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「雨あがる」
投稿日 : 2000/12/17 03:43
投稿者 Excalibur
参照先
黒澤明の遺稿を、所謂黒澤組のスタッフ・キャストで映画化。計らずも音楽担当・佐藤勝の遺作ともなってしまった。原作は黒澤作品と相性の良い山本周五郎。腕は立つが生き方が不器用な浪人者と、その妻の物語。妻は現状に満足しているが、夫はもっと妻の為に良い暮らしをしたいと願う。妻はそんな夫の姿を辛く思うが、夫は妻の気持ちに気付かない・・・。
「見終わって晴々とした気持ちになる様な作品にすること」というのが黒澤の覚え書きだが、悪人が存在しない世界での話であり後味もいいので、概ねその目的は達せられたと言えよう。ただ演技にしろ演出にしろ淡々とした地味な作品という印象は拭えない為に、本来の意味での爽快感やカタルシスとは遠い。
主演の寺尾聡にしても人の良い浪人者の雰囲気は出ているが、主役を張るには貧相である様に思われるし、妻役の宮崎美子も同様である。逆に映画出演は28年ぶりという黒澤ゆかりのスター三船敏郎の長男・三船史郎は、血筋としか言いようのない存在感を見せ、画面を引き締めている。また、仲代達矢や隆大介クラスをちょい役で使えるあたりが巨匠組ならではの贅沢か。
黒澤作品、時代劇大作という期待で見るならば拍子抜けするだろうが、変な先入観無しで見るのであれば納得出来るであろう小品である。してみると「黒澤明監督作品」という冠がとれたことは、作品にとっては幸福だったのかもしれない。
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作品データ
投稿日 : 2002/01/05 17:39
投稿者 Excalibur
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プロデューサー:原 正人/黒澤久雄
原作:山本周五郎
脚本:黒澤 明
監督:小泉尭史
音楽:佐藤 勝

寺尾 聰/宮崎美子/三船史郎
吉岡秀隆/檀 ふみ/井川比佐志
原田美枝子/松村達雄/仲代達矢

2000年
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