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「南極料理人」
投稿日 : 2011/02/23 16:28
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:沖田修一
プロデューサー:西ヶ谷寿一
原作:西村淳『面白南極料理人』『面白南極料理人 笑う食卓』(新潮文庫刊)
脚本:沖田修一
音楽:阿部義晴
主題歌:ユニコーン『サラウンド』
フードスタイリスト:飯島奈美


<出演>
堺雅人/生瀬勝久/きたろう/高良健吾/豊原功補/西田尚美/古舘寛治/小浜正寛/黒田大輔/小野花梨/小出早織/宇梶剛士/嶋田久作、他

2009年
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Re: 「南極料理人」
投稿日 : 2011/02/23 16:39
投稿者 久保田r
参照先
 平均気温マイナス57℃という地球の南の最極地、南極の「ドームふじ基地」にて実際に調理担当として派遣された西村淳さんのエッセイを元にして映画化された作品。境雅人さんが、原作者であり作品の主役である西村淳さん役を演じている。

 「南極観測隊」というものがあることは知っていたが、実際には何人いて、どのような施設になっていて、どういったことをしているのかといったことは知らなかったし、また隊員たちは一体何を食べているのかといった南極という非日常的な特別な場所での日常生活といったものに興味を覚えて鑑賞してみた。

 冒頭の逃げ出した一人を捕まえる男性たちのシリアスなシーンに”ドキッ”としたのも束の間、「お前は大事なメンバーなんだ」という台詞に捕らえられた男性がコクッと頷き、その後の「じゃあ始めるぞマージャン」という台詞に”カクッ”と肩の力が抜けた。続くシーンには、先ほど追いかけっこをしていた男性たちが仲良くマージャンをしており、その傍らでは他の男性たちがビデオ鑑賞をしており、中年男性たちのほのぼのとした休憩シーンに思わず微笑んでしまった。

 「ドームふじ基地」にいるのは総勢8名。調理担当の西村さんの他、医療担当、雪氷担当、車両担当、気象学者がおり、それぞれに1日の仕事を決めて行動している。基地は、富士山よりも標高が高いところにあるため、周囲にはペンギンもアザラシも存在せず、だだっ広い雪原の中にただただ自分たちだけ。メンバー以外の人間と会うこともなく、動物とも会わず(ウイルスすらも存在しない)、極寒の地で決められた仕事と水を造ることに専念する日々。そんな中、調理担当の西村さんは、限られた食材のストックの中から工夫して隊員たちの食事を作り続ける。

 食事は、さして特別なものでもないといった感じで映し出されており、日常的な空気感となっていて良かった。毎日毎日、日に三度、隊員たちの食事を用意するのは大変な苦労であったと思うが、境雅人さん演じる西村さんは、いつも温和な微笑みで隊員たちの食事を見守っており、あたかも「ドームふじ基地」の”おかあさん”のような雰囲気を醸し出しつつ、時として盗み食いしている隊員からバターを取り上げ、逃げている最中にバッタリ廊下で出会った隊員を蹴り倒したり、ラーメンの麺を作るのに必要なかん水のヒントを得るとさっそくラーメン作りを実行したりと、熱い心と実行力の伴った芯のある調理担当として描かれてあって良かったと。

 西村さん以外の隊員たちにもそれぞれに個性があってユニークで良かった。一歩間違えば死と隣り合わせという極寒の地は、外は無限に近い開放感なれど現実には閉塞感で一杯。1年以上もの間、南極に”閉じ込められている”隊員たちの中には、ストレスとあらゆる欲求不満が頂点に達する者も現れるが、そういった隊員の姿をも表現してあり、人間の荒んだ心と行動の様子を、ほのぼのとしたコミカルな映像でコーティングして伝えている。

 キャスティングが良かった。それぞれの役者さんの台詞のタイミングが絶妙で、なんとも言えない温もりのある作品に仕上がっている。隊員たちの呼ぶ「西村くん」の響きが良かった。
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