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「仮面ライダー/THE FIRST」
投稿日 : 2005/10/22 09:45
投稿者 Excalibur
参照先
スーパーマン、スパイダーマン、バットマン・・・アメコミのヒーローたちはその長い歴史の中で、何度か自分自身をリセットしてきた。
最近でも大作映画としては5本目になる『バットマン・ビギンズ』では、1作目の『バットマン』とは異なった<誕生編>が描かれ、キャラクターの設定から世界観そのものまで、これまでのシリーズとは一線を隔されている。

翻って我が国のヒーローたちを見ると、ウルトラマンにしろ仮面ライダーにしろ何度か原点回帰が叫ばれたものの、基本的にオリジナルは神聖不可侵の存在でそれに手を加えようとはせず、常に新しいヒーローを付け加えることで存続してきた。
劇場用映画としては最新作となる『ULTRAMAN』では初代『ウルトラマン』の第1話を現代的にアレンジすることが試みられたが、それでもヒーローは初代ウルトラマンとは別個の存在として確立、認知されているし、一度は過去との接点を断ち切ったかに見えた『仮面ライダーBLACK』(仮面ライダー”0号”という位置付け)でさえ、結局は単なる11号ライダーになってしまっている。
過去に一度、『仮面ライダーZO』企画時に主人公を1号ライダー=本郷猛とすることが検討されたことがあったが、この時も1号ライダーを再創造するわけではなく、従来の強化、パワーアップの延長線上の扱いに過ぎなかった。

そんな中で登場したのがこの作品である。
題名に『THE FIRST』とある通り、1号・本郷猛と2号・一文字隼人が堂々と復活を果たしている。
しかも続編や番外編ではなく、シリーズとしては初めてリメイクに挑戦しているのだ。
主人公は改造人間であるという、最近の<平成ライダー>シリーズでは封印されていたタームを持ち出し、敵はショッカー!
 
34年前のテレビ・シリーズのリメイクではなく、同時期に発表されていた原作者・石ノ森章太郎自身の手になるコミック版をベースに再構築したという触れ込みで、改造されて常人以上の力を得てしまった本郷の苦悩、恋人を本郷に殺されたと思い込んでいるヒロイン・緑川あすか(原作版の緑川ルリ子に相当)との複雑な恋愛模様などは、制約のある中でコミック版の要素を巧く取り入れたと言えよう。
また仮面ライダーへの変身も、派手なポーズを取るのではなく仮面を装着するという形なのはコミック版を踏襲したものだ。

だが、1号・2号共にテレビ版初期のデザインをリファインしてコスチュームであり、オープニングでは懐かしい「レッツゴー!ライダーキック」も流れ、1971年の気分も味合せてくれるのは嬉しい配慮だ。
<デジタル出演>と銘打って故・天本英世の映像を再活用した死神博士(声は別人による吹き替えだろう)の復活、あの”立花藤兵衛”役でゲスト出演(尤も劇中では名前も出ず、「おやっさん」とも呼ばれないが)している仮面ライダーV3=風見志郎こと宮内洋の起用には賛否両論あるかもしれないが。

物語は本郷とあすかの葛藤を中心に、これに本郷抹殺の刺客として送り込まれながらも、あすかに惹かれていく一文字が絡んでくるという流れだが、あすか役の小嶺麗奈のやや生硬な演技は気になるものの、3人とも概ね好演している。
特に本郷を演じている黄川田将也には、『美少女戦士セーラームーン』でのややコミカルな演技の印象しかなかったので不安もあったのだが、結構演技の引き出しは多そうなので今後に期待が持てそうである。
そして高野八誠。
『ウルトラマンガイア』でウルトラマンアグル=藤宮博也を演じ、『仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーライア=手塚海之を演じ、史上初めてウルトラマンと仮面ライダー両方に変身した役者となった彼が、今度は一文字と、殺されてしまうあすかの恋人矢野克彦の二役を担当しているのだが、『ガイア』の頃と比べるのは失礼ながら上手くなったなぁと実感した。

この三角関係とは別に、もう一組の、少年少女のカップルも登場し、脇筋とは言え比重はかなり高い。
昨今のトレンドとなっている感のある”難病モノ”の要素も匂わせるこのサブプロットが、実は作品の悲劇性をより高めるための長い伏線となっていることは最後に判明するのだが、1時間半という上映時間を考えるとこれは詰め込みすぎだろう。
このプロットを削り、もっとショッカーの強大さ、巨大さを前面に押し出し、人知れず一般社会に深く浸透しているという恐怖感を煽る方が得策だったように思う。
社会の暗部で孤独な戦いを繰り広げるところに、原点である『仮面ライダー』の魅力はあったはずなのだから。

ショッカーの改造人間は一定期間に身体中の血液を交換しなければ生きていけないという設定があり、そのため裏切り者となった一文字はリジェクション反応に苦しむという描写があったのだが(しかも徐々にその期間が短くなっているという伏線まで張りながら)、最終決戦を前にその設定はどこかに行ってしまったようだし、本郷にはその反応が全く見られない点を「初めての成功体かもしれない」の一言で片付けてしまう(ここは本郷が科学者であるという設定を生かして、何らかのエクスキューズを用意して欲しいところだ)など脚本の不自然さが残る部分は多々あるものの、正直言って期待していなかった分かなり好印象だった。

元々劇場用作品ではなく、ビデオ発売を前提にされていた企画だったとの声も聞き、そのせいか公開時期、公開規模ともに恵まれているとは言えないのだが、我が国のヒーロー史上画期的な作品であり、是非この試みが成功して欲しいと願っている。

                          (2005/10/20 ヤクルトホール<試写会>)

