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「不撓不屈」
投稿日 : 2010/04/22 16:28
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:森川時久
製作:綾部昌徳
企画:綾部昌徳
原作:高杉良(「不撓不屈」新潮文庫)
脚本:竹山洋
撮影:長沼六難男
美術:金田克美
音楽:服部克久

<出演>
滝田栄/松坂慶子/三田村邦彦/田山涼成/中村梅雀/北村和夫/夏八木勲、他

<ストーリー>
昭和30年代後半。税理士の飯塚毅は、節税としてとってきた税務手段「別段賞与」を国税局に見咎められた為、当局を相手に訴訟を起こす。正々堂々と戦う飯塚に対し、面子にこだわる国税局は手段を選ばず強引な調査を繰り返した。

2006年 119分
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Re: 「不撓不屈」
投稿日 : 2010/04/22 16:33
投稿者 久保田r
参照先
 始めに一言。良い映画だった。確たる信念を持つこと。そして、その信念を全身全霊を込めて貫くことの潔さと断固たる姿勢というものを学んだ。胸が熱くなる作品だった。

 タイトルは「不撓不屈」と書いて「ふとうふくつ」と読み、意味は「どんな困難にあっても決して心がくじけないこと」。原作は、高杉良氏の同名実名経済小説。TKCの創立者である飯塚毅氏が7年にも渡り不撓不屈の精神で戦い抜いた姿を描いている。

 「飯塚事件」は、昭和30年代後半〜40年代前半に起きたことで、その時代の描写が視覚的に古めかしい感じではあるけれども、でも昭和の空気や雰囲気といったものが真っすぐに伝わって来て良い感じの映像だった。主人公が住んでいた家屋と庭、顧客の店や会社の中の様子、恩師の家の室内の描写など、全体的に細部に渡ってきっちりと時代描写がなされていたので、その時代に起きた出来事が、役者の演技と台詞以外からも五感で感じ取ることができてとても良かった。

 威丈高で横暴な官僚の行動に屈しない主人公の姿勢は、全身に不撓不屈の精神が漲っていてなんとも辛くなんとも清々しいことだろうかと思った。渦中にあった主人公を支えたのは家族の存在であり、妻の心。妻は、夫を信頼し、夫を支えるために時には勇気ある判断をする。主人公は、家族の愛と支えがあって信念を曲げることなく闘うことが出来たのだと思う。

 妻を演じた松坂慶子さんがとても良かった。家を守る妻としての務めを平常心を心がけてこなす姿が、その時代の主婦の美しさといったものが表れていて良かった。印象に残ったシーンは、岡本代議士のもとを訪れた帰りに夫が宿泊しているホテルへ寄ったところ。ドアを開けた夫を見るなり「髭を剃ってたの」と開口一番に言った台詞が実に良かった。常に夫の身の回りを気にかけている心遣いが感じられる台詞で、妻の愛情が表れているとても良い台詞。

 飄々とした風貌でいながら謎の男を演じた中村梅雀さんと、主人公の恩師であり国税局の顧問を演じた夏八木勲さんが良かった。夏八木さんの自室で墨をすって筆で書くシーンが、実に真っすぐで重みがあって格好良かった。そして、江守徹さんのナレーションがドキュメンタリー風の雰囲気を醸し出していて良かった。税理士という職人を、職人気質な映画人が作った質実剛健な作品。
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