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「宇宙戦艦ヤマト2199」 むらかわみちお
投稿日 : 2012/09/27 17:57
投稿者 久保田r
参照先
2012年7月10日 角川コミックス・エース

原作:西崎義展/キャラクターデザイン:結城信輝/協力:宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会

 「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク作品「宇宙戦艦ヤマト2199」のコミック版。筆者のむらかわみちおさんは「ヤマト」ファンであり、ゲームソフト「遥かなる星イスカンダル」のコミックアンソロジーで作品を執筆しており(作品名「会戦」)、「2199」ではデザインを担当し、また監督である出渕裕さんとも友人関係にあるという人物。

 当第1巻は、アニメの第1章にあたる第1話と第2話のストーリーを収録。ガミラスとの決戦から始まり、イスカンダルからのメッセージを受け取ってガミラスの巨大ミサイルを爆破してヤマト発進まで。アニメとほぼ同じストーリー展開ながら、アニメでは見られなかったシーンや若干のシーン入れ替え等があり、アニメと併せて読むとよりぐっと「2199」の世界観が深まる内容となっている。

 コミック版ならではの見せ場となるシーンは、土方がヤマトに迫る巨大ミサイルの軌道を変えようと「きりしま」で出撃したシーン。発進まで時間のかかるヤマトを守るために土方が修理中の艦で出撃し、巨大ミサイルに向かって応戦するシーンは胸が熱くなる展開。「「きりしま」です」と聞いた時の沖田艦長の表情と、「沖田すまん」と言った土方の表情が、二人の友情を示していて感動的。

 このシーンの前にも真田志郎が電力をヤマトへ送るシステムを説明するシーンや、格納庫での古代と加藤の会話シーンなど、ミック版独自の見せ場があり、なかなかに読み応えがある。「2199」は、旧作と比べて軍事的な呼称に昔風の言い回しが使用されているため、アニメでは聞き取れても意味が今ひとつピンと来なかった台詞がコミックでは文字として読むことが出来るため理解力が深まるのもよいところ。コミックならではのよさを活かした今後の展開に期待。

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第6巻
投稿日 : 2016/09/27(Tue) 15:45
投稿者 久保田r
参照先
2015年1月26日 角川コミックス・エース

 ドメルが叙勲のためにガミラス本星へ帰還した際のエピソードと、アニメの第14話「魔女はささやく」を描いた第6巻。そういった内容のためガミラス寄りの描写が多め。

 アニメでは描かれないシーンを盛り込んであるのが漫画ならではの良さ。本星へ帰還したドメルのエピソードでは、娘の墓参りのシーンでシュルツの娘が登場してドメルと会話をする。ヒルデが泣きながら亡くなった父への思いを話し、ドメルが優しく諭すように語る。この会話の後のエリーサの「子供を見ると息が苦しくなる」の台詞が切ない。

 「魔女はささやく」は、衝撃的なミーゼラとミレーネルのキスシーンで幕開け。ほぼアニメと同じ展開ながらヤマト乗組員が見る夢の内容に漫画独自のシーンがある。相原の過去や伊東真也の過去など。どれもが辛く悲しい過去の描写が長々と続いているため気が滅入る。だが、これがミーゼラたちの仕掛けた罠のため仕方なしか。

 全体を通して使われている言葉に抽象的な部分が多く、また言葉の並びからして長編の詩を読んでいるよう。私は「ヤマト」に対してこういう詩のような世界観を感じたことはなく、それとは対照的な具体的な言葉のやりとりをする作品と感じているため違和感がある。「2199」の設定は旧作よりも軍の組織などリアリティを打ち出しているのに、会話はストレートに聞き取れない言葉遣いが多く、知的さは感じるけれども少々分かり難い。今はこういうのが流行りなのだろうか。

 流行りといえば、お色気度がますます増していて引き気味。ことさら女性キャラの胸を強調した画や下から覗くようなアングルが多く、同性として目の遣り場に困る。私は「ヤマト」にこんなお色気ばかりを望んではいないので、この作品の読者には向いていない気がして来た。それに女装子×女、兄×妹、女×女と、およそノーマルとは言えないキスシーンが描かれている。これに男×男のキスシーンが仲間入りしたら私の中での評価は変化するけれど、きっとないだろうなぁ…。ターゲットとしている読者層が違うのだものね…。セクシャル・マイノリティを広める作品じゃないからね…(たぶん)。でももし登場したらその勇気を心より称えます。

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第5巻
投稿日 : 2015/01/19(Mon) 15:41
投稿者 久保田r
参照先
2014年7月26日 角川コミックス・エース

 ドメルに始まりドメルで終わっている第5巻。話のスタートは、アニメの第11話「いつか見た世界」の冒頭と同じくドメル率いる第七戦闘団 vs ガトランティスの戦いから。華麗な指揮で勝利を収めたドメルのもとに特一級デスラー十字章授与式のための召還命令が伝えられる。一方のヤマトはワープが中断したため宇宙の墓場サルガッソーに入り込んでいた。サルガッソーにはガミラス艦も迷い込んでおり、脱出の策を伝えるためにメルダ・ディッツ少尉がヤマトにやって来る。提案された方法により双方とも脱出できたものの、ガミラス艦はヤマトを追って来たゲールにより沈められてしまい、メルダは帰る艦を喪ってしまう。ヤマトの中で尋問を受け続けるメルダと山本の間には感情の小競り合いが続き、遂に二人は互いの戦闘機に乗って宇宙に飛び出す。そして本国へ帰還したドメルは、賞賛の声を浴びることに憂いを覚えていた。

 見せ場シーンがほとんどアニメと同じのため特筆すべきシーンはないものの、言い換えれば全てが見せ場であり、ガミラス人との接触から生まれるドラマを漫画で丁寧に読むことのできる内容。漫画ならではのシーンを強いて一つ挙げるとすれば、山本兄妹の仲の良さの描写かと。玲は相当なブラコンだったことが描かれており、兄の死の真相の衝撃がドラマチックに描かれている。

 メルダの登場により女性キャラの登場率が高く、ボンッキュッボンッのラインをたくさん見れるのが目に楽しいところ。雪と山本の入浴シーンは、なんと5ページ半もあり。私はその前のトレーニングシーンの方が楽しいが、目に楽しいといえばガミラスのおっさんたち。どのおっさんも表情豊かで憎めないかわいさ。中でもゲールの愛嬌さが群を抜いている。

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第4巻
投稿日 : 2014/12/10(Wed) 13:36
投稿者 久保田r
参照先
2014年1月15日 角川コミックス・エース

 ヘリオポーズの通過と、太陽系赤道際の様子と、恒星グリーゼ581にて巨大なフレアに阻まれながらガス生命体に追われる危機を描いている第4巻。太陽圏境界面であるヘリオポーズを越えると地球との交信が出来なくなることから、沖田艦長は乗組員に地球との最後の交信を許可する。同時に故事に倣って赤道祭が催され、宴会ムードの中、乗組員はそれぞれに太陽圏との別れを惜しんだ。ヤマトの進路上に大きなフレアを放出する恒星グリーゼ581が出現する。後方にはガス生命体の変異体までもが出現し、飲み込まれぬようヤマトは慎重に進むしかなかった。そこに直径62,000kmを超える巨大なフレアが現れる。進むことも戻ることもできない状況に沖田艦長は波動砲発射を命じる。

 ヘリオポーズの通過に伴う乗組員たちの悲喜交々が丁寧にたくさん描かれている内容。後半にはガミラスの兵器のガス生命体とシュルツの登場もあるが、読後に印象にあるのは赤道際のこと。地球と最後の交信をする乗組員たちの様子もさることながら、古代が徳川や沖田艦長に対し人が殺しあう戦争に対してどう向き合うべきかと尋ねる心境や、交信相手がなく居場所のない古代と山本玲が艦外作業を手伝う様子や、展望室で古代と雪が互いのことを語り合って太陽圏に「さようなら」を言う様子など、割に古代のモテモテのシーンが多い。これに類するようにか赤道祭でコスプレをしている乗組員が多く、作者が楽しみながら描いている様子が伝わってくる。原田真琴のメイド姿はアニメでもあったが、山本玲がネコ耳をつけていたり(ネコ手と首輪まで持ってた)、星名透がメイド姿をして男の娘になってたり、真田がウル○ラマンの面を持っていたりと、あちらこちらに遊び心が窺える。その中で気に入っているのは、コスプレではないけど平田一のエプロン姿。『III』で見た印象が強いからかも知れないが、彼ほどエプロンが似合う人はいないように思う。他にも山本玲のシャワーシーンや岬百合亜と星名透のキスシーンなどサービスショットもあり。

 巻末には、ヤマトの第一艦橋の設定資料を収録。

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第3巻
投稿日 : 2013/07/19(Fri) 16:44
投稿者 久保田r
参照先
2013年6月26日 角川コミックス・エース

 ガミラス冥王星基地との決戦を描いている第3巻。エンケラドゥスを発進したヤマトは、冥王星にあるガミラス基地を殲滅するためメ2号作戦を発動する。作戦会議の席上、南部はロングレンジでの波動砲発射を提案するも、沖田艦長はそれを却下。航空隊との連携により艦砲射撃により敵基地を攻略する作戦を練る。一方、ガミラス冥王星基地司令官シュルツは、ヤマトが冥王星へ来ることを想定し、ある作戦を思いつく。それは、遊星爆弾の発射システムを応用し反射衛星を利用してヤマトを攻撃することであった。この攻撃により死角からの攻撃を受けたヤマトは冥王星の海へと沈む。古代、加藤ら航空隊は、2機1組となって敵基地の捜索を続けていた。

 丸々1巻、シリーズ前半の節目となるガミラス冥王星基地との決戦が丁寧に描かれている。そのため集中して読むことのできる内容となっている。ヤマトでは山本が主計科から航空隊へ転属するという変化があるが、これを除くとほとんどがガミラス冥王星基地のシュルツ司令にドラマがある。愛娘ヒルデの立体ビデオメッセージを見る姿には家族への愛情が感じられ、部下のガンツとヤレトラーは司令を父と慕い、シュルツが温かみのある人間であることが分かる。また、ヤマトが必ず冥王星に来ることや波動砲を使わない理由などの洞察力にも優れており、司令官にふさわしい器が備わっているため人柄の良さを知るにつけ切なさの募る人物として描かれている。

 アニメでは、反射衛生砲のリフレクターや冥王星の海に沈むヤマト、遮蔽フィールドなどが美しく描かれてあって見応えがあった。コミックでは、台詞の一言一言に力があり登場人物の性格がよく描かれてあって読み応えがあって良かった。お気に入りのページは、P42〜45、P61〜62、P135〜140。いずれもシュルツと部下の見せ場のページ。心打たれる会話のシーン。

 巻末には、ガミラスのメカ設定資料と出渕裕監督インタビューを収録。

 追記。
 最後のページの総統閣下のお姿を見て(まるでBL…)と思ってしまいました。そのくらい美しくてアンニュイなお姿であります。
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第2巻
投稿日 : 2013/04/24(Wed) 15:51
投稿者 久保田r
参照先
2013年1月12日 角川コミックス・エース

 地球を発進したところから、ワープテストを経て木星でガミラス基地を波動砲の威力で大陸ごと消滅させ、エンケラドゥスでヤマトの修理中に古代と雪と真琴とアナライザーのメディック班が救難信号発信源の艦へと向かったところガミラス兵に襲われ、コスモゼロの救援により助かり、遭難艦は古代の兄が乗っていた「ゆきかぜ」であった…というところまでを描いている第2巻。

 アニメのストーリーをベースとして見せ場となるシーンはほぼ同じながら、漫画独自のシナリオ構成によってアニメとはひと味違う泣き所がある点が特色。台詞を読むという漫画の利点を活かし、ぐっと人間性の描写に深みが増しているため各キャラクターの心理描写がアニメよりも丁寧という印象。漫画ならではの特性を活かした乗組員たちの喜怒哀楽豊かな表情を見ることができる。

 古代のことが気になる雪の行動と表情が可愛らしい。エンケラドゥスで古代と雪の様子をじっと観察する真琴嬢は、第2巻のMVP候補。明るい性格に好感が持て、彼女が登場するとどんな行動をしてくれるのか期待が持てる。

 第2巻の一番の泣き所は、古代がゆきかぜの記録を聞くシーン。第1巻では描かれていなかった沖田艦長と古代守のシーンをここでたっぷりと見ることができる。兄の背中を見つめる古代の視線が切なく、何度読み返しても胸に迫るシーンとなっている。

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