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「極道めし」
投稿日 : 2014/11/27(Thu) 14:39
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:前田哲
エグゼクティブプロデューサー:大月俊倫、百武弘二
プロデューサー:春名慶、小河原修、池田慎一
原作:土山しげる
原作協力:大西祥平
脚本:羽原大介、前田哲
撮影:谷川創平
美術:露木恵美子
キャスティング:田端幸一
音楽:吉岡聖治
エンディングテーマ:「上を向いて歩こう」トータス松本
フードスタイリスト:せんるいのりこ

<出演>
長岡佑/勝村政信/落合モトキ/ぎたろー/磨赤兒/木村文乃/田畑智子/木下ほうか/木野花/内田慈/田中要次/でんでん/瀬川亮/川畑和雄、他

2011年
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Re: 「極道めし」
投稿日 : 2014/11/27(Thu) 14:41
投稿者 久保田r
参照先
 「食キング」や「喰いしん坊!」などの代表作を持つ土山しげるさんの同名作品を実写映像化した劇場作品。監督は、「猿ロック」の前田哲さん。脚本は、「プリキュア」「アイシールド」などを手掛けている羽原大介さん。

 「あの時のラーメンの味どうだった?」そう問う若い女性に背を向けて栗原健太は塀の中へと入って行った。場所は刑務所。新入りとして入所した健太であったが、頑な心を解こうとせず房では孤立していた。年の瀬が迫った頃、健太のいる房では恒例行事が始まろうとしていた。名付けて「おせち料理争奪戦」。それぞれが人生で一番おいしかったものを語って一位を決めるというものであった。

 B級に対する思いをひしひしと感じる作品。作品自体がB級あふれるテイストで作られてあり、チープでユニーク。そして作中登場する「刑務所めし」を始め、各人の語りの中に登場する「思い出めし」もB級グルメばかり。唯一豪華と思えるのは牢名主の思い出めしだが、でも本当の優勝者は看守かも知れない。

 主人公の栗原健太がいつまでも孤立しているため多少の焦れったさを覚えつつも、周囲の人物たちがキャラクターの個性を活かしたテンポで展開しているので飽きはそれほど感じない。塀の中独特の時の流れを、限られた面々でそれぞれの人物に視点を当てながらテンポよく進んでいる。

 健太の思い出めしは、さすがに主人公だけあって切な過ぎた。昨今の社会現象ともオーバーラップして痛々しい気持ちになった。それでもよかったと思えるのは健太が死ななかったこと。生き続けていればいいことがあるとは簡単には言えないが、成人した健太は自分で自分のめしをどうにかできる齢になった。親を恨む人生であったとは思うが、刑務所の中で他人に語ったことで一つの転機を迎えたことと思う。

 作中で流れる「上を向いて歩こう」のメロディーがとてもいい効果を生んでいる。この曲が緩和剤となって厳しくて辛くて泣きたいばかりの人生を慰めている。刑務所の房内の光景は、これがリアルなのかどうなのかは分からないが、全然きれいではない。ここで語られるめしの話を聞いていると、おいしさとは食べ物自体にあるのではなく思い出にあるのだという食の真の意味に気づく。

 ラストは、ひとさじの救いを描いているが、これは作品上の締めであって健太の人生の救いではない。ラストの前のシーンが事実上のオチであり、そうそう都合よくはならない世の理が描かれている。
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