「ギリシャ・ローマ神話」 ブルフィンチ
投稿日 | : 2013/05/18(Sat) 21:14 |
投稿者 | : Excalibur |
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序文は夏目漱石。凡そ100年ほど前に野上弥生子による最初の翻訳が出て、その後出版社が変わり、訳文に手が入り、という曲折を経て現在も岩波文庫で購入可能というロングセラー(更にトマス・ブルフィンチによる原書の刊行は160年近く前)。
奥付を見ると「1978年8月16日改版第1刷発行」「1986年9月22日第13刷発行」とある。ということは映画『アリオン』を見て「ギリシャ神話を一度きちんとおさらいせにゃ」と思って買ったのだろう。勿論これ以前にギリシャ・ローマ神話の本を全く読んだことがなかった訳ではないのだが、まとめて読んだのはおそらくこれが最初。
ついでながら同じ頃、同じ岩波文庫から出ているアポロドーロス版の『ギリシャ神話』(原型に最も近いと言われている版)や、安彦良和が直接『アリオン』の元ネタにしたと云う新潮文庫の呉茂一『ギリシャ神話』(上・下)、宮崎駿が『風の谷のナウシカ』執筆の切っ掛けとなったとしたというバーナード・エヴスリンの『ギリシャ神話小事典』(現代教養文庫)も読んでいて、図らずも読み比べをしていた。
個人的に岩波文庫の活字が苦手なのと、神々の名前のカタカナ表記に馴染めない部分もあるし、何よりも字が小さく分厚い一冊であることから皆にお薦めとは言わないものの、インドや北欧神話についても簡潔にまとめられていることもあるし、今日でも『タイタンの戦い』、『タイダンの逆襲』、『インモータルズ/神々の戦い』、『マイティ・ソー』など神話を題材にした映画は作られ続けているので、それらをより愉しむための知識を手に入れるには良い本かも知れない。
なお、角川文庫からは別の訳者(大久保博)による版が出ているので、そちらも気になっている。いずれ読み比べをするかも。