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「カンバセーションズ」
投稿日 : 2014/08/25(Mon) 15:01
投稿者 久保田r
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<スタッフ>
監督:ハンス・カノーザ
製作:ラム・バーグマン、ビル・マッカッチェン、ケリー・バーデン
製作総指揮:クウェシ・コリソン、マーク・R・ハリス、クジェール・ラスムッセン、グレン・レイノルズ
脚本:ガブリエル・ゼヴィン
撮影:スティーヴ・イェドリン
編集:ハンス・カノーザ
音楽:スター・バロディ、ジェフ・エデン・フェア

<出演>
ヘレナ・ボナム=カーター/アーロン・エッカート/ノラ・ゼヘットナー/エリック・アイデム/ブライアン・ジェラティ/ブリアーナ・ブラウン/オリヴィア・ワイルド/トーマス・レノン/セリナ・ヴィンセント、他

2007年
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Re: 「カンバセーションズ」
投稿日 : 2014/08/25(Mon) 15:03
投稿者 久保田r
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 画面を左右に分割したデュアル・フレームという方法で編集されている作品。一人の男と一人の女が結婚パーティーで会い一夜を共にする一部始終を様々な視点で捉えた映像を用いて描いている。

 結婚パーティーで所在なく一人で煙草を吸っていた女性にある男性が声をかける。女性は花嫁の付添人をするためにロンドンから数年振りにニューヨークを訪れていた。男性は親しげに会話を続け、女性は距離を置くようにしながらも受け答えをしていた。二人は昔恋人同士で数年振りの再会であった。現在はそれぞれにパートナーがいるのを承知で男性は忘れられない思いを元恋人へ告白し続ける。そして女性はホテルの部屋に男性を招き入れ…。

 原題は「CONVERSATIONS WITH OTHER WOMEN」。CONVERSATION(カンバセーション)とは、訳すと会話という意味になり、タイトル通り会話を中心としている内容。会話は、相手の顔や表情、仕草や動きを見ながらするものであるので、左右に分割した画面が言葉を交わす男女の表情や動きをクローズアップしているため、男性の心情と女性の心情とをほぼ同時進行で見ることのできる他に類を見ない構成となっている。シーンによって男性の動きを目で追ったり、女性の表情から目が離せなくなったりと、その時々によって左右の画面を見る比率が変わるという何ともユニークな試み。

 ストーリー展開に意外性はないが、ポイントとなっているのは元恋人だったということ。男性は未練たらたらで、女性は男性とのことを思い出しつつも現在の生活を壊すつもりは一切なく、しかし懐かしさと一度は愛しあった仲だけに惹かれてしまう…という苦い体験を踏まえた上での大人ラブ・ストーリーが描かれている。主役の男女の年齢は40歳ちょっと前という大人であるので、体は反応しつつも即物的な行動にはならず、出来る限り距離を埋めようと言葉を交わしている点が見どころ。二人の現在のパートナーのタイプがそれぞれに真逆というのも興味を引く点で、お互いにはっきりと口には出さずとも嫉妬しているのが微妙に感じられるところが楽しい。そしてロマンチックな夜は明け、現実が待つ朝へと。

 昔の恋人との再会は胸に甘く切ない痛みを残すもの。これをチャンスと捉えた男の行動と、引っ張られるようにして受け入れていく女の行動とを、左右に分割した画面が殊更丁寧に映し出している。それは二人の表情であったり、昔付き合っていた頃の映像であったり、時に想像であったり。常に男女どちらかの表情が片方に映し出されているため、ほっと息をつく隙のない映像構成となっていて見る側にとっては少々疲れを覚えるのだが、でもそれが限られた時間の中での再会の緊迫感を表していたようにも感じられる。分割画面のため同じ場所で会話をしていても片方がどこか別の場所にいるような感覚を覚えたり、場所全体の風景映像がないためにどんな距離感で会話をしているのかといったことが分からず、見難さもあったのも事実。しかし、主役二人の表情をとことん見ることはできた。そういった点で興味深い試みの作品。
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