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「知識ゼロからの西洋絵画史入門」 山田五郎
投稿日 : 2013/01/25 16:04
投稿者 久保田r
参照先
2011年7月15日 幻冬社

<内容>
この本の見方/ギリシャ・ローマ/ビザンティンとロマネスク/ゴシック/初期フランドル派/ルネサンス/北方ルネサンス/マニエリスム/バロック/ロココ/新古典主義/ロマン主義/写実主義/バルビゾン派/印象主義/ポスト印象主義/ナビ派/象徴主義/分離派とアール・ヌーヴォー/フォーヴィスム/キュビスム/ドイツ表現主義/未来派と構成主義/抽象主義/ダダイスム/シュルレアリスム/西洋絵画史を換えた12人の隠れた偉人(ジョット、マサッチョ、アルベルティ、カラヴァッジョ、ゴヤ、ターナー、マネ、セザンヌ、モリス、モロー、ルソー、ロトチェンコ)/西洋絵画史を変えた3つの発明(油絵具、写真、内燃機関(エンジン))

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Re: 「知識ゼロからの西洋絵画史入門」 山田五郎
投稿日 : 2013/01/25 16:06
投稿者 久保田r
参照先
 コラムニストであり美術通である山田五郎さんが案内する「知識ゼロからの西洋絵画史入門」。美術の始まりとされる古代ローマ・ギリシャ美術〜現代美術まで、時代の経過と共に西洋絵画史の大きなムーブメントを多数の絵画と読みやすい文章にて紹介している。

 本のサイズがA5サイズのため絵画を見るにはやや小さいかなと感ずるものの、この本の目的は西洋絵画史の分かりやすい解説であるため、簡潔な言葉で的確にまとめられた文章を読みながらでは十分なサイズかと。有名な作品や重要な作品は大きく掲載し、同じ時代に活躍した画家の作品を併せて掲載しているので時代ごとの絵画の特徴をパっと見ただけで印象をサっと掴むことの出来るという分かりやすい構成となっている。

 解説は、作品紹介のみならず、その作品の生まれた時代的背景についても分かりやすくまとめられてあり、感覚的にではあるけれども芸術面から西洋の歴史についても学ぶことの出来る多方面かつ多趣味な内容となっている。専門的過ぎず、かと言って話の内容が広がり過ぎず、「西洋絵画史」という主軸に沿って知的好奇心を刺激するというコンパクトなまとめは流石の腕前。大昔から現代までというよくある手法の歴史のまとめでありながら現代のテイストを織り込んだ言葉の表現によってどの時代も最初から最後まで興味深く読むことのできる内容となっている。

 西洋絵画の印象をざっくりと一言で表すと宗教画というイメージなのだが、それもその筈、その昔識字率が低い頃に人々に教えを広めるためにキリスト教をモチーフとした絵をたくさん描いたというのが絵画史の証明するところ。また、そこから派生して女性の裸体を描く理由の一つが聖書の場面であるというのも今日まで続く裸体画の歴史として興味深いところ。約千年にも及ぶキリスト教一色の時代に西洋絵画は発展を遂げ、そこへジャポニスム(日本趣味)ブームが訪れ、浮世絵に代表される平面性と鮮やかな色彩が取り込まれ、おおきな時代のうねりと共に変化を続けていく。現代の絵と昔の宗教画とを見比べると、時代ごとの画家の表現の方向性の違いに大きな感動を覚える。もちろん細かい部分にまで目を向けると他にも色々な事柄があるのだろうと思うが、「知識ゼロ」から「西洋絵画史」を知るには、実に魅力的にして飽きの来ない「入門誌」となっている。
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