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「スカルマン」石ノ森章太郎+島本和彦
投稿日 : 2003/01/21 22:51
投稿者 Excalibur
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特殊な能力を持って生まれた青年・神楽達男。幼き日に両親を殺された彼は”スカルマン”となって、変幻自在の人造生物ガロと共に復讐を果すべく暗躍するという短編コミックである。目的の為なら罪のない人までをも手にかける”スカルマン”は、ヒーローというにはあまりにもダークな存在だが、遂に突き止めた両親の仇である政財界の黒幕的人物が、実は・・・という、最後の最後に価値観を逆転させてみせる展開は後のヒーロー物の原型と呼んで差し支えないだろう。実際に『仮面ライダー』は、この作品をベースに考えられていた時期がある。結局”ガイコツ男”のデザインは否とされ、それを発展させてあの傑作デザイン”バッタ男”が生み出されたという経緯もあるので、文字通り『仮面ライダー』のプロトタイプ品でもある。殊に主人公が追いつめる”敵”と、原作版『仮面ライダー』のショッカーの正体、どちらも人間社会に巣食うものという共通性が見受けられるのも興味深い。

短編として完結している物語ではあったが、晩年石ノ森章太郎は続編を構想。そのプロットを元に、熱狂的石ノ森ファンを自認する島本和彦が筆を執ったのが、シリーズ版『スカルマン』である。
どこまでが石ノ森の原作プロットにあり、どこからが島本のオリジナルかはわからないが、石ノ森御大直々のご指名とあってその入れこみ具合は半端ではなく、短編版から構図から何から大胆に引き写したシーンがあったり、他作品からシチュエーションを流用したりと、石ノ森へのオマージュは徹底している。
例えば中盤から登場する飛岡剛なるキャラクターは、仮面ライダー本郷猛を演じた藤岡弘ソックリで(更にその相棒・大滝は、原作マンガ版滝和也そのまんま!)、後にバッタを模したモンスターへと改造されてしまうのだが、終盤ではバイクに乗って大活躍するという念の入れようだから恐れ入る。他にも”スカルマン”と似たような運命を背負った男として、名乗りこそしないが島村ジョー(!)と邂逅するエピソードもあり、更にラストでは時空を超え(?)変身忍者嵐をはじめ、キカイダーやキョーダイン、ゴレンジャーら石ノ森ヒーロー総登場で締めくくるなど、ここまでやるかのリスペクトぶりを披露している。
島本の絵柄は本来石ノ森タッチとは全く違うものだし、その過剰な思い入れが空回りしている部分もなきにしもあらずだが、その熱気故か読み進めて行くうちに石ノ森作品の匂いがしてくるから不思議なものだ。
かつては別々に単行本化されていたが、現在ではまとめて文庫化されているので一気に読むことが出来る。

AT−Xの著名作家のアニメ化シリーズ(?)にこの作品がラインナップされて久しいが、短編版がベースなのか、シリーズ版をベースにするのか、はたまたオリジナルになってしまうのか、不安ではあるが一面の期待をも持ってはいる。
なお、かつて実写化が検討されたことがあったそうだ。企画を持ちこまれた東映は、ゴーサインを出さなかった。続いて打診された円谷プロはOKしたものの、今度は権利関係がクリア出来ず結局は別作品として製作せざるを得なかったと聞く。そして完成したその作品こそ、京本政樹監督・主演の『髑髏戦士スカルソルジャー/復讐の美学』・・・唖然。
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