＜スタッフ＞
総監督：庵野秀明
監督：樋口真嗣
製作：市川南
エグゼクティブプロデューサー：山内章弘
プロデューサー：佐藤善宏、澁澤匡哉、和田倉和利
脚本：庵野秀明
撮影：山田康介
美術：林田裕至、佐久嶋依里
ゴジライメージデザイン：前田真宏
ゴジラキャラクターデザイン：竹谷隆之
編集：庵野秀明、佐藤敦紀
音響効果：野口透
音楽：鷺巣詩郎
音楽プロデューサー：北原京子
美術デザイン：稲付正人
ＶＦＸスーパーバイザー：佐藤敦紀
ＶＦＸプロデューサー：大屋哲男
特技監督：樋口真嗣
特殊造形プロデューサー：西村喜廣
ゴジラアニメーションスーパーバイザー：佐藤篤司
キャスティングプロデューサー：杉野剛、南明日香
プロダクション統括：佐藤毅
特技総括：尾上克郎
扮飾統括：柘植伊佐夫

＜出演＞
長谷川博己／竹野内豊／石原さとみ／高良健吾／松尾諭／市川実日子／余貴美子／國村隼／平泉成／柄本明／大杉漣／犬童一心／片桐はいり／KREVA／小出恵介／嶋田久作／高橋一生／鶴見辰吾／手塚とおる／ピエール瀧／古田新太／前田敦子／松尾スズキ／光石研／モロ師岡／野村萬斎、他

2016年

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　日本の誇る世界的怪獣映画「ゴジラ」の日本版としては12年振りとなる最新作。総監督、脚本は、「エヴァンゲリオン」シリーズでお馴染みの庵野秀明さん。監督は、多くのアニメ・特撮作品を手がけている樋口真嗣さん。音楽は、「エヴァンゲリオン」の他多くのアニメ作品を手がけている鷺巣詩郎さん。出演は、長谷川博己さんが主役を務め、竹野内豊さん、石原さとみさん他、総勢328名という豪勢さ。尚作品は、2017年日本アカデミー賞にて最優秀作品賞を始めとする多くの賞を受賞。

　東京湾の羽田沖にて水蒸気爆発が発生。東京湾アクアトンネルが崩落するという重大事故を受け、政府は緊急会議を開く。火山噴火によるものと思われた矢先、謎の巨大不明生物が出現。海から上陸した巨大不明生物は、進路上の建物をなぎ倒しながら都心方向へと移動。始めは這って進んでいたが、後に姿を変えて立ち上がると2足歩行に近い動きをするようになる。政府は対策本部を設置し、自衛隊による駆除作戦を行うも失敗に終わる。対巨大不明生物のプロジェクトのリーダーとなった矢口蘭堂は、来日したカヨコ・アン・パタースンから「ゴジラ」という名前を知らされる。

　今作の特徴は、作品を見て楽しむ年齢層をこれまでよりも高く設定したところにあるのではと思うしだい。大暴れして破壊し尽くすゴジラをどう倒すかという基本柱はそのままに、監督らと同年代の40〜50代の大人が見て楽しめるものを目指した作品になっているように感じた。

　個人的に最もワクワクしたシーンは、東京駅での作戦行動。無人の新幹線や電車をぶつけ、民間の重機を使用して経口投与をするところ。このシーンは、自宅でもおもちゃの電車とはたらく車があれば再現可能なシーンであり、それは今は大人となったかつての子どもたちが、ごっこ遊びをしたシチュエーションを大々的に映像作品としたところにこの作品のワクワク感の基があるように思えてならない。

　しかし、かつての子どもたちは年齢を重ねる毎に経験と知識を得て大人となり、架空の怪獣を倒す場面だけではワクワク感は持続しない。そこに至るまでの過程が困難であることも想像できる大人となっているため、その困難＝政治的対応を現代日本ででき得る限りのリアルさをもって描写することにより、絵空事がぐっと身近なものとなって近年発生した大災害の出来事とも重なり物語に入り込みやすくなっている…と感じたしだい。

　とはいえ、この独特の早口なスピード感にはついていくのはやっと。物語の中で何が起こってどう展開していくのかを追うのが精一杯。使用カメラも捉えている構図もサイズもまちまちなため、気の休まる時間がほとんどないほど。視覚、聴覚の集中力が必要だが、しかしそれもまた後に（あのシーンはどうだったかな）と思い出しては気になってしまうという、一癖も二癖もある味のある作品となっている。

　俳優陣の芝居を楽しむか、政治的やりとりを楽しむか、自衛隊の活躍を楽しむか、はみ出し者集団が一つの目的に向かって邁進する姿を楽しむか、大暴れするゴジラを楽しむか、はたまたそれ以外の楽しみがあるかは、見る人それぞれ。見る角度によってはゴジラ作品としては若干の異質感を覚えつつも、まだまだ切り口があり物語を描く可能性があることを示している作品。劇場のスクリーンで見てこそのゴジラの迫力ではあるが、何にせよ見て感じるインパクトは大。

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