘って)ごめんね」と謝る。とっさに筧は「何でそこであやまっちゃうんだよ!」と大声を出してしまい、ふたりの間が気まずくなる。だが、仲直りの歩み寄りは賢二から。「シロさんのハンバーグが食べたいな〜。玉ねぎ炒めてないやつ」と夕飯のリクエストをし、筧は、きのこたっぷり煮込みハンバーグを作って無事仲直りとなる。

 ゲイ・カップルのヨシさんとテツさんが筧の手料理を食べに来ることになり、筧は、どんなごちそうを作ろうかとあれこれと考える。ヨシさんは、調味料までオーガニックにしてしまうほどの料理通で、めんつゆや顆粒だしを使った家庭料理を得意としている筧は、試しに寄ってみた高級スーパーの食材を買う勇気がなく断念。いつも通りめんつゆを使った手料理で二人をもてなす。今回、ヨシさんとテツさんが訪れた目的は、養子縁組について。もし今すぐ死んだ場合、テツさんの財産をヨシさんに全部渡すために、養子縁組をしておきたいという考えを筧に伝えるため。外では話しにくい内容のため訪れたのだった。

 話は、主人公である筧の視点で描かれているため、ヨシさんとテツさんのバックボーンについての説明はないが、テツさんの言った「僕が今まで歯をくいしばって稼いできた金です。故郷の両親には、びた一文だって渡したくない」の台詞に、彼らの置かれている状況や環境といったものが表れているように感じた。筧にも複雑な親子関係があり、親と距離を置くことにより大きな波乱もなく生活しているが、一緒に暮らし始めてから一度も実家に帰ったことのない賢二や、親にお金を渡したくないという固い決意をしているテツさんなど、ゲイと親との関係は、良好とはいえないのが実情。また、第4巻では、筧の料理仲間の佳代子さんの娘さんの結婚問題についても触れている。佳代子さんの娘さんのミチルさんは、8年同棲している彼氏がいるが、「もう今さら結婚する理由が見つからないんだよねえ。あたし達子供も欲しくないしさー」という考えの持ち主。定年退職を迎えた佳代子さんのダンナさんが、いきなりミチルさんに「子供をつくれ」と言ったことで、ミチルさんが怒って家を出たところで筧とばったり会う。他にも、筧の勤める事務所の大先生の嫁と姑問題や、賢二の勤める美容室の店長が不倫相手と渋谷を歩いているところを娘に発見された話など、様々な立場の家族間の問題が家庭料理と絡んで描かれている。

 家庭料理=おうちごはんは、その家に暮らす”家族”の幸せのバロメーター。店長の愚痴を聞きながら外で食べるよりも、家で食べる一杯の手作りのお茶漬けに「はーやっぱり家で食べるごはんが一番おいしーよ」とホっとしながら言う賢二の台詞に、その家に暮らす家族としての充実度が表れている。家で料理を作ることと食べること。毎日の当たり前の営みこそ、幸せの見える”カタチ”なのだと思うしだい。

 料理を通して家族関係と人間関係のドラマが描かれている作品。今後も楽しみ。
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第3巻
投稿日 : 2010/03/03 16:06
投稿者 久保田r
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2009年10月23日 (株)講談社 モーニングKC

 2008年48号、52号、2009年4/5合併号、9号、17号、21/22合併号、29号、34号掲載分収録。

 40代半ばの弁護士・筧史朗と同じく40代半ばの美容師・矢吹賢二のゲイ・カップルが主役の家庭料理紹介漫画。料理上手なのは、筧史朗。パソコンで家計簿をつけては余った分をせっせと貯金するほどのやりくり上手で、スーパーに行くとドーパミンが出てテンションが上がる。筧にとってのスーパーでの買い物は「狩り」と同じ。

 今巻は、正月からスタート。年越しに実家に帰りたがらない筧を賢二が諌めるシーンから始まっており、少しだけ二人の仲がぎくしゃくするも、翌日の夕食には筧が賢二の好物のメニューばかりを作り、一緒に暮らす者同士の大人の仲直りの仕方といったシチュエーションが描かれている。

 筧は、賢二の言うことを聞いて実家に帰り、一方、賢二は、大晦日まで働いて一人で年越し。賢二は職場の忘年会を早々に切り上げて帰宅し、年越しそばに「サッポロ一番みそラーメン」を作る。普段は料理は筧に任せっ放しの賢二だが、野菜を切ってワカメを戻し、野菜と豚肉を炒め、バターを入れ、遂には電子レンジで半熟卵まで作ってしまうところを見ると、筧ほどの手際の良さはないけれども中々の料理好きのよう。

