トップページ > 記事閲覧 
「ミー&ヒム」
投稿日 : 2011/12/16 14:39
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:ドリス・ドゥリー
製作:ベルンヘルト・アイビンガー
原作:アルベルト・モラヴィア
脚本:ドリス・ドゥリー、マイケル・ジャンガー、ウォーレン・L・レイト
撮影:ヘルゲ・ヴァインドラー
音楽:クラウス・ドルディンガー

<出演>
グリフォン・ダン/エレン・グリーン/キャリー・ローウェル/クレイグ・T・ネルソン、他

1990年
記事編集 編集
Re: 「ミー&ヒム」
投稿日 : 2011/12/16 14:40
投稿者 久保田r
参照先
 ドイツ統一直前の西ドイツ製作。ビデオには「ぼくのジュニアがしゃべったら」という副題が付いており、その文字通りに持ち主である男性とその”ジュニア”が織りなすドタバタ・コメディ作品。

 リゾート開発の設計会社に勤務する主人公のバーンは、愛妻家であったが、ある日突然股間にある”ジュニア”が喋りだしたことで、人生に大きな変化が訪れた。”ジュニア”の声は、持ち主にしか聞こえず、当然他人には聞こえない。”ジュニア”は、女性と見るとすぐに色仕掛けな行動を起こそうとして、持ち主との諍いが絶えない。しかし、バーンはしだいに”ジュニア”の言う事を聞くようになり、同僚の部屋を借りて一時的な一人暮らしを始めると、さっそく妻以外の女性に近づいていく。

 ストーリーの結末を先に記しておくと、バーンは仕事で大成功を収め、愛妻家で家庭円満という爽やかな締めくくり。妻と家庭を守って成功した主人公は偉いなぁというオチとなっているので観賞後の印象は悪くはないのだけど、う〜ん…でも全体的にこれでいいの…?といういささかもやっとした違和感を感じる内容でもあった。現在の視点から見るとセクハラのオンパレードといった内容で、男性にとって都合のよい展開が多かったからかも知れない。かと思えば、ところどころで強い理性を見せつけたりして、”ジュニア”の言いなりになっているばかりではないよ…といったシーンもあり、本能と理性がせめぎあう男性の複雑な事情が描かれている作品内容といったところ。

 主人公が出会う女性のタイプは様々で、妻をなだめ、浮気相手をなだめ、言い寄って来る女性をなだめ、凝りたかと思えばまた違う女性と出会ってなだめ…の繰り返しで、何やら男性の人生は言い訳が多いなぁ…と気の毒に思いつつも、それでも”ジュニア”の精力は止まることを知らず、バーンは常にモテ状態。上手いこと行く日もあれば、ダメな日もあり、大事な接待をすっぽかしてイイことをしようが、教会に行って懺悔をしようが、持ち主と”ジュニア”は一心同体。あっちへフラフラ、こっちへフラフラな主人公の姿が妙に哀しいストーリーでもあった。

 私的に一番の見どころだったのは、後半のパーティ会場での”ジュニア”たちによる物悲しいつぶやき。思わず同情してしまうようなつぶやきが、主人公と会社の人間たちの立場を逆転して描写しいて楽しいシーンだった。画面に現れる当時の時代背景から、当時だったからこそ可能だった作品だと思うけれども、こういう時代を経て現代の価値観があると思うと、懐かしくも興味深い趣きのある作品だった。仕事と女。解決するのが困難な永遠なる板挟み。
記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -