「FM89.3MHz」
投稿日 | : 2012/04/18 16:04 |
投稿者 | : 久保田r |
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<スタッフ>
監督:仰木豊
製作:永森裕二、前田茂司
プロデューサー:向井達矢
脚本:イケタニマサオ
撮影:田中一成
美術:松塚隆史
音楽:朝枝有
ガンエフェクト:ビル横山
助監督:明山智
<出演>
小沢仁志/浅川稚広/松浦祐也/渋川清彦/あじゃ/伊佐山ひろ子/堀内正美/堀田眞三/山本浩司、他
2007年
Re: 「FM89.3MHz」
投稿日 | : 2012/04/18 16:06 |
投稿者 | : 久保田r |
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刑務所を出所したばかりのやくざが新宿歌舞伎町にあるミニFM局を任されるという内容。主役は、任侠映画などに多数出演している強面最強の小沢仁志さん。
15年の”つとめ”を終えて出所した工藤準次は、組長からシノギとして借金のカタに取り上げたビルにあるミニFM局を任される。そこでは、若い女性がたった一人でDJをしており、場違いだと感じ取った準次は、組長にシマを返すと直談判するも「やるだけやってみろ」と跳ね返される。そこで準次は、仲間からスポンサーを集めて来るが、DJの娘が車のトラブルで遅刻。やむなく急遽、準次がDJをすることになり、これが殊のほか好評を博し、準次はやくざのネタを中心にラジオのDJを続けていくことになる。そして順風かと思われた矢先、準次の娘の彼が銃で撃たれるという事件が発生。放送を通じて敵討ちに躍起になる準次のところに、一連の騒動の主から電話が入る。
やくざとミニFMというミスマッチさが楽しい作品で、主役の工藤準次を演じている小沢仁志さんが始終凄みを効かせているものの、小さなブースの中でマイクに向かって訥々と喋る姿が妙に様になっていてとてもユニーク。15年も”つとめ”をしていたため時の流れから取り残された感があるにも関わらず、己の信じる仁義を貫き通そうとしている姿がかっこよく映し出されている。新宿歌舞伎町のまばゆいばかりのネオンが実に似合っている。
ラジオのミニFM局とはいえ、この映画の中で喋っているような内容のことを実際にオンエアしていいのかどうかは分からないけれども、やくざネタばかりが聞けるラジオがあったらそれはやっぱり他にはない魅力で楽しいと思う。組の抗争を臨時ニュースで伝えたり、その後で放送の中で手打ちにさせたり、出所便りのコーナーや、薬の悩み相談や、組員の暴露話や、娘の彼を撃った犯人探しなどといった通常の一般人の生活では到底聞くことのできない話しが満載。これは人気が出て当然だと思うが、それもこれも工藤準次という男の人格があったればこそ、という内容になっていたのがよかったと思う。
ラジオのDJという役だけに、小沢仁志さんがあの低音ボイスでたくさん台詞を喋っているところも見どころの一つ。荒っぽい台詞があったり優しい台詞があったりと、工藤準次という男を台詞を中心に演じている。周りを囲んでいる他のキャラクターたちもユニークで楽しい。舎弟の鈴木太郎を演じた松浦祐也さんは、声の裏返りがいい味を出しているし、組長はいつも若い娘をはべらしているし、娘の桜は、準次の娘らしく凄みがあってよかったし、妻の澄子を演じた伊佐山ひろ子さんは、「あんた」の響きが絶妙だったし、似合わないアルマーニの川端を演じた堀内正美さんは、対照的なかっこよさで良かった。キャラクターとキャスティングが功を奏している。