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「ちょっと何書いてんのかわかんないです…!!」 富澤たけし
投稿日 : 2012/07/20 14:26
投稿者 久保田r
参照先
2008年11月28日 (株)講談社

 お笑いコンビ、サンドウィッチマンのボケ担当でネタ作り担当…というより金髪じゃない方と言った方が分かりやすいのか…その向かって右側の黒髪の方の富澤たけしさんが書いたエッセイというか主にブログに書いた文章を集めて書籍化した本。

 書いてある内容は、2007年にM-1で優勝するまでに書き綴った文章がメイン。M-1で優勝したことにより多忙な日々を送るようになったため、優勝後のことは周囲の状況の変化や先輩芸人のことについて、そしてM-1での本番直前のことについて記している。巻末にスペシャル・インタビューが3本収録され、そしてあとがきという構成。

 M-1で優勝したということが、サンドウィッチマンの芸人人生にとって最大に匹敵するくらいの大きな転機であったことは確かで、優勝したことは大変喜ばしいことだし、注目度が高くなってテレビで見る機会も増え、暇な時期に書き貯めていた文章をまとめてこうして本にするということにも繋がっているのだけれど、不思議なもので、本に書いてある内容は、M-1で優勝する前の暇な時期に書いたものの方がずっと面白い。

 もともと書籍化の企画があって書き貯めた文章ではなく、富澤さんがブログに書いていた文章を集めただけに過ぎないので、タイトルごとの文章の量はマチマチだし、テーマの一貫性もないしで些か読み難いものの、暇な時期に書いた文章の数々には、富澤さんの頭の中に繰り広げられている「富澤ワールド」が、現実と妄想とが入り混じった自由な状態でバラエティのコントよろしく展開されていて実に面白い。現実に起きたこととして読み始めると、いつの間にか銃弾飛び交うハーボイルドなワールドへと展開していたり、かと思うと長年実家で飼っていた愛猫のことを愛情たっぷりに綴っていたりと、富澤さんの心の内にある色んな表情とイメージに縛られない自由な発想とが、富澤さん自身の言葉と独特のセンスで綴られてあり存分に楽しめる内容。

 本のタイトルは、サンドウィッチマンのネタのボケの決め台詞である「ちょっと何言ってんのかわかんない…」を捩ったもの。ネタ作りをしているだけあって本に書いてある文章にも独自の言葉遣いのセンスがあり、且つ文章の構成もリズムがあって巧み。お笑い芸人らしく…と言っていいのか、下ネタが多く乱暴な言葉もあるが、それらは富澤さんの書く文章の計算のうち。子供の頃から雑誌に投稿して来たという富澤さんの物書きのセンスが味わえる一冊。

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