「ネバーセイ・ネバーアゲイン」
投稿日 | : 2002/02/05 22:23 |
投稿者 | : Excalibur |
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初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーを主演に迎えたシリーズ番外編。権利関係のゴタゴタから別スタッフに手によって誕生した、『007/サンダーボール作戦』のリメイクである。
巨大犯罪組織スペクターに強奪されたNATOの核弾頭を取り戻すべく再びボンドが立ち上がるという内容で、閑職に追いやられていたボンドが一線に復帰するという展開は本家への皮肉? と同時に元祖としての「続編」を意図していたのかも知れない。
ストーリーは概ね『サンダーボール作戦』と同じだが、いくつか細かい相違点があり、事件の発端部分を例に取るとこんな具合。オリジナル版では軍のパイロットを買収して核ミサイルを搭載したままの戦闘機を盗ませている。それがリメイク版では、大統領の網膜パターンを移植された将校に演習用のミサイルを本物とすりかえて発射させ、それを回収するという手の込んだものに。リアリティという点ではオリジナル版に分があるように思える変更である。当然キャラクターにもアレンジが施されているが、これは一長一短。二人のボンド・ガール、ドミノとファティマに関しても甲乙つけがたい。
さて12年ぶりのボンド役復帰ということで、「年齢的に大丈夫なのか」と危惧されたコネリーだったが、実は現役ボンド(当時)であるロジャー・ムーアよりはコネリーの方が3つ程若い。また上手く年輪を重ねた感があって、本家シリーズの最終作となった『007/ダイヤモンドは永遠に』の頃よりも颯爽としていて、かつては第一線で活躍しながらも上司とそりがあわずリストラされかかったベテラン、だがまだまだ健在てな雰囲気はよく出ていた。ただその熱演虚しく映画そのものの出来は芳しくなく、同時期に公開され「本家VS元祖の対決」と話題になったムーア主演の『007/オクトパシー』にも興業面で惨敗、コネリーの演技のみ絶賛される結果になってしまった。本家シリーズの一本として製作されていたら状況はかなり違ったものとなっていただろうが、現時点では残念ながら「007=コネリー」を信奉するオールド・ファン向けとしかいいようがない。せめてアクション・シーンにお馴染みの<ジェ−ムズ・ボンドのテーマ>を使えていたら、少しは印象も変わったろうに。あと、オープニングのガンバレルも・・・。
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