1989年12月25日　(株)流行通信社
構成・写真：清水隆俊　テクスト：いとうせいこう

＜モデル＞
太田螢一、戸川純、大沢誉志幸、鈴木祥子、ちわきまゆみ、富田靖子、野沢直子、小林克也、中川比佐子、高野寛、立花ハジメ、いとうせいこう、パール兄弟、大竹まこと、井上誠、甲斐よしひろ、三上博、かの香織、ゴンチチ、エポ、巻上公一、村越弘明、佐野元春、有近真澄、細野晴臣、越美晴

写真集です。
モデルという紹介がないと、何かのオムニバスアルバム？とでも思えるような顔ぶれのポートレート写真集です。ここには一つのコンセプトがあって、モデルたち全員がアジアの民族衣装を着て撮影されています。
巻末の方にカメラマン・清水隆俊さんと細野晴臣さんの対談が載っていて、音楽で世界を股に活躍している細野さんと世界の中の日本のことやアジアとしての日本のことなどを語り合っています。
私はこの写真集を買う時に、「アジアの日本」をどう表現しているんだろう、というこの写真集のテーマをきちんと理解してから買う動機を決めた訳ではなくて、単純にモデルとなったアーティスト達の名前に惹かれて買いました。ですが、この一見相容れないような濃い個性を発揮しているアーティストたちに「アジア人の格好」をさせたこのポートレートにこそ、意味があったのではないかな、と思っています。
撮影場所は全てスタジオで、ポートレート写真は全て白黒写真です。この白黒で撮られたポートレートは、スタジオで作られたライティングの陰影によってのみ表現されていますので、それを見る人の感じ方に負うところが多いです。日本人で、アーティストであるモデル達が「アジア人」として演出された写真。ここから見えてくる何かが「アジアの中の日本」。この写真集は、それを伝えたかったのではないかな、と思った写真集でした。

編集