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Re: 「仮面ライダー/THE FIRST」
投稿日 : 2011/06/10 16:10
投稿者 久保田r
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 昭和から平成へと30年以上もの時の流れの中でいくつものライダーが誕生し、世代を超えて愛されている「仮面ライダー」シリーズの原点である1号と2号を、平成の時代に新たな視点から捉えて製作した大人のための作品。

 1号である本郷猛役は、黄川田将也さん。2号の一文字隼人役は、高野八誠さん。立花藤兵衛役には、宮内洋さん。ショッカー幹部役には、天本英世さんがデジタル出演。他に、ウエンツ瑛士さん、板尾創路さん、風間トオルさん、石橋蓮司さん、本田博太郎さんなどなど個性ある俳優さんがずらっと名を連ねている。

 水の研究をしていた本郷猛は、ある夜突然ショッカーに拉致されて改造人間とされてしまう。人間を襲っていたある夜のこと、空から降って来た雪を見たことがきっかけとなり、改造前の記憶が戻り、人間を襲うことをやめてショッカーを裏切る。雑誌記者の緑川あすかに婚約者を殺害したと誤解されるが、あすかを守るために本郷武はショッカーと戦い続ける。その本郷の前に、姿形がそっくりのもう一人の仮面ライダーが現れる。本郷猛対一文字隼人。勝負の行方は…。

 「失うものがあれば、得るものがある」と言った立花藤兵衛の言葉を胸に、得た力であすかを守ろうとする本郷猛の姿に悲哀が満ちていて良かった。これぞ悲しい運命を背負った仮面ライダーの姿。台詞は少なめとなっており、行動で意志を示すという不言実行の男らしさが魅力となっており、黙々と戦う姿が実にかっこよかった。

 一文字隼人は、美形でスマートな外見で女性を口説くのが上手いタイプだが、一旦変身するとその強さを発揮。クールで男前で腕っ節が強いとモテる条件が揃っているがために、本郷猛との対比が絵となっており、終盤の二人の会話シーンやアクションシーンは、美形ゆえの切なさが漂っていてよかった。

 ウエンツ瑛士さんが、思っていた以上に演技が上手く嬉しい発見。彼が演じた三田村晴彦の境遇にも悲運さと悲哀さがあり、本郷猛と対称的な存在としてもう少し丁寧に掘り下げた彼の運命のドラマを見たかった気もする。

 本郷猛の改造人間となった悲運とその悲哀、そして一人の女性を愛する切なさと苦しさが、巧みに戦いの理由と絡みあっており、大人向けの作品としてまとまってあったと思う。アクションシーンに於いても、腕と足を使って体を張って戦うことに徹底しており、武器を用いないところがかっこよかった。アクション・ポーズの数々が、実にかっこいい。強靭でしなやかな攻撃のポーズが、見せ場となっている。
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お子さまには...
投稿日 : 2005/10/22 18:50
投稿者 F20!
参照先 http://homepage3.nifty.com/HiroMacky/999iroha.html
もしかしたら飽きるかもしれませんね。
ライダーの格闘シーンより、伏線が長すぎ。

ああ、そういうことだったんだ、って気づいたときにはもう終盤で、
ストーリーよりライダーと怪人の闘いを見たいお子さまにはキツイかも。

 〜〜〜〜〜〜〜〜

故・天本英世さんの登場シーンは良い(つД`)
ショッカー戦闘員の皆さんの鳴き声?も良い

細かい所を指摘すればキリがないけど、おもしろいと思った。
ただ、近場に上映する映画館が無いのが、悲しい。
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「ライダー」とは(掲示板より)
投稿日 : 2005/10/22 15:45
投稿者 F20!
参照先 http://homepage3.nifty.com/HiroMacky/999iroha.html
いきなり強大な力を手に入れてしまった、そしてヒトに戻れない事を知ったときの苦悩を見せつつ、
今風の『仮面ライダー』のあり方と、昔のファンへのサービスが、今回のリメイクに概ね及第点となっていると思います。

ところで、会場で貰ったチラシに
「シリーズ最高のバイクアクション」と謳っているのに、
ヒーロー役たる者、頼むからバイクの免許を取れー!、と言いたい。

確かにケガ防止で免許を取らせない事務所もあるでしょうが、
『仮面ライダー』だぞ。バイク乗りなんだぞ。
変身前のカッコでバイク乗るとき、アップではヘルメットのマスクが透けて顔が見えるのに、
走っているシーンではスモークシールドになってて顔が見えない。
光の加減でヘルメット内の顔が見えにくくなる事はあるが、
これではもの凄く興ざめ。

せめて、似たような顔の役者やスタントに走らせるとか、CG合成するとかできなかったのか...。

バイク乗りとして、少々不満であった(^ ^;)


でも、オープニングの「レッツゴー!ライダーキック」からタイトルが出るときの、
炎をバックにサイクロン号にのってジャンプするライダーは格好良かった。
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作品データ
投稿日 : 2005/10/22 09:45
投稿者 Excalibur
参照先
原作:石ノ森章太郎
脚本:井上敏樹
音楽:安川午朗
製作:石井徹/中曽根千治/古玉國彦/福中脩
企画:日達長夫/吉田順/金子建/松田英史
エグゼクティブ・プロデューサー:鈴木武幸
プロデューサー:加藤和夫/矢田晃一/白倉伸一郎/武部直美
監督:長石多可男

黄川田将也/高野八誠/小嶺麗奈
ウエンツ瑛士/小林涼子/津田寛治/板尾創路/宮内洋
風間トオル/並樹史朗/北見敏之/石橋蓮司/本田博太郎
佐田真由美/辺土名一茶/天本英世

2005年
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