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「亡国のイージス」
投稿日 : 2005/07/20 22:52
投稿者 Excalibur
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某国工作員と共謀した副長の宮津により、訓練航海中に自衛隊のイージス艦「いそかぜ」が乗っ取られる。艦内にはアメリカが密かに開発した強力なガス兵器<GUSOH>も持ち込まれていた。幹部を残し乗員を全て退艦させ、全ミサイルの照準を東京へ向けて政府に要求を突きつける実行グループ。最新鋭の防空システムを持つ艦を前に、なすすべもない政府首脳。しかし艦内の構造を誰よりも知る先任伍長の仙石は、「いそかぜ」を取り戻すべく密かに艦内に舞い戻っていた。そしてもう一人、艦内には謎の乗組員・如月行の姿も・・・。
宮津副長が反乱を決意したのは何故か? テロリストたちの真の目的は何か? 如月の正体は? そして仙石は「いそかぜ」を奪還することが出来るのか?

公開は7/30からだが、一足お先に試写会にて拝見。
小説読んだときから「映画になれば面白そうだな」とは思っていたものの、「映画化は無理だろうな」「もし映画化されても、しょぼい映画になっちゃうだろうな」と半ば諦めかけていたのだが、見終わった正直な感想は「よくこれだけの映画にしたなぁ」というものだった。
もちろん不満点は多々ある。例えば仙石役の真田広之は原作イメージからすればミス・キャストだし、宮津副長の寺尾聰は部下に慕われているカリスマ的自衛官には到底見えない。そもそも原作の宮津は艦長なのだが、「艦長自ら反乱を起こすという設定はまずい」ということで副官に変更したらしいのだが、その必然性は皆無。結局決起の前に艦長を殺してしまっているので、よりクーデターの正当性が高まったとはとても思えない。それ以外にも原作を改変した部分は多々あり、登場人物の多さから、その個々の関係や背景は原作未読者には甚だわかり辛いという欠点もある。それに小説を読んでいる時はあまり気にならなかったのだが、映画というフィルターを通して見ると、『ダイ・ハード』というか『ザ・ロック』的というか、意外なほど独創性を感じなかったのもマイナス要因かもしれない。
しかし映画的に見れば真田=仙石は正解であり、宮津=寺尾も結果的にキャラクターの人間性というか悲劇性が高まっているのでプラスに作用していると言って良い。中井貴一、佐藤浩市、そして真田といった同世代の役者陣のぶつかり合い。原田芳雄、岸辺一徳、佐々木勝彦、平泉成、安藤政信、原田美枝子、吉田栄作、谷原章介、真木蔵人クラスを大胆に脇に配する贅沢さ。そして一番の要注目キャラである如月を演じた勝地涼のフレッシュさ。どれも映画的に見ての正解というか、見所になっているのだ。
『ローレライ』、『戦国自衛隊1549』、そして本作と今年は福井晴敏のベストセラー小説の映画化が3本続いたが、個人的にはこの作品が一番納得出来た。日本映画にはなかなかないスケール感を味わうためだけでも、映画館に足を運んでみては如何だろうか。
それにしても数年前には、同工のポリティカル・フィクションである麻生幾のベストセラー『宣戦布告』の映画化が、防衛庁や自衛隊の協力が得られずに中途半端な仕上がりになってしまったのとはエライ違いである。今回は防衛庁と海自、空自の全面協力。時代は変わったということだろうか。

          (2005/7/19 ワーナー・マイカル・シネマズ板橋 9番スクリーン<試写会>)

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Re: 「亡国のイージス」
投稿日 : 2006/11/13 15:44
投稿者 久保田r
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 これは…たぶん…原作を読まないと人間関係の複雑さや映画では説明することが難しかった所々の設定などがわからないかも知れない。この作品にとっぷりと入り込みたいなら、おそらく原作を読んだ方が映画で描こうとした大変な設定をより理解できると思う。それくらい奥が深そうだし、おそらく作品のすべてを映画化するには大変なストーリーなのだと思う。原作を読んでいない私でもそう思ったのだから、原作を読んだ人には複雑な心境になる映画かも知れない。

