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「カラフル」
投稿日 : 2011/09/05 16:46
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:原恵一
アニメーション制作:アセンション
原作:森絵都
脚本:丸尾みほ
キャラクターデザイン:山形厚史
作画監督:佐藤雅弘
音楽:大谷幸
制作:サンライズ

<声の出演>
冨澤風斗/宮崎あおい/南明奈/まいける/入江甚儀/藤原啓治/中尾明慶/麻生久美子/高橋克実、他

2010年 東宝
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Re: 「カラフル」
投稿日 : 2011/09/05 16:50
投稿者 久保田r
参照先
 森絵都さん同名原作のアニメ映画化。死んだはずの”ぼく”の魂は、再挑戦のチャンスが与えられ、自殺した小林真という名の少年の体に入って下界で”修行”することとなる。ガイド役のプラプラという名の天使(?)は、わりあいとぶっきらぼうなタイプで、小林真の自殺の原因となった家庭環境について容赦なく話す。真は、不倫をしていたという母親を毛嫌いするようになり、学校の成績はクラスの最下位で、背が低いのをコンプレックスとしており、友達は誰もおらず、唯一の居場所は美術部だけ。真は厭世的な態度を取るが、人との交流を経てやがて一人の友人を得る。そこから真の態度は少しずつ変わり始め、ついにプラプラと別れる日がやって来る。

 高校受験を控えた難しい年頃の男の子を主人公としており、ナイーブで傷つきやすい少年の不器用な思春期を描いている。この年齢の頃は、男女ともに自分を中心にして物事を捉える節があり、自分の言動が他人にどういう影響を与えるかということに対しては鈍感で、他人の言動によって自分がどう傷つくかということに対しては敏感に反応するもの。それだけに心の内を話し合える友人がいると、世の中を渡る術というものを学んでいくことができるのだが、主人公の真にはそういう友人がいなかったため、一人で傷を抱え込んで吐き出す術を知らぬまま過ごしているという孤独な少年。

 真の態度を見ていると腹立たしさも感じられたが、多感な思春期の頃とはこういうものだということをつくづくと思い出した。自分の中学生の頃を思い出し、あの頃の自分自身に対してイラっとする気分をも味わった。あの頃は、同じ制服を着ていても一人一人の中味はてんで色とりどりで、自分の思った通りに人付き合いができないことを思い知った。この作品は、子供から大人へと移行する端境期のドラマを描いている。

 当作品は、背景の描写が実にリアルで、まるで実写の中でアニメーション表現されたキャラクターたちが動いているかのよう。確かにこの作品が描いているキャラクターたちや、真の家の中や、学校の中や、街並はリアルそのもので、架空の出来事ではなく、現実に身近に感じられるような事象が描かれている。今まで無味乾燥だと思っていた世界に”色”が宿った瞬間、人は何度でもやり直すことができる──そんな思いを感じ取った作品。
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