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「えびボクサー」
投稿日 : 2003/08/21 01:48
投稿者 梶原正義
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脚本・監督:マーク・ロック 
プロデューサー:ニック・オへイガン、ヘンリー・ヴァン・モイランド 
製作総指揮:ジョリオン・シモンズ
編集:ピーター・ハリウッド

キャスト:ケヴィン・マクナリー、ペリー・フィッツパトリック、 ルイーズ・マーデンボロー、マドハヴ・シャルマ、 マーク・ベーズリー

2002年度作品/イギリス映画/上映時間:90分
配給:アルバトロス・フィルム
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つづき・・・
投稿日 : 2003/08/21 01:51
投稿者 梶原正義
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単なる人情喜劇といっても、ハッピーエンドではない。むしろ、現実は現実としての結末を用意している。そこが、この作品を陳腐なものにしていないのだ。それだけに、個人的には、感情移入とまではいかないまでも、自分の普段の生活との接点を見出せる・・・現実から逃避させてはくれない中で、少しはリラックスした気持ちをもたせてくれた気がする。さすがは、アルバトロス配給の映画だけはある。
ついでにいうと、この映画のどこが”生物虐待”なのだろうか?もちろん”虐待”に近いシーンはある・・・それはあくまで我々人間のもつ”現実の”一面なのである。それをビルは一蹴してくれもするのだ。もっとも、そのことはこの映画が単なる現実とは無縁の”お笑い”ではないことを示してもくれている。基本は、ドラマであり、喜劇なのだ。このことは”意外や”美しいイントロのテーマ曲からも感じられた。それと、うまいタイミングで挿入される60年代ポップ・ロックのヒット曲も、パブ・ロック風なイギリス風情を掻きたててくれる。Mr.Cのテーマ曲が、トルネードスの”テルスター”というのもなかなかな感じ。人工衛星=宇宙をモチーフにしたこのチープなインストナンバーが、逆にチープな深海の化け物を想像させてくれてナイスである。火星人=タコという、あの安っぽいイメージそのものであります。 
この映画は、むしろ現在のテレビ業界の現実をちょっとだけ皮肉ってみせてもらうところに肝があるのかなという感じ。Mr.BOOの”インベーダー作戦”ほど露骨かつ明快なものはないけどね・・・それが、またいいのだね。それと、どこか英国人から見たジャパニーズ・カルチャー的なスパイスが効いているように感じた。どこまでそれを意図していたかは疑問であるが・・・。
見て損はないと思う。でも、いわゆる辛口映画批評家は見ては行けない。きっと、お門違いの批評が飛び交いそうだ。
でも、1800円という料金はどうかな?・・・幸い、週ごとに特別割引を実施している(エビに関するものを見せれば300円割引!)ので、オフィシャルサイトのニュースを見て、割引の項目をチェックしてから行かれることをオススメいたします。
でも、クドイようだが、決してHPにあるストーリーは読まないこと!もちろん、映画館で売っているパンフレットのストーリーも読まないこと!こんなに最後まで書いてしまってどーする!!