 表面的な部分の映画化なのか、それとももっと作品の真髄に迫ろうとしての映画化なのか、その辺りも原作を読んでいない私には計りかねたが、とにかく登場人物が多過ぎて、どの人物も主役になり得そうな思わせぶりな演出が多くて、実のところ最後の最後まで焦点を絞って見ることができなかった。要は、主役が多過ぎるという点。おそらくそれもこの映画の狙いの一つだと思うが、主演クラスの俳優が多数出演しているので、ピシッとした大黒柱がなく、多くの太い柱でストーリーが支えられているように感じた。如月を演じた若手俳優の勝地涼を出したいのか、先任伍長という一般的にはあまり耳にしない役職に就いている真田広之を全面的に支えたいのか、それとも某国対日工作員・ヨンファを演じた中井貴一の意外性を押し出したいのか、たぶんそれら全部を見せたいのだなと感じる映画ではあった。それくらいこの映画には注目すべき登場人物がいるし、彼らの役一人一人に重みがある。

 キャスティングは、私的に可もあり不可もあり。それは、これだけの主演クラスの俳優を集めれば誰でもが感じることだと思う。こんなに主演クラスの俳優が揃っている映画は少ないので、キャストを見るだけでも楽しめる映画だとは思う。その中で中井貴一の演じた役は意外性があって良かった。彼のこういう役を見たかった人は多かったと思う。そして真田広之。日本人らしさを出しているキャラクターだったが、自衛官として強いのか弱いのか判然としないところがなんとも。いつも息を切らし足を引きずっていたりしたので、なんか弱いなぁ…という感じを受けたが、戦うおじさんという感じは出ていたのでキャラ的には良かったと思う。

 冒頭のまだ映画の中身がよく分からない時点の映像の方が良かった。後半になると説明不足な映像が次々と出てきて都合の良い展開が続き、やや見ている者を置き去り気味だが、それも作品全体のスピード感を落とさないということでは許容の範囲なのかも知れない。とにかくこの映画は、豪華キャスティングと、防衛庁・海自・空自の全面協力を得た映画として十分に高い話題性を誇る映画だと思う。
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Re: 「亡国のイージス」
投稿日 : 2005/08/02 15:50
投稿者 F20!
参照先 http://homepage3.nifty.com/HiroMacky/999iroha.html
映画の日のはしごシリーズ一本目!...って2本しか見てませんけどf(^ ^;)

車に乗るとき、いつもニッポン放送を聞いているのですが、
局で力を入れているようで、宣伝が凄いんです。
で、キャストにつられて見てきました。

原作を一切読んでいないので、細かな描写に「?」となるところも多々ありました。
テロリストリーダーの写真と女性テロリストの関係とかね。
また、水中での格闘シーンがプール内で撮影したのが分かる漢字なのが残念。

しかし、久々に迫力ある日本映画でしたね。
自衛隊があそこまで協力したのも驚きでした。

やっぱり、本作ほどやらないと迫力ある映画に鳴らないというのを実感させられますね。
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作品データ
投稿日 : 2005/07/20 22:59
投稿者 Excalibur
参照先
製作:坂上直行/久松猛朗/千野毅彦/住田良能
企画:小滝祥平/遠谷信幸
エグゼクティブ・プロデューサー:伊達寛/川城和実/長瀬文男/北川淳一/佐倉寛二郎
原作:福井晴敏
脚本:長谷川康夫/飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
プロデューサー:古川一博/河野聡/伊東森人/内藤和也/椎井友紀子
監督:阪本順治

真田広之/寺尾聰/佐藤浩市/中井貴一
勝地涼/吉田栄作/谷原章介/豊原功補/安藤政信
チェ・ミンソ/岸辺一徳/原田美枝子/原田芳雄
真木蔵人/橋爪淳/三石研/松岡俊介/池内万作/佐川満男
矢島健一/佐々木勝彦/天田俊明/鹿内孝/平泉成

2005年
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