「アーサー王伝説紀行/神秘の城を求めて」 加藤恭子
投稿日 | : 2003/04/22 22:30 |
投稿者 | : Excalibur |
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アーサー王や円卓の騎士を取り上げた書物はいくつもあるけれども、もっと手軽に読めるものはないかと探しているときに見つけたのがこの一冊。多分、比較的発売間もない頃に読んだはずだ。
アーサー王は実在の人物だったのだろうか? もし実在したのならば、いつの時代、どこの国にいたのだろうか? その問いかけの回答には、未だに決定打と呼べるものはない。突き詰めて行くと、周囲はいつしか「霧」に包まれてしまう。だがアーサー王伝説に魅せられた著者は、英雄の実像を求めその「霧」の中へと入って行く。誕生の地ティンタジェルを皮切に、カムルフォード、ウィンチェスター、ウィンザー、セント・マイケルズ・マウント、カーディフ、グラストンベリ・・・精力的な旅は続く。
アーサー王伝説ゆかりの地への旅行記、プラス、アーサー王物語といった内容で、その土地・場所の紹介に必要に応じて物語を織り交ぜるという構成。著者の旅慣れない様は読んでいて歯がゆい部分もあるし、アーサー王に纏わる伝説の紹介も初心者向けとは言い難いので「手軽に読める」とはいかないが、これから自分も伝説の地へ旅しよう!と思っている人には恰好のトラベルガイドになるかもしれない。
1992.2.15印刷 1992.2.25発行 中公新書