「海の天使/竹宮惠子イラスト集」 竹宮惠子
投稿日 | : 2008/10/09 16:01 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
1991年11月30日 角川書店
角川書店発行全44巻に及ぶ「竹宮惠子全集」の全表紙のイラストと、「風と木の詩」の番外編48ページ、そして全作品を振り返っての本人インタビューを収録したイラスト集。
「竹宮惠子全集」は、第1期〜3期に分けて発行され、表紙は、それぞれピンク地、黄色地、水色地のカバー色に収録作品の表紙イラストが描かれ(おそらくこれらは描き下ろしだったと思われるのだが)、上中下に3分割したデザインだったのだが、それら全部の表紙イラストが、デザインに左右されずに1枚の絵として順に一挙に収録されている。こうして表紙を見てみると、竹宮さんの作品の豊かさというのがイラストを通じて感じられ、SF、歴史、外国を舞台にしたもの、日本を舞台にしたもの、コメディ、シリアス、長編、短編と…竹宮さんの多岐に渡る才能を窺い知ることができて壮観。漫画家・竹宮惠子の軌跡が描かれている。
「風と木の詩」番外編48ページは、私がこのイラスト集を買う大きな動機となった作品。ジルベールが亡くなってから3年後、セルジュのピアノの演奏会の会場でロスマリネとジュールが再会するドラマが描かれてあり、本編では描かれなかったロスマリネとジュールの幼少時代が描かれてあり、二人の複雑な関係が明らかになっている。ジュールを中心としてストーリーが進んでおり、ジュールの思い描くイメージに登場するジルベールとオーギュがとても綺麗。そして、過去を振り返るばかりではなく、いずれジュールの結婚相手となる女性と、幼い頃に別れて暮らした妹が登場し、ロスマリネがその妹に惹かれるという、過去を乗り越え明るい未来を示す内容となっている。寂寥感を含みつつさらりとした読後感が素晴らしい作品。
本人インタビューは、3ページ。真剣な作品解説ではなく、あとがきのような気楽さのある記事となっている。