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「鉄人28号」
投稿日 : 2005/03/28 21:02
投稿者 Excalibur
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本来なら一年くらい前に見られたはずなのに、公開が伸び伸びになっていた実写版『鉄人』がようやっと公開。『キャシャーン』『キューティーハニー』『デビルマン』『忍者ハットリくん』ら同時期に発表されていた一連の実写映画化作品の中では一番期待していただけに(思い入れがないからだけど)、お蔵入りしなくて良かった良かった。
でも作品そのものは「良かった良かった」とはとても呼べない代物。正直、”『デビルマン』の再来”などという有り難くない評価を耳にしていたので「思ってたよりは面白いじゃん」と言えなくもないのだけれども、どうにもこうにも的外れ。
だいたい現代を舞台にしちゃったのがペケ。第2次大戦中に開発されたロボットが、今の世の中に存在する意義はどこにあるの?周囲から浮きまくるレトロチックなデザインのロボットがただ殴り合う図なんぞ、ギャグでしかない。ブラックオックスにしたって、イマドキあんなロボット一体で世界を征服しようたぁ、ちゃんちゃら可笑しいやい、てなもん。それに大騒ぎしてる割には警察が右往左往してるだけで、自衛隊はどーした?!とツッコミを入れたくもなる。
登場人物も妙ちきりんな連中だらけで、有無を言わさず主人公を茨の道に引きずり込み、周囲の人間を煙に巻き続ける中村嘉葎雄扮する謎の老人が、まず怪しさ全開。作品のムードをヘンな方向で決定付けてくれる。警察側で動き回ってる(はずの)中澤裕子姐さんは全然キャラが立ってないし、無駄に脚線美を強調してるだけの川原亜矢子は存在感ゼロ。あの髪型と白髪は原作の不乱拳博士を意識したのか?の香川照之と、大塚署長ならぬ大塚課長の柄本明はそれぞれ「私はマンガを演っています!」と声高に主張するも空回り。肝心要の正太郎クンにしてからいじめられっ子の転校生ときたもんだ。しかもクライマックスではそのいじめっ子たちが正太郎クンを応援し出し、そこで友情が芽生えるなんざ、いつの時代のドラマだよって感じ。だから現代じゃなく昭和30年代か、せめて40年代にしておけばもっとシックリきたろうに。なんか小学校の道徳の時間に見た、NHK教育のドラマを思い出してしまった。
映像表現も頑張ってるのはワカル。ワカルんだけど・・・もうちょい何とかならなかったの?ロボットの重量感に非常にこだわった演出をしてるのに、何故か鉄人とブラックオックスからは重量感が感じられないんだなぁ。両者共にツルツルピカピカのボディーで、そこに相手の姿や街並みが映り込むという見せ方へのこだわりも、ボカスカやられても光沢を保ち続けるというリアリティのなさの前にはかえって白ける。便利ではあっても、CGIに頼りきった画面作りは安っぽくなるってことだ。
・・・とここまで書いてきたけど、それでも一連の作品群の中では一番許せる、かな。やっぱり思い入れがない分、寛容になれるというわけで。それにこの作品には一つ、音楽の素晴らしさ、という決定的な要素があることもその理由。アニメ版も手掛けた千住明だけに、スコアを使い回すんじゃないかなという心配をよそに、少年の冒険活劇としては申し分ない曲を書き、映画を救っている。

さて、今度はアニメ版も映画化されるのだが、題名が『鉄人28号/白昼の残月』!!
「はくちゅうのざんげつ」?・・・・・・『ジャイアントロボ』かよ・・・。

          (2005/3/27 ユナイテッド・シネマとしまえん 9番スクリーン)
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作品データ
投稿日 : 2005/03/28 21:03
投稿者 Excalibur
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製作:森隆一/石川富康/早河洋/荒井善清/小林洋輔
企画:遠谷信幸/大月俊倫
エグゼクティブプロデューサー:多木良國/兵頭秀樹/木村純一
プロデューサー:佐倉寛二郎
原作:横山光輝
脚本:斉藤ひろし/山田耕大
音楽:千住明
監督:冨樫森

池松荘亮/蒼井優/香川照之/川原亜矢子/伊武雅刀
中澤裕子/高岡蒼佑/西田尚美/矢沢心/薬師丸ひろ子
田中麗奈/妻夫木聡/阿部寛/柄本明/中村嘉葎雄

2004年
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