「羊たちの沈黙」
投稿日 | : 2010/08/01 16:38 |
投稿者 | : 久保田r |
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<スタッフ>
監督:ジョナサン・デミ
製作:エドワード・サクソン、ケネス・ウット、ロン・ボズマン
製作総指揮:ゲイリー・ゲッツマン
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
撮影:タク・フジモト
音楽:ハワード・ショア
<出演>
ジョディ・フォスター/アンソニー・ホプキンス/スコット・グレン/テッド・レヴィン/アンソニー・ヒールド/ケイシー・レモンズ/ダイアン・ベイカー/ブルック・スミス/フランキー・R・フェイソン/ロジャー・コーマン/チャールズ・ネイピア/ジョージ・ア・ロメロ/ポール・レイザー/ダン・バトラー、他
<ストーリー>
若くて大柄な女性を次々と殺害し生皮を剥いで川に流すという猟奇的な連続殺人事件が発生。FBI訓練生のクラリス・スターリングは、師の指示を受け、精神病院に措置入院されている元精神科医のハンニバル・レクターの元を訪ねる。クラリスとハンニバルの奇妙な応答が繰り返される最中、マーティン議員の令嬢が”バッファロー・ビル”によって誘拐される。
1991年
Re: 「羊たちの沈黙」
投稿日 | : 2010/08/01 16:41 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
サイコ・スリラーの傑作として今なお高い評価を得ている名作。FBI訓練生のクラリス・スターリングは、”バッファロー・ビル”と呼ばれる連続殺人事件と関与して精神病院に措置入院されている元精神科医のハンニバル・レクターの元を訪ねる。限られた情報の中から人間の心理を読み解くのが得意なレクターは、”バッファロー・ビル”の情報との交換にクラリスの個人情報を欲する。自身の過去を話すことと引き換えに”バッファロー・ビル”の逮捕に向けて有力な手がかりを得たクラリスは、単独で犯人像の真実へと近づいていく。
なんと言ってもこの作品のイメージを決定づけているのは、アンソニー・ホプキンスの演じたハンニバル・レクター。穏やかな話し声の中に知的さを漂わせながらも、内に秘めたる常軌を逸した狂気さが匂い立っており、ちょっと勘の良い人間だと背筋に冷たいものを感じるであろう心理的な怖さを表している。しかし、優れた元精神科医であるレクターは、人間の心理を巧く読み取って己の気配を感じさせなくすることにも長け、メンフィスの拘留場所から抜け出す一連のシーンは、残酷かつ沈着な行動の連続で、思わず息を詰めて見入ってしまうほどの見どころとなっている。
FBIの訓練生として体を鍛え続けるクラリスは、女性とはいえタフさをアピールし、柔な精神力ではないことを示していたし、レクターに対しても極度な怯えは表に出さずに会話をしていたので、芯の強い女性が表れていて良かった。クラリスとレクターの会話の中、そして二人の行動の中に、作品のタイトルの意味合いが深く込められているように感じられた。
登場人物それぞれに心理的願望が垣間見え、尚かつ台詞のひとつひとつにも人物の性格が表れており、全体的に隙がなくて素晴らしい作品だと感じた。終盤の、犯人の家にたった一人で入り込むクラリスの恐怖が伝わってくるカメラワークも最高で目が離せない。この作品は、人間の心の闇が描かれた今なお色褪せない最高のサイコ・スリラー。