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「太陽の蓋」
投稿日 : 2018/01/24(Wed) 15:12
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:佐藤太
製作:橘民義
プロデューサー:大塚馨
脚本:長谷川隆
撮影:小宮由紀夫
美術:及川一
編集:小林由加子
音楽:ミッキー吉野
VFXプロデューサー:平興史
助監督:廣田啓

<出演>
北村有起哉/袴田吉彦/中村ゆり/郭智博/大西信満/神尾佑/青山草太/菅原大吉/三田村邦彦/菅田俊/井之上隆志/宮地雅子/菜葉菜/阿南健治/伊吹剛、他

2016年
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Re: 「太陽の蓋」
投稿日 : 2018/01/24(Wed) 15:15
投稿者 久保田r
参照先
 2011年3月11日に発生した東日本大震災によって起こった福島第一原子力発電所の事故対応について描いている作品。事実に基づいたフィクション。

 2011年3月11日14時46分、マグニチュード9.0という巨大な地震が発生。その直後、巨大な津波が発生し、岩手県と宮城県の沿岸部に甚大な被害を出す。地震と津波の被害を受けた福島第一原子力発電所では、全ての電源が止まる事故が発生。原子炉を冷やすことができなくなり、政府官邸は対応に追われる。政治部記者の鍋島は、会見内容を聞く傍ら、記者を辞めた横山という男性と連絡を取り、今後起こりうるであろう事態に耳を傾ける。

 時間の流れを記者の鍋島の行動に合わせておくことで見る側に一定のリズムと方向性を保ちながら、政府官邸、鍋島の妻子、福島の避難住民らの描写を交え、震災後5日間の混乱振りを描いている。

 ドキュメンタリー風の作りのため作品に特にこれといった決着はなく、伝えようとしていることは、「風化させないこと」「伝え続けること」の2点であると感じ取った。世界的に見ても前例のない原発事故は、今もなお大勢の避難者を出したままであり、終わることは決してないということを作品は伝えている。

 登場人物の立場それぞれに「やるべきこと」があり、見る側の立場によって親身に感じるシーンがあることと思う。時には目の奥が熱くなるような、悲しみと寂しさと悔しさがない交ぜになった複雑な感情が込み上げることも。この作品は、あの日、日本のどこで震災を体験したかによっても感じ取り方は人それぞれだと思う。

 主人公の鍋島の書いた記事の完成品が一度も登場しない。作品を見た後の印象に残るのは、追求する姿だけだ。一度くらい彼の書き上げた記事を目にしてみたかったが、それすらも見せないのは、彼がまだまだ追求者であり事態の終わりが見えないからであろうか。原発事故は、彼のように一人一人が真剣に向き合うべき問題なのかもしれない…そう感じる主人公の姿であった。
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