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「ヴェニスの商人」
投稿日 : 2007/09/25 16:41
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:マイケル・ラドフォード
製作:ケイリー・ブロコウ、マイケル・コーワン、バリー・ナヴィディ、ジェイソン・ピエット
製作総指揮:エドウィジュ・フェネシュ、ゲイリー・ハミルトン、マイケル・ハマー、ピーター・ジェームズ、ロバート・ジョーンズ、ピート・マッギー、アレックス・マーシャル、ジェームズ・シンプソン、マフレッド・ワイルド
原案:ウィリアム・シェイクスピア
脚本:マイケル・ラドフォード
撮影:ブノワ・ドゥローム
編集:ルチア・ズケッティ
音楽:ジョスリン・プーク

<出演>
アル・パチーノ/ジェレミー・アイアンズ/ジョセフ・ファインズ/リン・コリンズ/ズレイカ・ロビンソン/クリス・マーシャル/チャーリー・コックス/マッケンジー・クルック/ヘザー・ゴールデンハーシュ/ジョン・セッションズ/グレゴール・フィッシャー/ロン・クック/アラン・コーデュナー/アントン・ロジャース/デヴィッド・ヘアウッド

<ストーリー>
貿易商のアントーニオは、美しい女相続人と結婚する為にお金が要るという親友・バッサーニオの為に、ユダヤ人の高利貸しシャイロックから自身の肉1ポンドを担保に高額なお金を借りる。しかし、アントーニオの全財産を積んだ船は全て沈没。アントーニオは命の危険にさらされ、それを知ったバッサーニオは、アントーニオの元へと駆けつけた。

2005年 アートポート=東京テアトル
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Re: 「ヴェニスの商人」
投稿日 : 2007/09/25 16:44
投稿者 久保田r
参照先
 この映画の最高のシーンは、ラストのアル・パチーノの立ち姿。

 シェイクスピアの有名人気戯曲を映画化。舞台は、16世紀のヴェニス。不運な貿易商・アントーニオ役をジェレミー・アイアンズが、アントーニオに金を借りさせてまで女相続人に求婚しに行くバッサーニオ役をジョセフ・ファインズが、そして、声高にアントーニオを追い詰めるユダヤ人・シャイロック役をアル・パチーノが演じている。実力派俳優揃い踏みの人間の尊厳について深く考えさせられる映画。

 前もって原作を読んでいるか舞台を見たことがあれば、それらとの差異が判断材料となり、より奥深く作品の世界観に浸ることができて更なる知的好奇心を満たしてくれることと思う。しかし、私は原作を読んだこともなく舞台を見たこともないので、この映画が初「ヴェニスの商人」となった。

 16世紀のヴェニスの社会的背景や状況について詳しくは知らないので、この作品の本質を正しく捉えてはいないのかも知れないが、取り敢えずは性の奔放さが当時の社会的な環境を表現されていると思ったし、その一方で指輪に込められた思いの重さの価値観も大事だということが分かった。シャイロックが、娘が指輪を手放したという噂を聞いた時の嘆きようや、最後にポーシャがアントーニオ経由でバッサーニオに指輪を渡すシーンなど指輪の持つ価値観が重く描かれている。この点だけを見るとキリスト教徒もユダヤ人も分かり合えそうな気がするのだが、根深い宗教的な問題が両者間に天まで届きそうなほど高い壁となってそびえ立っている。

 私には宗教的なことについては分からない。だが、ストーリー展開にはずっと引き込まれた。アル・パチーノの周囲の空気を全て取り込むかのような存在感に圧倒された。この世の全ての不幸を背負ったかのような絶望的な孤独感。彼の演じたシャイロックという男の人生が、この作品で描かれる前もその後も見えるかのような完璧な人物像だった。最大の見せ場は、裁判。証文を逆手に取られ、逆転した後の救いようのないシャイロックの一生が、彼のうずくまる演じる姿だけで十分に語られていた。そして、エンディングの無言で茫然と佇む姿は、目に焼き付くほどの素晴らしさだった。

 この映画は、女相続人・ポーシャが実権を握っているように感じたが、彼女を支えているネリッサも単なる付添人ではない利口さを表していたし、シャイロックの娘、ジェシカも存在感を示していた。噂と違ってジェシカは指輪を手放していなかったし、この映画で描かれている女性は、温かさを持った救いの存在として描かれているように思った。

 とはいえ、問題の発端は、バッサーニオと彼に愛を注ぐアントーニオだろう。アントーニオが、ポーシャと同じくらい知性と勇気の持ち主だったなら、物語は違ったものになっていた筈。冒頭のバッサーニオがベッドの上で服をくつろぎながらアントーニオに話すシーンは、ふたりが深い仲であることを伝えていて、見ているこちらが赤面しそうなほどの色っぽさが漂っていた。バッサーニオのフェロモンが物語の発端。
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