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「きのう何食べた?」
投稿日 : 2019/08/28(Wed) 14:58
投稿者 久保田r
参照先
2019年4月5日 毎週金曜 深夜0時12分スタート テレビ東京系列

原作:よしながふみ
脚本:安達奈緒子
企画監修:神田祐介
監督:中江和仁、野尻克己、片桐健滋
チーフプロデューサー:阿部真士
制作:テレビ東京、松竹
製作著作:「きのう何食べた?」製作委員会
オープニングテーマ:「帰り道」OAU
エンディングテーマ:「iをyou」フレンズ

<出演>
西島秀俊、内野聖陽、マキタスポーツ、磯村勇斗、チャンカワイ、真凛、中村ゆりか、田中美佐子、矢柴俊博、高泉淳子、志賀廣太郎、田山涼成、山本耕史、梶芽衣子
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Re: 「きのう何食べた?」
投稿日 : 2019/08/28(Wed) 15:03
投稿者 久保田r
参照先
 漫画家よしながふみさんの原作をテレビドラマ化した作品。主人公となっているのは、中年のゲイカップル。同棲中の弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二のおうちごはんをメインテーマとしつつ、昨今注目を浴びているLGBTの置かれている社会的状況についても多少触れている。

 原作は現在も連載中で、拙サイトにてコミックレビューを展開させていただいているが、まさかこの作品が映像作品化されるとは思いもよらなかった。一応カップルは登場するものの王道の男女のカップルではなく男性同士のカップルであるし、しかもドラマとして盛り上がりやすい恋愛ドラマではなく、二人が暮らす家の料理、いわゆる家庭料理の過程と食べるシーンを紹介するという地味な内容であるため、一応グルメ漫画のカテゴリーとはいえこのようなマイナーな性格の作品が映像化されることはあり得ないとずっと思っていた。ところが、近年世間を取り巻く社会の環境が変化し、テレビにはオネエタレントが普通に出演し、LGBTが社会的に周知されて来ていることにより機を見るに敏なタイミングで、ある種ホームドラマというテンションでドラマ化され、それが功を奏して脚光を浴びる格好となり成功を収めた。

 演じる配役陣も登場人物の人となりを原作に忠実に沿って演じているため、デフォルメし過ぎず且つ社会からも浮き過ぎない程度のほどよい存在感で演じられており、テレビドラマでありながら、もしかしたら彼らのような立場の人たちは日常的に身の周りにいるのではないかと思える芝居となっていたのも良かった。

 シナリオの配分も巧妙で、1クールにまとめるためのエピソードの選び方と組み立て方が実によかった。原作ファンが見たいと思っているもの(例えばジルベール・ワタル)を効果的に登場させ、彼らなりの悲喜交々を登場人物の性格を通して描くことによって深刻になりがちな彼らの立場をドラマの流れの中で自然と描写していたのがよかった。彼らのような立場であっても社会生活は人並みに送らなくてはならない。そのための心の持ちようが伝わってくる良い配分の構成だったと思う。

 それが身を結んでいたのが最終回。史朗の家へ二人で行くエピソードは、この作品を描く上で外せない重要なポイントであるし、それをどう丁寧に描くかによって作品の後味が天と地ほどの差になる。原作に忠実に沿いながらも、それを演じる俳優の表情が実に絶妙で胸に迫るものがあり、LGBTの人々への微かな希望のみならず様々な問題に直面して苦悩している人々への微かな希望にも繋がっていると思えるほどの良い後味の最終回であった。

 ラストの賢二が史朗の髪を切るシーンは、漫画の初回のオチのシーンを再現している。ドラマではストーリーのラストとなっているため台詞の意味合いが漫画とは変わってはいるが、このラストの映像によって二人が本当に恋人同士でありパートナーであるということがしみじみとよく伝わる良いシーンだった。徐々に引いていくカメラの画が、フレームアウト後の二人の行動を予感させる余韻のある映像となっていて、見ている側が少し照れくさくなりつつも、だけど恋っていいなと思わせてくれる心が温かくなる映像だった。

 演じる俳優にもシナリオにも下手な逃げのない良いドラマだった。稀有な良作。
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