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「愛されるために、ここにいる」
投稿日 : 2011/07/15 14:22
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:ステファヌ・ブリゼ
製作:ミレーナ・ポワロ、ジル・サクト
脚本:ステファヌ・ブリゼ、ジュリエット・サレ
撮影:クロード・ガルニエ
音楽:エドゥアルド・マカロフ、クリストフ・H・ミュラー

<出演>
パトリック・シェネ/アンヌ・コンシニ/ジョルジュ・ウィルソン/リオネル・アベランスキ/シリル・クトン/ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ、他

2005年 フランス
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Re: 「愛されるために、ここにいる」
投稿日 : 2011/07/15 14:24
投稿者 久保田r
参照先
 大人の愛情表現を描写しているフランス映画。父親の跡を継ぎ裁判所の執行官という仕事をしている50歳のジャン=クロードは、別れた妻との間にできた息子を雇い、施設に入所中の高齢の父を週に一度見舞う生活を送っていた。健康診断で医者から運動を勧められたジャン=クロードは、事務所の向かいにあるかねてから興味を持っていたタンゴ教室に通い始める。タンゴ教室で、フランソワーズという若い女性から声をかけられる。フランソワーズは、昔ジャン=クロードの母が世話をしていたことがあり、その日から二人はお互いを意識するようになる。タンゴを介してしだいに親しくなってゆく二人だが、フランソワーズが他の男性と結婚式を控えている事実を知り…。

 人生を折り返した年齢の中年男性の恋物語…ではあるのだけれども、そこには逃れられない人生の現実が取り囲んでおり、それら全部をかなぐり捨てて突っ走れない大人の切ない愛が描かれている。妻と離婚し、成人した息子が跡を継いでくれるという申し分のない条件は揃ってはいるが、人生はそう甘くはなく、年老いた父親は口を開けば文句ばかりの気難し屋だし、息子は植物を愛する気弱そうな性格だし、医者からは運動を勧められるし、仕事は憎まれ役だしで、残りの人生を悠々自適に恋愛を楽しむわけにはいかないくたびれた中年男性という主人公。

 このいかにも人生に疲れた中年男性を意識してしまう女性、フランソワーズは、年上の男性から好かれるタイプの女性。若過ぎもせず、色気があり、ダンスのセンスがあり、ジャン=クロードは、吸い寄せられるようにして彼女に惹かれていくが、フランソワーズには婚約者がおり、結婚式を控えて不安定な心を抱えていたというタイミング。仕事を優先する婚約者は、一向に彼女と共にタンゴ教室に通わず、その間隙を縫うようにしてジャン=クロードとフランソワーズは、タンゴを通して触れ合う時間が増えていく。

 緩やかに感情を揺さぶるタンゴの音楽がよく、また官能的なダンスが静かに感情を昂らせていき、大人の男女の複雑な恋愛感情を濃いムードで綴っている。主人公であるジャン=クロードのくたびれた中年男性のえも言われぬ魅力が滲み出ていていい。愛情表現の下手な老いた父親と、その息子であるジャン=クロードの対比がストーリーに深みを与えているところもいい。脇役もいい。「愛されるために、ここにいる」の邦題に深く納得。
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