「実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン」
投稿日 | : 2001/04/08 03:03 |
投稿者 | : Excalibur |
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1977年〜78年頃からジワジワと盛り上がってきた、俗に<第三次>とよばれるウルトラブーム。これが僅か二年足らずで衰退してしまった原因の一つには、この作品の存在があったのではないか・・・そんな想いにとらわれている。
といってもこの作品自体に非が在るという意味ではない。この作品が公開された、という事実そのものに理由がありそうなのである。
例えば・・・何故ブームにのっかって公開された「ウルトラ映画」の第一弾がこの作品だったのだろうか。続いて製作された『ウルトラマン/怪獣大決戦』はバルタン星人やレッドキングといった人気怪獣の登場するエピソードで構成されているが、何故さして凄い怪獣が出るわけでもない、ウルトラマンも殆ど活躍しない、いわば反主流派のエピソードをセレクトしたこの『実相寺ウルトラマン』が先だったのだろうか。
この作品のエピソードは、何れもはっきり言って子供受けするお話揃いとは言い難く、何らかのインパクトを受ける子供たちより、退屈する子供の方が多いのではないだろうか。それでも公開されたという事実は、ズバリ、対象が幼児ではなく、それを望むヤングアダルト層だった、ということであろう。ウルトラを支える基盤である児童を、敢えて対象から外してるということは、つまりは単なるノスタルジック、新しいものを産み出し継続していこうという姿勢が製作者側にみられず、また現役の観客(=児童)もそれを望んではいない、ということにもなる。
ようするに、かつて子供だった大人の一部がそれを懐かしみ、それを理解できなかった大人が無理矢理自分たちの子供にそれを押しつけた幻のブームだったといえるのではないか?
(1979/4/5 新宿ミラノ座)
作品データ