「LOVE MINUS VOICE」 甲斐バンド
投稿日 | : 2008/02/27 18:07 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
1985年7月20日 (株)ファンハウス
(1)ラヴ・マイナス・ゼロ
(2)フェアリー(完全犯罪)
(3)デッド・ライン
(4)キラー・ストリート(※テープのみに収録)
(5)Try
(6)悪夢
(7)冷血(コルド・ブラッド)
(8)夜のスワニー
Re: 「LOVE MINUS VOICE」 甲斐バンド
投稿日 | : 2008/02/27 18:07 |
投稿者 | : 久保田r |
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このアルバムは、様々な切り口を展開している甲斐バンドのアルバムの中でも珍品といえる作品。甲斐よしひろ氏が自らアルバム付属の解説書で「「ラヴ・マイナス・ゼロ」のウラ本。珍品宣言」をしている風変わりなアルバムとなっている。
簡単に説明すると、歌の入っていない「ラヴ・マイナス・ゼロ」のインストゥルメンタル集。”T.V.ミックス”と銘打ってあり、付属の解説書によると「T.Vショー出演の際、日本と違ってほとんど生演奏することのないアメリカで、そのためのオケを指す」という説明があることから、T.V.出演用の音源という意味の音楽。日本的に分かりやすく言うと、”カラオケ”ということになるが、このアルバムは、その一言で片付けられないほどのクォリティの高い音楽が詰め込まれている。
収録曲は、本編「ラヴ・マイナス・ゼロ」より7曲(テープは8曲)を抜粋。曲順も敢えて本編の順番と変えているほどのこだわりで、本編のアルバム・タイトルである「ラヴ・マイナス・ゼロ」を(1)曲目に持って来たことで、ミキシング・エンジニアであるボブ・クリアマウンテン氏の抜群の腕前を鮮明に感じ取れる仕上がりとなっている。また、カラオケとは一線を画していると言えるのが、メロディラインのオーバーダビングを一切行っていないことで、この為にヴォーカルを排した純粋な楽曲とサウンドを楽しめる作りとなっている。
アルバムのタイトルが「ラヴ・マイナス・ゼロ」のパロディーであることが明白なように、このアルバムは、甲斐よしひろ氏言うところの”真剣な遊戯(あそび)”。あくまでもレコードにこだわり、選曲にこだわり、サウンドにこだわった”真剣な遊戯”。当時、発売されたハードボイルド短編集「ラヴ・マイナス・ゼロ」(レビュー→http://chaos-i.com/review/novel/patio.cgi?read=170&ukey=0)と併せるとカセット・ブックのようにもなる、まさに「音楽を読む、物語を聴く」のコピーをなぞっている粋な計らいのアルバムとなっている。
このアルバムは、レコードとテープが発売され、レコードには、今野敏氏による小説「完全犯罪」が特典のブックレットとして付いている。テープには、「キラー・ストリート」が特典収録。また、このアルバムが”真剣な遊戯”であるのを示すように、中にはメンバー出演の写真によるコミックのようなものが付いている。「LOVE MINUS VOICE」のマスター・テープをコンクリの下に埋めたという内容のもので、田中「ダイナマイト使わなきゃ」松藤「マスターごとふっとんだらどうすんの」甲斐「はじめっからレコーディング」大森「やめてよ」…なんていう危険な会話が交わされている。