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「中性風呂へようこそ!」 新井祥
投稿日 : 2008/03/13 16:43
投稿者 久保田r
参照先
2008年3月12日 (株)双葉社 アクションコミックス

 「漫画アクション」2007年1月23日号〜7月17日号、8月21日号〜11月6日号掲載分をまとめたコミック。新井祥さんといえば、半陰陽(インターセックス)漫画家として、自身のセクシャリティーを告白した「性別が、ない!」(レビュー→http://chaos-i.com/review/comic/patio.cgi?read=76&ukey=1)の作品を通してセクシャル・マイノリティーの世界を広く発信している漫画家で、今作ではそのセクシャル・マイノリティーならではの悩みや用語解説をメインとした作品を描いている。言わば、セクシャル・マイノリティーの教科書的なコミック。教科書的と言っても小難しい表現は一切していないので、セクシャルなネタを愉快にあっけらかんと読むことができる。

 本のタイトルを見た時に、何故「風呂」なのか疑問だったのだが、中を読んでみてすぐに分かった。中間性の人は、服を着ていると男性又は女性の外見であったりするので、その人の中間性がどういったものであるのか分かりやすく伝える為に、裸でなくては入ることのできない「風呂」を舞台にしているとのこと。その為、登場人物のほとんどが裸。大事な部分はさすがにボカシが入っていたりタオルで隠してあったりするが、それでも男性でもあり女性でもある中間性の人達が一つの風呂場であーでもないこーでもないと談義している絵柄は、結構濃い。読んでいるうちにキャラクターの誰がオカマでオナベなのかよく分からなくなってくるほど、男性と女性の境界が薄れており、実生活で男だから女だからと区別しているのがナンセンスに思えてくるほど、当コミックでは中間性について篤と知ることができる。

 ホルモンにより男性化したり女性化したりする人間の体は、60兆個にも及ぶ細胞から出来ている割に単純だな…と感じところがあるが、その分脳は複雑に出来ており、単純に「男・女」で括ることができない複雑な性志向を生む。持って生まれた体の外見とは違う方向へ意識が向かったり、外見はそのまま中味は異性という意識を持ったり。今まで陽の当たらぬ場所でひっそりと息づいていたそれらの性について、このコミックでは声を大にして存在をアピールしている。

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