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「ザ・ウェブ・セッションズ1968〜1969」リチャード・ハリス
投稿日 : 2002/06/23 19:56
投稿者 梶原正義
参照先
リチャード・ハリス、この俳優の名前を、映画「ハリー・ポッター」で耳にして、随分懐かしさを感じた。もちろん、リチャード・ハリスと言えば、イギリス演劇界の大ベテラン俳優であり、決して過去の人ではない。しかし、個人的に随分なつかしく思えたのは、彼にはもう一つの経歴があるからである・・・そう、『マッカーサー・パーク』の大ヒットを持つ歌手としての経歴である。
このCDは、その名優と気鋭の作曲家、ジミー・ウェッブとのコラボレーションによるその名曲『マッカーサー・パーク』を収録したデビューアルバム『A Tramp Shining』と2作目のアルバム『The Yard Went On Forever』に最後のシングルとなった”One of The Nicer Things”をカップリングしたものである。ジミー・ウェッブと聴いてピンと来る人は、かなりの洋楽好きでしょう。特に1967〜1969年頃には、フィフス・ディメンションズやグレン・キャンベルの大ヒット曲を作曲し、アート・ガーファンクルのソロ作でのコラボレーションも有名な作曲家であり、自身のアルバムを何枚か発表している。勿論、この『マッカーサー・パーク』も代表作であり、全米2位を記録、そして1978年にはドナー・サマーがカバーして今度は見事全米1位を獲得することになり、皆さんは後者のバージョンなら知っているかもしれません。
この曲は、何と7分26秒もある大作で、正直、時代を感じさせる。ウェッブ自身が、映像的な曲を作ることに長けていたから、それを歌いこなせる歌手として、根っからの芸術家肌のリチャード・ハリスを選んだのはある意味で当然かもしれないが、歌手としての経歴は皆無の彼を選んだことは勇気の要ることだっただろう。さて、このデビュー・アルバムに関していれば、はっきり言えばいわゆるアダルト・コンテンポラリー的でかつオペラチックな作風で、今の若い人が聞くとちょっと辛いかもしれない。しかし、このアルバムは名曲ぞろいであり、一曲目の”Didn't We?”は、フランク・シナトラやエンゲルベルト・フンパーディンクスなど多くの歌手がカバー、”Paper Chase”は、アート・ガーファンクルで有名だし、同名の映画もありましたね。しかし、何と言ってもこのアルバムの目玉は大ヒット曲『マッカーサー・パーク』であろう。ハープシコードのイントロで始まり、静と動が交錯しながら7分以上に渡ってドラマチックに展開する曲とアレンジ、いかにも昔の北の英国を思わせるような自然の風景を描写しながら幻想的な言葉が絡む歌詞、そしてハル・ブレイン、ラリー・ネクテル、ジョー・オズボーンと言ったアメリカ西海岸きっての名セッション・プレイヤーによる完璧な演奏・・・その完璧な舞台の上で”シンガー”リチャード・ハリスは時には、語りかけるかのように、時には嘆き溢れんばかりにハスキーな声で歌い上げ、まさに一大叙事詩が展開する傑作であります。ジミー本人も反省しているように、ちょっと演奏のキーが高すぎ、リチャードの声が演奏に負けてしまう部分もありますが、逆に声に緊張感が出て、このアルバム全体のテンションをピンと張り詰めたものにしています。この曲は、トニー・ベネット、フォー・トップスをはじめとする有名アーチストにジャンルを越えて取り上げられ、遂にはドナー・サマーにより全米No.1を獲得するにまで至る名曲中の名曲となった訳です。最近では、かの小柳ゆきがステージで取り上げるなど、今日まで歌い継がれるスタンダードになっており、一度聴けば「あぁ聴いたことある」と思う人も多いのではないでしょうか?
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続き・・・^^;
投稿日 : 2002/06/23 19:57
投稿者 梶原正義
参照先
残念なことに、次作の『The Yard Went On Forever』は、リチャードを知りすぎたことがかえって仇となり、前作のような緊張感がなく、アレンジもより大げさで芝居がかったものとなり、ヒット曲も出ず、”One of The Nicer Things”のシングルを最後に、二人のコラボレーションも終わりを告げ、それは同時に”シンガー”リチャード・ハリスの終焉をも意味しました。勿論、リチャードは俳優として着実に名声を得、現在に至るわけですが、私としては”シンガー”リチャード・ハリスの印象が強く、それ故”懐かしく”感じたのでした。もし、皆さんも機会がありましたら、彼の別の一面を垣間見てやってください。ある意味、今のアニメ/ゲーム・ミュージックに通じるものがあると思うのは私だけでしょうか?
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