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「十戒」 (1956)
投稿日 : 2004/08/30 21:10
投稿者 Excalibur
参照先
何度かTV放映もされているし、ビデオやDVDもリリースされているが、幸い僕は以前に映画館で見る機会があった。スペクタクル作品なだけに是非とも劇場のスクリーンで、との願いが叶った形だったが、一方でこれだけ古い作品を良く劇場に(名画座とはいえ)掛けられたな、と感心した覚えもある。もっとも3時間40分もの長さを、途中休憩もなしで見るのはかなり辛かったのだが。
何せハリウッドの超大作とはいえ、「聖書」の映画化だけにモノは真面目なわけだ。説教臭いわけではないものの、軽い気持ちで見られる代物ではなし。それに僕は「聖書」自体にどうこう言う気はないが、所謂ユダヤ教の「選民思想」にはどうも馴染めない。イスラエルの神の教え、考え方には全く賛同出来ないので何故こうまで独善的で排他的なのか、などなど映画の出来不出来に関係ないレベルでの反発心が頭をもたげてしまうのだ。従ってモーセの側には感情移入が出来ず、そうなるとこの映画は興味半減、魅力半減ということになってしまう。役者もモーセのチャールトン・ヘストンより、ラムセス2世のユル・ブリンナーの方が魅力的だし、あくまでイスラエルの民の立場に自分の身を置かなければ成立し得ないのだ。
逆にエジプト人の立場で見たならばこれはとんでもない悲劇、救いようもないドラマである。訳もわからず子どもは死に、兵士は倒れ、国王の世継もなく、ではあまりに悲しすぎる。
では百歩譲ってそれはおいておくとして、今度は単なるスペクタクル映画として見ようとした場合には、売りのはずの特撮が少し寂しい。有名な紅海が真っ二つに割れるシーンも然り。期待しすぎると肩透かしをくらう。古い作品に対して技術的云々は言っても始まらないが、それでも同じ年にわが国には『空の大怪獣ラドン』があるのだから、単純に比較は出来ないが、要はセンスの問題、見せ方のテクニックということなのだろう。ただ一方で、モブ・シーンの凄さは流石にハリウッドらしさが現れており、大セットの活用もダテに金はかけてない、という黄金期の底力を見せてくれるので一見の価値はあり。
監督はサイレント時代の1923年にも、『十誡』として映画化を果しているセシル・B・デミル。
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作品データ
投稿日 : 2005/01/29 09:56
投稿者 Excalibur
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製作・監督:セシル・B・デミル
脚色:エニアス・マッケンジー/ジェシ・L・ラスキーJr/ジャック・ガリス/フレドリック・M・フランク
音楽:エルマー・バーンスタイン

チャールトン・ヘストン/ユル・ブリンナー/アン・バクスター/エドワード・G・ロビンソン
イボンヌ・デ・カルロ/デブラ・パジェット/ジョン・デレク/サー・セドリック・ハードウィック
ニナ・フォック/マーサ・スコット/ジュディス・アンダーソン/ビンセント・ブライス
ジョン・カラダイン/オリーブ・ディアリング/ダグラス・ダンブリル/フランク・デコーバ

1957年
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