＜スタッフ＞
監督：三谷幸喜
製作：亀山千広、市川南
企画：石原隆
プロデューサー：前田久閑、和田倉和利
原作：三谷幸喜「清須会議」
脚本：三谷幸喜
撮影：山本英夫
美術：種田陽平、黒瀧きみえ
編集：上野聡一
キャスティング：杉野剛
音楽：荻野清子
VFXスーパーバイザー：田中貴志

＜キャスト＞
柴田勝家：役所広司／羽柴秀吉：大泉洋／丹羽長秀：小日向文世／池田恒興：佐藤浩市／織田信雄：妻夫木聡／前田利家：浅野忠信／黒田官兵衛：寺島進／前田玄以：でんでん／堀秀政：松山ケンイチ／織田三十郎信包：伊勢谷友介／お市：鈴木京香／寧：中谷美紀／松姫：剛力彩芽／織田信孝：坂東巳之助／森蘭丸：染谷将太／織田信長：篠井英介／なか：戸田恵子／小一郎：梶原善／明智光秀：浅野和之／織田信忠：中村勘九郎／枝毛：天海祐希／更級六兵衛：西田敏行、他

2013年

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　織田信長が本能寺の変で命を落とした後の後継争いを描いた作品。監督はもちろんこの人、原作者であり脚本の三谷幸喜さん。熾烈な攻防を繰り広げる二人の主人公のうち柴田勝家こと権六役には役所広司さん。羽柴秀吉こと藤吉郎こと猿役には大泉洋さんがそれぞれ演じている。

　天下統一を目の前にして本能寺の変で命を落とした織田信長の後継者を決める会議が清須にて行われることとなった。会議には宿老らが集い、柴田勝家は丹羽長秀の考えに従って三男の信孝を推し、対抗する形で羽柴秀吉は黒田官兵衛の考えに従って次男の信雄を推していた。しかし、信雄は予想以上の馬鹿であったため秀吉は旗取り大会の帰り道に出会った三法師を見て考えを変える。

　血の気の多い柴田勝家は「これは戦だ！」と鼻息荒く清須に乗り込むものの、会議であるので切った張ったの大立ち回りのシーンがほとんどないのが長所。優位な立場を手に入れようとあの手この手を考えては実行に移す様が面白く、わずかでも「これはイケる！」と思った策に飛びつくところが滑稽。周囲の人間を巻き込みながら展開して行くドタバタが楽しく、誰の人間性が豊かで誰の処世術が優れているのかを味わえる作品となっている。

　とにもかくにもキャスティングがお見事で、どれもがハマり役。出演シーンの少ない役にまで大御所俳優が名を連ねていて、うっかり見逃すとエンディングのスタッフロールを見た時に「え？いたの？」と驚くことに。私は特に「様々な声：山寺宏一」の名に驚いた。

　城にいる人物の誰もが個性的で魅力的だったのがよかった。会議に直接関係のある宿老ら以外の人物も後継争いに噛んでおり、終盤の女性たちの思惑が明かされるシーンでは真の実力者は思いもかけないところにいるのでは、という気分になった。しかし、羽柴秀吉の処世術が一枚上手。演じた大泉洋さんの表情が印象に残る作品だった。

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