「ドリヴン」
投稿日 | : 2001/09/29 16:24 |
投稿者 | : Excalibur |
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この夏も色々な話題作が公開されたが、どれか一本!と言われたら、とりあえずコレを推しておく。
予備知識ナシでフラっと映画館に入っても充分に楽しめるシンプルなものだからだ。チームメイトとの友情、ライバルとの葛藤、ラヴ・ストーリーetc、典型的なスポーツを題材にした青春ドラマの構造である。
私はモータースポーツにはトンと関心がない人間だけれども、よっぽど車が嫌いという人でなければまずOKだろう。予告篇やTVスポットでは派手なクラッシュ・シーンが大々的に取り上げられていたけれども、実はメイン・キャラクターは誰も死なない、カラッとした映画なのだ。
主演は自らシナリオも手掛けたシルベスター・スタローン。一度はリタイヤしたベテラン・ドライバーで、今度はすっと脇に廻って若いメンバーを立ててやるという渋い役どころながら、まだまだ熱い面も持っているというキャラクター。ちゃっかりおいしいところを持っていくのは、自作のシナリオだし大スターのお約束だけど、それでもワンマン映画という雰囲気ではない。それは実質的な主人公のキップ・パルデューやライバル役ティル・シュワイガー、ヒロインのエステラ・ウォーレン、それに恩師のバート・レイノルズ(肉体派のレイノルズに、足の不自由なオーナー役を振るという発想も面白い)等々のキャラクターをキッチリ描いているからだろう。むしろスタローンの出番をもっと増やしても良かったかも。別れた奥さんジーナ・ガーションや、その再婚相手で仲間のクリスチャン・デ・ラ・フュエンテとの関係などがわかりにくいからだが、逆に言えばスッキリしたキャラクターに出来なかったということは、完全には脇に廻りきれなかったということになるのかな(苦笑)。
監督はレニー・ハーリン。作ったらぶっ壊せ!の豪快な演出が持ち味の人だ。スタローンとはかつて『クリフハンガー』でコンビを組んで大ヒットを飛ばし、低迷気味だったスタローン復権に貢献した(その後は両者共に失速・・・)。確かスタローンは「もう二度と組みたくない」とかなんとか言ってたような気もするけど、それはきっと私の勘違いなんでしょう・・・?
理屈っぽかったり、感動を強要するような作品には決してならず、今回も派手な画面作りで魅せてくれます。これが他の今夏の大作とは決定的に違うところで、冒頭に述べた通り一本推薦するならこの作品、なわけである。
ただしF1が題材なだけに全篇けたたましい騒音が渦巻いているが、それに輪をかけて途切れることなく音楽ががなり立てていてウルサイことこの上ない。これだけはちょっとカンベンである。
それと、女性ファンならキップ・パルデューのシャイなハンサムぶりは要チェックだろうけど、男性ファンならエステラ・ウォーレンには注目。『猿の惑星』でも紅一点を演じているが、こちらも魅力的だ。
作品データ