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「ボロミア」(ロード・オブ・ザ・リング)
投稿日 : 2004/03/20 22:20
投稿者 Excalibur
参照先
ゴンドールの執政デネソールの嫡男。故国の危機に指輪の力を求めるが、会議はその棄却を決定。釈然としないながらも旅の仲間となる。だが次第に指輪の魔力に囚われ、ついにはフロドの手からそれを奪おうとし、失敗。これが間接的な引き金となり一行は離散。自らも生命を落とす羽目になってしまう。
原作ではその変心ぶりが些か唐突に見えなくもないが、映画ではカラズラス峠でフロドが落とした指輪を拾う件や、ガラドリエルが忠告を与えるシーンなどでやり過ぎなくらい伏線を張りまくり。一方でホビットたち(特にメリーやピピン)との交流シーンが追加され、ともすれば任務遂行のために非情の決断を下すガンダルフやアラゴルンに対し、再三ホビットたちを庇う優しさも見せてくれるようになった。
自分たちの王になるべき血筋であるアラゴルンに対しても屈折した感情を抱いていたが、やがてその存在を認めていく過程も描かれ、その最期も勇者の名に恥じないものだった。原作ではこのボロミアとの対比で、第2部以降に登場する弟ファラミアをより高潔な人物として描く傾向が強くなっているが、映画ではあくまでボロミアあってのファラミアとして描写している関係上、原作以上に人間的で魅力溢れるキャラクターとなっている。
映画第2部『二つの塔』公開版ではカットされたものの<SEE版>では、ファラミアの回想シーンで登場して良き兄、頼もしき大将ぶりを見せて更に魅力をアップ。第3部『王の帰還』では一作目からの流用シーンのみの出番ながら、エンディングではきちんと出演者として(そして「旅の仲間」の一員として)クレジットされ、第一部から続けて見てきたファンを感動させた。

ただその魅力溢れるキャラクターが、日本語字幕の稚拙さからその魅力を損なってしまったのは真に遺憾な出来事であり、それを含めて「字幕改善要求運動」が起こったのは記憶に新しい。
詳しくはファン諸氏が作成された研究サイトをご覧頂くとして幾つか例を挙げると――

裂け谷の会議にて
「ゴンドールの執政だった父は」
(何故に過去形?ボロミアの父は今もなお健在である)

アラゴルンがゴンドールの王位継承者だと聞かされ
「ゴンドールの王だと?/王など必要ない」
(王位が現在空白なので執政官が治めている。今更「さすらい人」などを王として受け入れられるものか、という部分が欠落してしまっている。)

ロスロリアンでのアラゴルンとの会話
「父は高潔な執政官だ」
(あれ?お父さんは存命ですか?)

同じく
「いつか君と共にあそこへ戻ろう/塔の見張りがこう叫ぶ/"ゴンドールの王"が戻られた!と」
(アラゴルンをボロミアが認めたことを現した台詞だが、「ゴンドールの王」は行きすぎ。これでは誰を指すのかが不明瞭。原語でも「王」という単語は使われていないようだし。)

フロドに詰め寄るボロミア
「俺は自分の種族を守りたい。/指輪を貸せ。」
(「自分の種族」って何?執政の息子であるボロミアが気にしているのはゴンドールの民の行く末。ここは素直に「我が民」だろう。)

ビデオやDVD発売にあたっては幾つかの字幕は変更され、また吹き替え版は字幕版よりも原典を尊重した作りになっているのが救いで、もし公開時の字幕版しか存在しなかったならば、ボロミアは嘘吐きの悪人扱いされてしまうだろう。公開版を見て違和感を覚えた人は、もう一度借りるなりして見直して欲しい。
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