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「今そこにある危機」
投稿日 : 2002/01/24 22:41
投稿者 Excalibur
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大統領の友人ハーディン一家が殺害され、逮捕された犯人が麻薬カルテルの人間であることが判明した。大統領は「麻薬カルテルは合衆国にとって゛今そこにある危機"だ」としてその撲滅を公約する。だが調査を進めるうちに、ジャック・ライアンはハーディンが麻薬カルテルと深い関係を持っていた事実を突き止めた。だがその頃、議会の承認無しに麻薬カルテルを撲滅するべく極秘裏に軍事作戦が発動。それを知らされなかったライアンは、議会で麻薬撲滅の為の資金援助を提案。それは決して軍事行動を伴うものではないと断言するのだったが・・・。
トム・クランシーの小説を映画化した<ジャック・ライアン物>の第3作だが、原作となっている『いま、そこにある危機』は実は『クレムリンの枢機卿(カーディナル)』に続く4作目。この『クレムリン―』にはレッド・オクトーバーの艦長だったラミウスも登場するので、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』以来のハリソン・フォードとショーン・コネリーの共演が期待されたが実現しなかった。
ところで本来この物語の主人公はライアンではなく、映画ではウィレム・デフォーが演じているCIA工作員のジョン・クラークであり、ライアンは表舞台には登場しない重要な脇役とでも言えるポジション。劇中でも描かれているように、病に倒れたグリーア提督を補佐するべくCIA情報担当副長官代行となったライアンは、今度は政争に巻き込まれてゆくことになる(やがて大統領にも就任することに)。代ってクラークの出番が増え遂にはライアン抜きの<クラーク物>まで作られて行くのであるが、この映画版では無理矢理ライアンを物語の中心に据えあまつさえアクション・ヒーローと化してしまったのである。前作『パトリオット・ゲーム』にもかなりの不満の声を漏らしていたクランシーはこの改変に激怒し(元来ハリソン・フォードの起用には反対であったようだ)、興行的には満足すべき結果が得られたもののシリーズは中断の憂き目を見ることになってしまった。個人的には後のシリーズ作品にも登場しているキャラクターを何故か死なせてしまったのも気になっているが、ここまで「改悪」されては中断も致し方ないとも思える。
その後シリーズ復活に向けてクランシーとの調整が計られ(一説にはクランシーは、ライアン役にキアヌ・リーブスを希望したとも伝えられている)、ゲイリー・シニーズを主演にしたスピンオフの<クラーク物>の企画も持ちあがったが(原作を読んでミスター・クラーク役にウィレム・デフォーをイメージする人はおそらく少数だと思うが、ゲイリー・シニーズのクラークもちょっと想像し難い)、ようやっとベン・アフレックを3代目のライアン役に迎えて再開。撮影は終了したものの米同時多発テロの影響で完成が遅れ、ようやく今夏公開される運びである。1作目で米ソの謀略を、2作目でアイルランドの独立運動を、そしてこの3作目では麻薬問題を取り上げるなど同一シリーズでこれだけ幅広い題材を扱ったシリーズも珍しい。次なる作品で何を描くのか、今から公開が楽しみである。
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Re: 「今そこにある危機」
投稿日 : 2009/06/19 12:28
投稿者 久保田r
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 トム・クランシー原作のジャック・ライアンシリーズ第三弾。主人公のジャック・ライアンを演じるハリソン・フォードが、麻薬密売組織と米国大統領との間に挟まれ、祖国のために戦い抜く。

 ジャック・ライアンシリーズとは、本作を含めて「レッド・オクトーバーを追え!」と「パトリオット・ゲーム」の三作を指すのだが、これら全シリーズを見ないと前後の繋がりが不明になるといったようなことはほとんどないので、それぞれが単作で楽しめる仕上がりとなっている。この場合の"ライアンシリーズ"とは、主に原作のことを示していて、映画では本作と「パトリオット・ゲーム」でハリソン・フォードがライアン役を演じているが、「レッド・オクトーバーを追え!」ではアレック・ボールドウィンが演じている。原作ファンにとっては、重要キャラクターであるライアンの扱いのバラつきに残念さを覚えるところだと思うが、単作の映画として割り切って見ると、それなりに楽しめる作品ではないかな…と思う。

 本作のタイトルである「今そこにある危機」とは、友人一家を殺害された米国大統領が、コロンビアにある麻薬密売組織のことを指した言葉で、直接的な指示ではないにしろ、大統領は組織への攻撃を命じる。その事実を知らぬまま捜査を続けていたライアンは、FBI長官と共に組織からの報復攻撃を受け、九死に一生を得るもその後、様々なからくりを知り、単身で事態の打開に奮闘する──。CIAの副長官代行という肩書きのライアンは、前半では知的な人物という印象だが、後半に入ると俄然アクションシーンが多くなり、身のこなしそのものは俊敏ではないにしろ、コロンビアの町中で受けた攻撃では、撃たれた友人を担ぎながら銃撃戦をかいくぐるという意外に力持ちであることを示しているし、捕虜となった兵士を助けに行った敵のアジトでは、銃を持つ相手に殴り掛かり屋根を蹴破りヘリコプターに飛びついてぶら下がるといったアクションを披露している。本作でのライアンは、見かけよりも知力体力共にタフなヒーローとなっている。

 ストーリーそのものは、政治的な思惑が複雑に絡んでいて、はっきり言って人間関係など分かりやすいものではないが、登場人物が多い分だけスリリングを十分に味わえる。ただ、どの役もみんな腹黒いものを抱えていそうなキャスティングとなっていて、一体誰が正しい人物で最終的にこの作品の救いとなるのは一体誰なのかというのが分かり難く、その点が少々不安だった。結果的にクラークが作品の締めとなる人物になるのだが、とはいえ、前半でのクラークの伏線が弱いのと、またライアンとのやりとりがさらっと流れていてどうにも重要人物らしからぬ感じ。その他にも思わせぶりなキャラクターが多く、なかなかに一つの筋に把握するのが難しい設定の幅の広い作品。
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作品データ
投稿日 : 2002/01/24 22:42
投稿者 Excalibur
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監督:フィリップ・ノイス
製作:メイス・ニューフェルド/ロバート・レーメ
脚色:ドナルド・スチュアート/スティーブン・ザイリアン/ジョン・ミリアス
原作:トム・クランシー
音楽:ジェームズ・ホーナー

ハリソン・フォード/ウィレム・デフォー/アン・アーチャー/ジョアキン・デ・アルメイダ
ヘンリー・ツァーニー/ハリス・ユーリン/ドナルド・モファット/ミゲル・サンドバル/ベンジャミン・ブラット
レイモンド・クルツ/ディーン・ジョーンズ/ソーラ・バーチ/ジェームズ・アール・ジョーンズ

1994年
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