座頭市
投稿日 | : 2003/09/21 16:02 |
投稿者 | : F20! |
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北野武監督版のこの作品、カンヌで賞を受賞しておりましたが、
賛否両論分かれる所ではないでしょうか?
故勝新太郎氏の『座頭市』を見ていないので新鮮な気分で見ましたが、
それでも時代劇ですね、現代風味あふれるね。
基本的に盲目の剣の達人というのは同じ。
で、たけし映画の特徴ですかな、血が飛ぶ飛ぶ。
でも雨の中のシーンは故黒澤明監督の「七人の侍」のオマージュと監督が言うように、
今のカラー映画で撮るとあんな感じなのかな?と。
それからガダルカナル・タカはコメディ担当というけど、
話の構成上シリアスとコメディの架け橋となる感じで、結構いい味出してます。
最後のタップシーンは、ちょっと気が抜ける。
もう少し殺陣とからめた方が良かったと思うのはワタシだけかしら。
用心棒役の浅野忠信との決闘が最後の盛り上がりと思ったら、
そのウラに潜む悪党が大どんでん返しかな?
でも、目が肥えている人にはそうは思われないかも。
しかし浅野忠信は残念だね、もっと時代劇旺盛時にデビューしていれば、
結構はまり役できたかもしれないのに。
物語は一つの田舎町に、三組の旅人が来る所から始まる。
座頭市と士官をめざす旅浪人(浅野)夫婦、敵討ちを探す旅芸人姉妹というか姉と女装した弟。
その町で幅を利かせるヤクザ一家の用心棒となる浪人と、
そのヤクザが敵とわかりヤクザと対峙する旅芸人姉弟。
そこに町民(タカ)や旅芸人姉弟と知り合ったことで加勢する市。
旅芸人姉弟にかわって敵を討つ市と対峙する用心棒。
その勝負は一瞬。
しかも、まだ敵討ちは終わっていない。
町では町民総出のタップダンスで祭りが始まる。
タップのリズムにのって物語はクライマックスへ。
最後に「目が見えてても、見えねぇものは見えないんだよな」っていうセリフが、
たけしがこの作品を撮る上で言いたかったことではなかったかと思いました。
ところで作中、差別用語出まくりです。
ま、盲目の剣士だから仕方ないけど、これに関して苦情言う人が居るだろうなぁ┐(´ー`)┌
オリンピックが終わったところで
投稿日 | : 2004/08/30 22:59 |
投稿者 | : 結構仮面 |
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オリンピックが終わったところで、北野武の「座頭市」を借りなおして、も一回よく見ました。
カンヌ映画祭で賞をもらったことに日本の映画監督達はたぶん全員腹を立てたんじゃないかな。
この映画がパクリ・パロディーだって日本人なら誰でも知っていて、その上で楽しんでいるだけに、そんな事知らない海外で正面きって認められるとちょっと納得できない気持ちになる映画人が多いのでは。でも本職がお笑いだから真剣に非難しにくい。
ネタ元は
@ ご存知勝新の「座頭市」
A 「七人の侍」「用心棒」(黒澤明)
B 「鬼平犯科帳」(池波正太郎)
C 「剣客商売」(池波正太郎)
タケシの独創は生き延びた商家の子供がオカマになって生計を立てたところくらいってんだからパクリも徹底してる。
狂言回し役の座頭市の特異なキャラは、なんたって勝新太郎が完成させたもの。これそっくりいただき、なんだものね。 おまけにタケシ流のギャグがちりばめられているところが面白いけど、タケシの言葉ではない動作ギャグはこれまたチャップリンのパクリときてる。
でもやっぱこの映画の優れている部分があって、それは幾つかのエピソードの中に心が“しーん”とするような悲しみが滲んでいるところ。
時代劇だけど日本情緒で勝負していない。ここが映画の完成度としてはもっと高いと思われるのに欧米での評価がもうひとつの「寅さんシリーズ」や「たそがれ清兵衛」との違い。
盲目のあんまの振るう仕込み杖で血が飛ぶあざとさで度肝を抜いて、世界共通動作ギャグで笑わせつつ、人間の悲しみを滲ませて芸術的な感興を呼ぶ。やはり大変な芸です。
そうそう、市の目が実は見える、というのもタケシの独創だけど、最後にみせるこの場面なかなか凄みが効いていいよね。ほんと面白い映画だと思う。