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「アウトレイジ ビヨンド」
投稿日 : 2017/10/11(Wed) 14:18
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:北野武
プロデューサー:森昌行、吉田多喜男
脚本:北野武
撮影:柳島克己
美術:磯田典宏
衣裳:黒澤和子、山本耀司(大友衣裳)
編集:北野武、太田義則
キャスティング:吉川威史
音響効果:柴崎憲治
音楽:鈴木慶一
助監督:稲葉博文

<キャスト>
ビートたけし/西田敏行/三浦友和/小日向文世/加瀬亮/桐谷健太/新井浩文/松重豊/中野英雄/名高達男/光石研/田中哲司/高橋克典/中尾彬/塩見三省/神山繁/白竜、他

2012年 R15+
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Re: 「アウトレイジ ビヨンド」
投稿日 : 2017/10/11(Wed) 14:20
投稿者 久保田r
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 巨大なヤクザ組織の下克上を描いた「アウトレイジ」の続編。監督、脚本、主演はもちろんこの人、北野武さん。前作から引き続いての出演者が多い中、西田敏行さん、神山繁さん、塩見三省さん、松重豊さんらを始めとする新たな顔ぶれも揃う。

 関東一円を仕切る山王会の会長が加藤となってから5年、組はますます勢力を強めて巨大な組織となっていた。山王会のNo.2である若頭の石原は、かつて大友組で金庫番をしていた男だったが、古参の幹部らに対して横柄な口をきくため内部で不平と不満が募っていた。そのうえ幹部らは加藤が会長になった経緯に疑問を抱いていた。マル暴刑事の片岡は、古参幹部の富田に近づき関西の花菱会の会長に相談するよう持ちかける。その話に乗った富田であったが、事態は思いもよらぬ展開へと発展していく。

 続編ではあるものの前作と同じ表現のままではなく、世界観を引き継ぎながら5年の歳月の流れをきちんと感じさせる描写となっており、登場人物たちの5年経った立ち位置の力関係から生まれる抗争が、前作を凌ぐほどのエグさで表現されている。

 ヤクザというものは、より上の立場になり優位性があるとかっこよく見えるものだが、何らかの事情で立場が危うくなり身に危険が及ぶと瞬時にしてかっこ悪く見えるのも特徴。演じている役者陣を見ていると、優位性がある時のかっこよさは当然ながら、命の危険に面した際のかっこ悪さもきっちりと演じられており、ややもするとかっこ悪い芝居にこそ体当たりの迫力が感じられ、役者とは正も負も表現し得る度胸と懐がなくてはならないのだなと感じ入ったしだい。

 今回も抗争の怖さが描かれているのだが、前作と異なるのは女性の気配が希薄なこと。ピンチの時に協力するような女性の登場はなく、ほんの少ししか女性は出てこない。そのうえ、前作で椎名桔平さんが演じた水野のような色男の活躍もなく、全編通して渋い男たちの切った張ったの怒鳴りあいが描かれている。

 前作を思い起こす演出が随所で功を奏しており、花菱会の会長前での大友と木村と西野と中田のヒートアップする煽り合いは見所。中でも中田を演じた塩見三省さんの睨みと凄みには文句なくビビる。山王会の会長役を演じた三浦友和さんは重みのある貫禄で熱演されていたし、若頭の石原を演じた加瀬亮さんは前作のような知的なシーンはなかったものの最期まで人物を演じきっていて素晴らしかった。

 今作も色使いとカメラのアングルがお見事。加えて照明の生み出す陰影が全体の奥行きを出していて素敵だった。惜しいと思ったのは花菱会の活動描写で、ほとんどが室内での描写だったために関西らしい背景が見えず、まるで山王会と隣近所のように見えたこと。会長の加藤がわざわざ出向いた移動中の表情と関西らしい背景が欲しかったかもしれない。
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