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「かもめ食堂」
投稿日 : 2010/12/21 16:51
投稿者 久保田r
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<スタッフ>
監督:荻上直子
プロデューサー:前川えんま、天野眞弓
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治、大島満、石原正康
企画:霞澤花子
原作:群よう子『かもめ食堂』(幻冬舎刊)
脚本:荻上直子
撮影:トゥオモ・ヴィルタネン
美術:アンニカ・ビョルクマン
主題歌:井上陽水『クレイジーラブ』
フードスタイリスト:飯島奈美
製作プロダクション:パラダイス・カフェ

<出演>
小林聡美/片桐はいり/もたいまさこ/ヤルッコ・ニエミ/タリア・マルクス/マルック・ペルトラ、他

2006年
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Re: 「かもめ食堂」
投稿日 : 2010/12/21 16:57
投稿者 久保田r
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 ほっこりとひょうひょうと。体の芯が温かくなる。そんな映画。フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を営むサチエは、オープンしてから1ケ月たっても客の来ない店内で食器を磨いて過ごしていた。ある日、日本かぶれの青年が入店し、コーヒーを注文。「ガッチャマンの歌を教えてくれ」と言う。記念すべき初めての客ということで、サチエはその青年のコーヒー代を無料とする。その帰り道、立ち寄った書店のカフェで「ムーミン」の本を読んでいる日本人女性を発見。サチエは声をかけ、「ガッチャマンの歌を教えて欲しい」と頼みこむ。ミドリと名乗るその女性は、「ガッチャマン」の歌詞を書いてサチエに渡し、話の流れからミドリはサチエの家に泊まることとなる。翌日、再び日本かぶれの青年が来店。青年はその後、店の常連となる。フィンランドでの滞在期間を決めていないミドリは、「かもめ食堂」を手伝うようになり、ふたりの共同生活が始まる。

 原作は、群ようこさんの「かもめ食堂」。映画のために書き下ろした作品。派手なドラマチックな展開などは一切なく、人がそこに存在し、生きているだけで起こる日常的なドラマが描かれている。とはいえ、日本人女性が一人でフィンランドで食堂を営むということこそが、日常の中にある非日常的なドラマの舞台。サチエは、異国の地で気負うことなく、抗うことなく、流れに逆らわず、ひょうひょうと生きているという自然体な女性。

 主人公のサチエが何故、日本ではなくフィンランドで食堂なのかは、はっきりとした理由は分からないけれども、サチエ自身とサチエの営む「かもめ食堂」の雰囲気が、ヘルシンキの町並みとフィットしており、全編に渡って心地よい気持ちで鑑賞することができる。誰もが振り返るような若くて美人な女優が主役を演じていない点も良いところで、主役の小林聡美さんの気負わない演技が、共感を引き出していて良かった。

 映画のために書き下ろした作品というだけあり、台詞の流れに意味があり、さりげなく深く人生の教えを感じるような、心に染み入って来るような作品だった。「やりたくないことはやらないだけ」。「知ってるようで知らないことが多い」。「食べないと生きていけない」。そして、キーポイントとなる台詞「作ってもらう方がおいしい」。この他にもストーリーの流れに沿ってなるほどと頷ける台詞が多く、生きること。それこそがその人のドラマ。が感じられる良い作品だった。

 映像が綺麗で、フィンランドと自然と風景と「かもめ食堂」の店内が穏やかな美しさで良かった。個性的な顔立ちの女優陣のそれぞれの個性がそのまま活きており、”抗わず自然体に生きる”がよく伝わって来る作品だった。ところどころに不思議なシーンがあるものの、フィンランドという日本から遠く離れた地でのことと思うと何となく納得してしまう気分になるのだからこれまた不思議。サチエの合気道の技が決まるシーンが、痺れるほどかっこよかった。良作。
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