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「秒速5センチメートル」
投稿日 : 2014/07/09(Wed) 15:20
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:新海誠
原作:新海誠
脚本:新海誠
キャラクターデザイン:新海誠
作画監督:西村貴世
美術:丹治匠、馬鳥亮子
アフレコ演出:三ツ矢雄二
音楽:天門
主題歌:山崎まさよし「One more time, One more night」

<キャスト>
遠野貴樹:水橋研二/篠原明里:近藤好美、尾上綾華、澄田花苗:花村怜美

<タイトル>
第1話「桜花抄」第2話「コスモナウト」第3話「秒速5センチメートル」

2007年 コミックス・ウェーブ
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Re: 「秒速5センチメートル」
投稿日 : 2014/07/09(Wed) 15:22
投稿者 久保田r
参照先
 「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」の新海誠さんが監督、脚本、原作を手掛けた3作目となる作品。主な登場人物は3人。主人公の男性の遠野貴樹と、小学校のクラスメイトの女性の篠原明里と、高校の同学年の女性の澄田花苗。遠野貴樹の小学生から大人になるまでの時間を3つのパートに分け、無情な時の流れを叙情的に刹那的に描いている。

 親の転勤で転校を繰り返していた遠野貴樹は、1年遅れで転校して来た少女、篠原明里と同じクラスになる。明里は貴樹と同じ境遇の持ち主で、二人はいつしか意気投合するようになるが、小学校卒業と同時に明里が栃木へと転校してしまう。文通を続けて1年後、今度は貴樹が鹿児島へと転校することが決まる。ついにある日、貴樹は明里の住む場所まで会いに行く。だが降り続ける雪により電車が度々停まってしまい…。

 その瞬間は辛くとも長い年月が経つとどんなに悲しい過去も懐かしく思える…という感傷に満ちていると感じた作品。人生は幸福な記憶よりも切なく悲しい記憶の方が色濃く残っているもので、時が経てば経つほどその瞬間にあった実際の出来事は記憶の中で淘汰され「思い」だけが蓄積されて残るもの。その「思い」を、時間経過の描写と共に切々と訥々と丹念に描いている作品と感じ取った。

 作中で描かれている主人公の貴樹の人生は、ある意味あり得るし、ある意味あり得ない。多感な少年の「思い」はリアルだが、現実レベルではリアルさが欠けている。それは「親の転勤による転校」という家庭の影響をもろに受けていながら主人公の家族の表情が一切表現されていないからだと思う。こういった心情をメインに描く作品は、本来ならば実写の方が向いているように思うが、この作品はあくまでも主人公の「思い」に焦点を当てて追求していることから心情的なファンタジー要素が強く、そのため実写的な映像でありながらアニメ向きな作品となっている。作中で描かれるそのような行動や光景は実際にはあり得ないと思いつつ、心の中では納得できる部分があり、もし子ども時代の思い出を描写するならばきっとこういう雰囲気の映像になるのだろうと感じられるイメージ作品となっている。

 第2話まではゆったりとした緩やかな時の流れの中でストーリーが進んでいるものの、表題作の第3話「秒速5センチメートル」では一気に加速して畳み掛けている。山崎まさよしさんの歌う「One more time, One more night」とぴったりと息の合った映像が展開され、PVの様相を呈しつつも主人公の貴樹の多感で切ない少年時代の終わりが描写されている。”人はこうして大人になる”を味わえるラスト。表題の「秒速5センチメートル」とは、桜の花びらが散る速度のこと。
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