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「シンガポール・スリング」
投稿日 : 2006/04/21 10:23
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:若松孝二
製作:山科誠
製作総指揮:徳永英明、鵜之沢伸
プロデューサー:鍋島壽夫、小嶋敏春、川城和実
原案:徳永英明
脚本:丸内敏治、上野火山、若松孝二
企画:徳永英明
撮影:鈴木達夫
音楽:徳永英明
歌:「FRIENDS」徳永英明
美術:デビッド・コッピイング
助監督:中田信一郎

<出演>
加藤雅也、秋吉満ちる、原田芳雄、白竜、デビッド・ハドソン、レイフ・チャールトン、他

<ストーリー>
オーストラリアへ新婚旅行に訪れていた達也と亜美は、帰国前夜に二人組の警察官に襲われ、嵌められる。終身刑を言い渡され、オーストラリア最悪の刑務所へ収監される達也。亜美は、組織から執拗に狙われ、その理由が自分たちが持っていたカメラだと知り、何とか達也を刑務所から出そうと奔走する。亜美に手を貸すケン。ケンは、仲間と共に”友”と達也のいる刑務所を襲撃した。

1993年 松竹
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Re: 「シンガポール・スリング」
投稿日 : 2006/04/21 10:23
投稿者 久保田r
参照先
 原田芳雄あってこその映画。彼の持つアウトローな資質がこの映画の骨子を支えていて、彼の存在感で持っている。彼がいなくてはこの映画の訴えたいところが見えて来なかったと思う。彼の演技力と役者としての使命感。これらがこの作品を映画として成り立たせていると思う。

 この映画は、総製作費6億円をかけてオール・オーストラリア・ロケを敢行した作品で、壮絶なアクションシーンを盛り込んだ日本映画。原案を書いた徳永英明氏には、やや苦い思いをした映画制作のようだが、これはこれでまとまっている内容だと思う。お気楽に海外旅行へ出かけて行く日本人のモラルの無さを指摘している内容で、彼らの取った無神経な行動が不幸の発端で、たった1枚の写真により達也と亜美は触ったこともない銃を手にして戦う運命へと転がって行く。外国は日本とは地続きではない、外国には外国の事情があり、軽はずみな無神経な行動を取るべきではない。というのを全編を通して伝えている。

 前半、達也役の加藤雅也ばかりが映るので、彼の屈辱に塗れた刑務所生活から一転好機を掴む展開なのかと思いきや、後半、ストーリーの鍵となる人物、ケン役の原田芳雄が登場してからはストーリーの赴きが変わる。日本人でいながらオーストラリアの地元住民と「友」という堅い絆で結ばれ、絶大な信頼を得ているケン。彼が何故このような立場の人間となったのか、人には説明のしようのない危険と隣り合わせの半生というのが彼自身から発せられていて、それに触発され、達也もまた人間的に変わって行く。そんなストーリーとなっている。

 原田芳雄の体を張った演技に引き込まれるものがあり、彼の膝を折り体を丸めた最期の息絶えた姿までもがかっこいい生き様となって描かれている。カメラワークや編集には目を見張るものはないが、刑務所内の恐怖感や男の怖さ、危なさなどはよく撮れていると思う。エンディングは、やや手抜き感が否めないが、達也が銃で組織の親玉、吉岡を仕留めるシーンが効果的に入っているので、達也の決着の付け方がしっかりと入り、映画自体のオチともなっている。総合評価的には高くはない。しかし、この映画の描こうとしているものは、十分にメッセージ力を持っていると思う。
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