「依頼人」
投稿日 | : 2003/06/26 22:16 |
投稿者 | : Excalibur |
参照先 | : |
自殺しようとしていた男から、ある事件にまつわる秘密を聞かされた少年マークは、その口をふさごうとする巨大組織に生命を狙われ、さらに事件を利用して名を高めようとする野心家の連邦検事フォルトリッグとFBIからも追われることになってしまう。そんなマークを、たった一ドルの報酬で守ることを引受けたのは、異色の女性弁護士レジーだった。父親がおらず、母親と幼い弟を守らねばならないマーク。離婚歴があり、愛する子どもたちから引き離された過去を持つレジー。単なる弁護士と依頼人の関係を越え、二人は次第に強い絆で結ばれて行く・・・。
クライマックスからラストから、全て改悪してしまった『ザ・ファーム/法律事務所』、原作の筋を追うだけで精一杯だった『ペリカン文書』に続いて、ジョン・グリシャム作品の3本目の映画化で、適度に映画的アレンジを施すことによって、前二作に比べて格段に面白い作品となった。元々前二作に比べるとこじんまりとしたストーリーだったことも幸いし、トム・クルーズという抜群の配役を生かせなかった『ザ・ファーム』、デンゼル・ワシントンやサム・シェパード、ジョン・リスゴーらを使いこなせなかった『ペリカン文書』と違って、豪華スターの共演ではなくスーザン・サランドン、トミー・リー・ジョーンズといった遅咲きの個性派俳優の競演が、原作ファンにも納得出来る作品作りに繋がった。
シリーズ・キャラクターであるFBI長官デントン・ヴォイルズの出番をカットして、その役回りをフォルトリッグに兼ねさせて(前2作でも扱いは小さいが)背後に動くFBIを排除したことは一見スケールダウンしたようにも思えるが、結果的にフォルトリッグを際立たせることに成功しているし、レジーが子ども専門の弁護士であることをぼかしたことで、レジーのマークへの想いが、会えない自分の子どもたちへのそれを投影したもの、と受け取れる。単純ではあるが感情移入しやく、それがわかりやすさに繋がった。
作品データ