 他には、女性研修生の面倒を見ることになった筧の失敗話や、筧の両親が息子からお金を借りる話、料理友だちの佳代子さんとの話、手作りクレープを作る話などを収録。料理は、「野菜たっぷり具だくさん雑煮」「鶏手羽先の水炊き」「れんこんのきんぴら」「かやくごはん」「肉どうふ」「ニラともやしのごまびたし」「鶏肉とアスパラの中華風いため」「うなぎと高菜と卵の混ぜごはん」「揚げナスとトマトのサラダ」etcが登場。この中で「ニラともやしのごまびたし」を実際に作ってみたところ子どもたちに好評で、わが家の定番副菜メニューとなった。

 それにしても「サッポロ一番みそラーメン」を具をたくさん入れて手間暇かけて作っているのも凄いが、自宅でクレープを生地作りからやってしまうなんて物凄いとしか言い様がない。私なんて、”インスタントラーメンは手軽さが一番!”と思っているので、具はワカメぐらいしか入れないし、クレープなんて店で買うものと思い込んでいるので、漫画とはいえ男性がせっせと作っている姿を見て、少々自分が恥ずかしくなってしまった。とはいえ、男性は、何かに凝り始めると専門的なことまで覚える能力が高いので、ここまでのレベルに達するのも当然と言えば当然かも知れない!?次巻では、どんな料理とストーリーが登場するのか楽しみ。
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第2巻
投稿日 : 2009/03/30 17:12
投稿者 久保田r
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200年11月21日 (株)講談社 モーニングKC

 2008年「モーニング」8号、21/22合併号、27号、30号、35号、40号、45号、48号掲載分収録。

 弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二のゲイカップルのおうちご飯紹介漫画。料理上手なのは、弁護士の筧史朗。矢吹賢二は、家の掃除や洗濯物をたたむなど美容師らしい綺麗好きな面はあるが、料理に関しては筧史朗が一手に引き受けている。何しろ筧は、毎日の朝食と晩ご飯を作り、そのうえイチゴジャムや簡単なスイーツまで手作りしてしまうほどの料理好き。料理が筧のストレス発散法。

 第2巻は、クリスマスメニューからスタート。「ほうれん草入りのラザニヤ」「明太子サワークリームディップとバゲット」「鶏肉の香草パン粉焼き」「ツナサラダ」という筧家クリスマス限定メニュー。このメニューは、賢二が筧の部屋で一緒に暮らし始めた初日に作ったメニューで、いわゆる記念すべき特別メニュー(筧は忘れてしまっているらしいが)。この料理紹介の内容に合わせた形で二人の出会いと一緒に暮らし始めたきっかけが描かれている。

 他のメニューをざっと紹介すると、「ぶり大根」「セロリと牛肉のオイスターソース炒め」「なすとピーマンと豚肉のみそ炒め」「かぼちゃ豚肉のカレーうどん」「黒みつミルクかん」「肉じゃが」などなど…副菜を入れるとゆうに20種類以上の料理が登場。その全てを主人公の筧が一話ごとのストーリーの中で料理している。この第2巻は、通常版の他に限定版があり、限定版は特製防水ビニールカバーが付いている。この本を見ながら実際にキッチンで料理が作れるようにという配慮が行き届いている。(私は、どんな料理本でもキッチンで本を開くことに抵抗を感じるので、通常版を購入)(←本音は安いから)

 料理の紹介とシンクロして、少しずつ登場人物のことが明らかに。筧と同じ弁護士事務所で働いている事務の女性が実はハタチそこそこだったり、筧の前カレのことや、賢二の友人関係、筧の父親の病気のことなど。人生と社会生活とが料理と密着して描かれてあり、見た目以上に奥深さが感じられる作品。この作品の主人公カップルはゲイカップルという設定で描かれているが、子供の有無を別として、夫婦を始めとするパートナーとの共同生活の有り様をも読みやすく描いている好い作品。第1巻と同様に男性にも女性にもおすすめ。

 ところで。
 私的には、クリスマスメニューの次の話がお気に入り。筧が、スーパーで安い食材を購入してあれこれとやりくりしては悦に入っている姿が自分とダブって見え、心から共感。78円の底値の厚揚げと88円のニラで2日分のメニューを作るのは、おうちご飯の技。
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