日本でいつしかビデオ化されたり、TV放映されることもあるかもしれない。でも、この映画には下手な吹き替えをしないで欲しい。きっと、くだらない”親父ギャグ”のアドリブだらけにされてしまうだろうから・・・。
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つづき・・・
投稿日 : 2003/08/21 01:52
投稿者 梶原正義
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ギャグも、これといってふんだんに盛りこまれてはいない。”Mr.ビーン”や”オースティン・パワーズ”のようないわゆる英国産スラップスティック(ドタバタ)でもない。かといって、ブラックでもないし、ドライな笑いを追求したものでもない。
かなり淡々とストーリーを中心に時折人生の”おかしみ”を交えて笑わせてくれる。
ストーリーも実に単調、予測可能な展開ばかり。”結局、最後はこういうオチかい!”という典型的なものである。クライマックスもお決まりのパターンだ。かなり汚らしい光景もあるし、大人の世界もたくさん見せられるので、レイト・ショーのみの公開も頷ける。
しかも、実はあらかじめオフィシャル・サイトなどでストーリーが紹介されているものだから、それを頭に入れてから映画を見たのだ・・・こりゃ大失敗!だって、ほとんど最後までストーリーをのせちゃうんだもの!おまけに余計な解釈まで入っていて、違和感も続出!・・・結局、それ以上の展開を期待した私としては、思いっきり裏切られた思いである。
正直、このストーリーなら、もっとテンポよくいろいろアイデアを詰めこめただろうし、もっと丁寧に”Mr.C”と”ビル”の”迷コンビぶり”も書けたと思う。
それにしては、あまりにも淡々とストーリーは進む。”ビル”役はなんといっても、かのケヴィン・マクナリーだし、脇役も無名の俳優も多いが、きちんと演技している・・・本当に真面目にね・・・シリアスな演技するのよ、これが・・・しかし、それがいいんだなぁ・・・。
もしも、私が学生時代に見たら、この映画は”クズ扱い”しただろう。でも、私も若くはない年齢になって、この映画を見終わってみて、何かいい気分にもなれた。
それが、この映画が”お笑い”映画ではなく”喜劇”たる所以でもある。仮に何歳になったとしても、人生で泣き笑いした経験のない人、挫折や失敗を感じたことにない人は、この映画を単なるゲテモノのお遊び以上のものにしか感じられないし、登場人物に感情移入などできないだろう。
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これは”お笑い”映画ではありません。
投稿日 : 2003/08/21 01:54
投稿者 梶原正義
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久し振りに映画館で映画なるものを見ました。それが、この映画というのもスゴイですが(汗)。
生物を虐待しているという理由で動物愛護団体からクレームを受け、各国で上映禁止になり、日本独占公開というある意味”スゴイ”映画なのだそうだ。
将来を嘱望されながらも成功を掴めず、今や冴えないパブのオーナーなかった元ボクサーの親父”ビル”が、ある日仲間のなんでも屋”アミッド”から、2m以上もあるエビ(正確には、カマキリエビつまり”シャコ”・・・イギリス人にとっては、シャコもエビも同じなのだろうな・・・もっとも日本語のタイトルをつける際には”しゃこボクサー”にしようかという話もあったそうだ)を手に入れたから、こいつを相手に”ボクシング”をして一山当てないか?との提案を受ける。ビルは夢を追って、全財産をはたいてこのエビ(シャコ)を購入し、”Mr.C”と名づけ、年下のアマチュアボクサーの”スティーヴ”と彼の恋人”シャズ”と共にテレビ局に売りこむ・・・という話である。
正直な感想を言うと、決して”大爆笑”できるような映画ではない。世間的には、いわゆるB級おバカ映画として逆に深夜放送などで取り上げられているが、そこでの評価とはズレを感じる。私としては、これは”お笑い映画”ではなく、純粋な”コメディ=喜劇”、つまり”トラジェディ=悲劇”と逆の意味での”人生の泣き笑い人情ドラマ”といった感じである。ロイド喜劇に近いテーストといえば良いだろうか?
日本語では”えびボクサー”というタイトルをつけられたがために(原題は”CRUST”=”甲殻類”)、キャラクターだけが一人歩きしてる感があるが、映画では、あくまで主役は夢を追う中年”ビル”なのだ。実際に”Mr.C”の活躍するシーンは極めて少ないから、正直途中で飽きる人が出て当たり前である。Mr.Cはあくまで単なる”甲殻動物”であって、擬人化された要素はまるでない。だから、ほとんどビルの思惑とは裏腹に実に無感情である。
また、この”Mr.C”は、CG全盛のご時世にもかかわらず、いわゆる”ハリボテ”であり、これまたチープ限りない!ただ、この”ショボさ”がある意味で、この映画に合っている。これがCGなら面白み半減だろうな。
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