「グリンチ」
投稿日 | : 2002/01/03 17:20 |
投稿者 | : Excalibur |
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これ、思わぬ拾い物という感じの一本です。
物語の舞台となっているのは、世界で一番クリスマスを愛する街フーヴィル。
ところが街から離れて一人山に住む、全身緑色の毛で覆われたグリンチだけはクリスマスが大嫌いで、なんとかしてクリスマスを台無しにしてやろう、と悪巧み。
一方フーヴィルの街でも、少女シンディだけはどうしてもクリスマスになじめない。クリスマスの意味ってなんだろう? そして彼女は、街の人が何故グリンチを嫌っているのか、そしてグリンチはどうしてクリスマスが嫌いなのかに興味を持ちだします。
やがて出会ったグリンチとシンディは・・・? ということで大騒動が起こりますが、最後はお決まりの展開でハッピーエンド。異形の存在=グリンチと純真な少女との交流、ということなのでファンタジー扱いされますが、グリンチを偏屈な老人に置きかえると、頑固者の老人が子供とのふれあいの中で変わってゆくというパターンの一変形とも受け取れます。お子様向けと言ってしまえばそれまでですが、<ハートウォーミング・コメディ>として悪くない仕上りでした。
リック・ベイカーが手掛けた特殊メイクに覆われた怪人グリンチを演じるのは、ジム・キャリー。顔なんか誰だかわからない状態なんですけれども、それでもジム・キャリーだとわかる、これは凄いことです。それにシンディ役の女の子テイラー・モンセンも実に愛くるしく、ハリウッドの子役の層の厚さを実感させられます。また演じるのがジム・キャリーだけに、ただの子供向けじゃない毒も含まれており、悪ノリしすぎの部分もありますが、これが作品全体のパワーを上げる結果にもなっております(まぁこの人の過剰演技について行けない人には辛い映画でしょうけれど)。そしてナレーション担当はアンソニー・ホプキンス。渋く締めてくれます。
原作は、<現代のマザーグース>と呼ばれたドクター・スースの絵本『グリンチがどうやってクリスマスを盗んだか』。全米では知らない人がいないくらいの著名作だそうですが、日本じゃ殆ど知られていないようです。そのために全米では『M:I−2』を押えて4週連続No.1ヒットだったこの作品も、残念ながら日本じゃ大コケ。まぁキリスト教圏じゃない日本では元々辛い題材だったかもしれませんが(例えばグリンチの誕生日がクリスマス・イヴに設定されている意味など)、ビデオなどで後で評価されるようになるかも知れませんね。
作品データ