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「ザ・ファン」
投稿日 : 2007/12/29 16:45
投稿者 久保田r
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<スタッフ>
監督:トニ−・スコット
製作:ウェンディ・ファイナーマン
製作総指揮:ビル・アンガー、ジェームズ・W・スコッチドポール、バリー・M・オズボーン
原作:ピーター・エイブラハムズ
脚本:フォフ・サットン
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:ハンス・ジマー
音楽監修:シャロン・ボイル
美術:アイダ・ランダム
編集:クリスチャン・ワグナー、クレール・シンプソン
字幕:戸田奈津子

<出演>
ロバート・デニーロ/ウェズリー・スナイプス/エレン・バーキン/ジョン・レグイザモ/ベニチオ・デル・トロ/パティ・ダーバンウィル/クリス・マルキー、他

<ストーリー>
父親が興したナイフの会社で営業を勤めていたギルは、子供の頃から大の野球ファン。野球選手のボビー・レイバーンのファンで、開幕戦直前にラジオ番組を通してボビーと電話で話をしたギルは、彼に対しますますファンの心を熱くする。だがギルは、社会生活を営む上で営業成績を上げることが出来ず会社をクビになり、息子に近づかないという拘束令状まで発せられ、野球以外の全てを失う。そしてギルは、ボビー一辺倒となる。

1996年 日本ヘラルド映画
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Re: 「ザ・ファン」
投稿日 : 2007/12/29 16:49
投稿者 久保田r
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 行き過ぎたファン心理を描いたサスペンス映画。異常な行動を取る主人公、ギルをロバート・デニーロが演じ、一見普通に見える中年男性の過剰発達したファン心理をインパクト強く演じている。

 誰しもが持つであろうファン心理をよく描いているというか、悪く描いているというか、社会的には厄介なレベルにまで上り詰めたファン心理を作品の中でよく表現している映画。こういった精神的に追い詰められた偏執的なファンは、ジャンルを問わず有名人には実際に遭遇することもあるのではないかと思うが、そのような人物を演ずるというのは、なかなかに勇気の要ることだと思う。作品の中でロバート・デニーロは、自身もヒット作に何作も出演している有名俳優でありながら、主人公のギルになりきり、ファンであるボビー・レイバーンに容赦なく過剰なファン心理を突きつけている。この役作りはさすが。ギルは、10代20代という若い男性ではなく、中年と呼ばれるいい歳をした営業職に就いている男性という役柄で、初対面の人当たりはよく、笑顔も見せる大人の男性。しかし、精神的にキレやすい一面を持っていて、自分の意に添わぬ行動を相手に取られるとたちまち暴力を振るうような性格となっている。会社をクビになり、息子にも近づけぬようになったギルは、社会から弾き出されたような存在となり、唯一の楽しみである野球、中でもファンであるボビー・レイバーンとだけ関わりを持とうとしてストーキングを行うようになる。このように何も見えなくなるようなファン心理は、ストレス社会を生きる現代人にはハマりやすい心理ではないかと感じた。

 ギルから過剰なファン心理を寄せられるボビー・レイバーンは、完全主義者で、ジンクスを大切にし、背番号にもこだわり続けた選手。しかし、ライバルであったプリモが衝撃の死を遂げた後、肩の力が抜け、野球だけが全てではないと悟り、広い視野を持つようになる。だが、ボビーにそういう心境の変化をもたらしたプリモの突然の死は、実はラジオ番組を通して会話をしたギルが深く関わっており、ギルは、ボビーの為に取った行動だっただけに自分のことを評価してくれないボビーを許せず、ボビーになんとか感謝してもらおうと遂にボビー自身にまで危害を加えるようになる。最後の手段として力のみを頼りに。

 ギルとボビーの共通点は、完全主義者なところであったと思う。一つでも欠けるところがあるとそれを許せなく思う点が似ており、そんなボビーが野球選手として大成していた為に、ゆえにギルはファンになったのだと思う。それだけに自分の行動を感謝される筈だと信じて疑わないギルの増長するファン心理が憐憫であり不幸であり、その点がよく考えられている作品。
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