トップページ > 記事閲覧 
「運命じゃない人」
投稿日 : 2011/05/17 15:33
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:内田けんじ
脚本:内田けんじ
撮影:井上恵一郎
音楽:石橋光晴

<出演>
中村靖日/霧島れいか/山中聡/山下規介/板谷由夏、他

2005年
記事編集 編集
Re: 「運命じゃない人」
投稿日 : 2011/05/17 15:37
投稿者 久保田r
参照先
 PFF(ぴあフィルムフェスティバル)が製作したサスペンス風味ラブコメディ。ある夜、レストランで失恋した男女が出会う。桑田真紀は、婚約者と別れたばかりでひとりぼっちでレストランにいた。宮田武は、中学からの親友で探偵の神田勇介に呼び出されて食事をしていた。神田は、半年前にフられた彼女を忘れられずにいる宮田のためにと、ひとりでいた真紀に声をかけ、食事を一緒にどうかと誘う。神田は途中で店を出てしまい、残された宮田と真紀は、食事の後に宮田のマンションへと向かい、戻る家のない真紀を泊めようとする。だが、夜分に半年前に別れた彼女のあゆみが「荷物を取らせて欲しい」と突然やって来て、事態は急変する。あゆみが突然訪れた理由は、宮田が想像もつかないような神田絡みの事件でのことだった。

 いい人の代表のような宮田に対して最初は苛々するものの、途中からストーリーの展開が明らかになるにつれ、人を疑うということを知らない人物像が浮き彫りとなってきて、彼の根の優しさが作品内容を救う存在となっていて良かった。親友の神田からどんなに叱咤されようとも人のよさは一級品。何だかんだと言いつつも親友を続けている神田の気持ちが分かるキャラクターとなっていて良かった。

 作品が描いているのは、たった一晩の出来事。5人の人物のそれぞれの事情とやらが巧い具合にすれ違いながらかみ合っており、たまたまレストランで一緒になったというだけの真紀もいつの間にやら事態の一端に関わりを持つようになり、結局最も事態から関係が遠いのは主人公である筈の宮田本人で、世の中には実に様々な人がいて、関係ないようでいて意識しないところでどこかで繋がっているというのが巧みなドラマとなって描かれている。

 ドラマの進行は、それぞれの人物の視点で描写されており、一見関係ないようなシーンがふと気づくとさっき見たシーンへと繋がっており、それぞれの人物のその夜の行動が一本の線に繋がる瞬間が楽しい映像構成となっている。敢えて言うと、人はみな自分が主人公。人はみなそれぞれの事情があって理由があって自分の都合で行動しているものなので、自分自身が主人公という感覚が巧みに盛り込まれている映像構成となっていて楽しい。

 ラストの神田の「早く地球に住みなさーい」という台詞がよかった。そして組長の人使いのよさ。"やる時はやる"の男の勇気を出して電話番号を聞いた宮田。そして何故か都合のいい芝居をするタクシーの運転手。登場人物たちが愛しく思える面白い作品。
記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -