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「私を月まで連れてって!」 竹宮惠子
投稿日 : 2009/03/13 16:04
投稿者 久保田r
参照先
 '80年代に描かれたSFコメディ作品。時代設定は、21世紀後半となっていて、超能力者のニナと宇宙飛行士のダンを主人公とし、二人を取り巻く愛すべき愉快な家族たちと共に次から次とやって来るハプニングに対してドタバタ劇を繰り広げるというもの。

 ニナとダンの歳の差はなんと16才。10才のニナが父親と一緒に行った火星の宇宙港で26才のベテラン宇宙飛行士のダンと出会い、二人の付き合いが始まる。ニナ一家とダンの住んでいる部屋は、同じメゾネット内の隣同士。超能力者であるニナの能力を活かし、テレポーテーションをしたり、時間移動をしたり、思考を読んだりと、二人の周囲で起こる不思議な現象の謎解きが楽しい。また、ニナが答案を刷り替え、ニナに替わってスペシャル・チャイルドに選ばれた兄のアーチーと、ダンの家のハウス・キーパーのおヤエがいい味を出していて、アーチーが自力で思考ロボットを製作するも家族が扱うことが出来ず、一旦は棄てられたが、それをおヤエが拾い、自分専用の完璧なアシスタントにしたり、実はおヤエは由緒正しい公家の出身であり、資産家のハリアンから学生時代からプロポーズを受け続けるもずーっと拒否していたり(ある日ひょんなことからプロポーズを承諾するが)と、とにもかくにも身近な問題から宇宙事故までスケールの大小に関わらずSFの楽しさが味わえる楽しい作品。

 私は、竹宮さんの作品は「変奏曲」が一番のお気に入りなのだが、その次に気に入っているのがこの作品。ニナとダンの凸凹コンビが可愛らしく、また裏の主役とも言えるおヤエの存在がスパイスとなっていて楽しい。'80年代の作品とはいえ作品世界が色褪せておらず、20年以上経った今でも古めかしくなく未来設定の物語として楽しく読むことができる。SF作品として大切な未来に対する”夢見気分”がふんだんに詰まっている。きっとこの作品は、この先も永く愛されていくことと思う。

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