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「BOYS LOVE 劇場版」
投稿日 : 2011/12/12 16:25
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:寺内康太郎
製作:假屋勝、吉鶴義光、大橋孝史
プロデューサー:花村佳代子、金恵玉、上野境介
脚本:寺内康太郎、カロルコ
撮影:福田陽平
編集:佐上佳嗣
音楽:藤野智香
照明:小川大介
助監督:永江二朗

<出演>
小谷嘉一/菅野篤海/川久保雄基/谷和憲/桐山漣/馬場徹/永井朋弥/ロード裕之/高橋修/波岡一喜、他

2007年
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Re: 「BOYS LOVE 劇場版」
投稿日 : 2011/12/12 16:28
投稿者 久保田r
参照先
 男性同士の恋愛を描いた切なく悲しい作品。ある日、教師の蒼井海広(あおいかいろ)は、恋人と別れた寂しさを慰めようと一人の青年を買う。後日、蒼井の勤める高校に転入生があり、その生徒はなんとあの買った青年であり、蒼井のクラスに入ることになった。その生徒、天上空々(あまかみそら)は、自分を売る生活を繰り返しており、蒼井は、天上からかかって来る電話を恐れるようになる。

 教師と生徒。山奥にある全寮制ミッションスクール。幼児期に一家離散した不幸な身上の美青年。養子。成績優秀・スポーツ万能な転入生に憧れる冴えないメガネ男子。父親が多額の寄付をしているため権力を欲しいままにしている学園の帝王。幼馴染み。報われぬ恋心…。といったこれらの条件を取り揃えた、まさしく「BOYS LOVE」の王道的なストーリー。教師の蒼井は、恋人にフラれたばかりの傷心の身。生徒の天上は、不幸な身上の持ち主。互いに心に傷を抱える者同士が、紆余曲折を経て最後に寄り添うようになるまでの過程が痛く悲しい物語として描かれている。

 BOYS LOVEそのものが、禁忌な恋愛であるというファンタジーが大事。その上に教師と生徒という関係と、全寮制の男子校という閉鎖的空間が加わるとそれこそが甘美な蜜。右を向いても左を向いても大人の一歩手前の体を持つ男子高校生ばかりというビジュアルは、女人禁制の妖しい芳香が漂い、どんな危険なファンタジーをも繰り広げられそうな刹那的な空間が広がっている。心の内を素直に言い表すことができず裏腹な行動で相手を試す男子高校生たちの不器用な愛が全編に渡って描かれている。

 細かい部分の演出や設定の甘さ、あり得なさといったところは確かに見受けられるが、それはBOYS LOVEならではといったところ。ある程度のリアリティさの上でストーリーが進行することが寛容で、ガチガチなリアルさはBOYS LOVEの雰囲気を損なってしまう。それを確認できるのが「シーンの余韻」。この作品では、前のシーンから次のシーンへと移る際の余韻と溜めが絶妙のタイミングで描かれてあり、全体のイメージ作りの描写が実に丁寧な作品となっている。

 出演者のほとんどがデビューまもない俳優ばかりであるので、演技の拙さは確かにあるが、だがそれも等身大な雰囲気が表れていてよかったと思う。光陰の美しさがよく表れており、加えてカメラのアングルがよく、最後まで綺麗な映像美を楽しむことができた。「愛とは見つめ合うことではなく同じ方向を見ること」。この言葉がよく表れている作品。
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