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「BRONZE -ブロンズ-/ZETSUAI since 1989」尾崎南
投稿日 : 2003/10/02 15:13
投稿者 久保田r
参照先
集英社 マーガレット連載
「絶愛-1989-」全5巻「BRONZE -ブロンズ-/ZETSUAI since 1989」全13巻 完結

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 ENDLESS & START ───。終わりのない始まり───。

 「BRONZE/絶愛」終結…。
 ようやく解放されました。半分ほど休載しながら、長きに渡って延々と紡がれて来た彼らの愛が、今やっと誰の目にも明らかな区切りを迎えて、結ばれました。
 結ばれた、という表現は、適切ではないかも知れませんが、最後の最後で拓人と晃司の気持ちが、同じ高さで、同じ熱さでスタートラインに立った、という意味で、「これからがまだたくさんある!!」という、拓人の最後の言葉通り、これが彼らの正式な成就であると思いました。
 振り返ってみて、この「絶愛」は、晃司=南さんのストーリーなのであると感じました。13巻に至って、最終に向かって下るストーリーが、延々晃司の身辺で描かれてあるのを読み、これは、一生を賭けた南さんの心の語りなのだ、と、痛いほどに感じました。拓人=南さんであり、晃司=南さんであるのは、充分に分り切っていることですが、南さんの心の世界の語り部として、俳優=晃司は、最も近しい距離であるとこの最終巻から感じました。
 彼らのような愛は、次世代に繋がる「未来」がなく、あるのは、命の繋がりのない「破滅」です。故に彼らは、「破滅」を繰り返し、互いの存在価値を相手に重く、重くのしかけて行くのですが、心の闇をとことん突き抜けようとするあまり、彼らの行方は、ハッピーエンドはあり得ない、と、想像していました。作品としての終結を迎える以上、ハッピーエンドが望ましい形であるのは、多数決の論理で明らかですが、それでも彼らのような愛は、それを覆して、アンハッピーエンドで良い、と、思い込んでいました。しかし、最終に登場した拓人の台詞は、二人の愛にがらりと道を開き、読者にも、作者にも、登場人物にも、この後の人生に対して余韻を残して終わる結末となりました。拓人の台詞により、作品の世界観が、作者の緊縛から解放されたのです。
 何とも言えぬ読後感です…。「これで終わり」という作者のエゴによる終結も許されていた筈なのに、「解放」という終結によって「絶愛」が終わりました。終結という表現は、相応しくないのかも知れませんが、作品としてはこれで終結し、後に、作者を含めた個々それぞれに拓人と晃司の人生の「未来」が許されました。不思議な読後感です。あの拓人と晃司に、このような道が開かれようとは、夢にも思いませんでした。
 多くのメディア展開を含み、多くのファンによって長きに渡って支えられて来た「絶愛」。拓人と晃司の絶対の愛。この二人の愛に惜しみない愛情を───。
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第14巻
投稿日 : 2006/06/08 13:59
投稿者 久保田r
参照先
 うをを〜〜い!前巻で終りではなかったのですかいっ!?…と、思わず大きくツッコミの手を入れてしまいそうになった第14巻。泉を主役としたストーリーを描いていたのは知っていたけれども、やはり続巻として出たのね…と、例えようもない複雑な心境でコミックを購入し、読んでみてこれまた終りのようで終りでない確かに作者の仰る通り終りのない螺旋状態になって続いているのだなと感じた次第。

 これはもう作者のお得意の分野で描かれており、彼らの命は永遠に不滅で、どんなに血を流しても死ぬことはなく、死に憧れながらしのぎあって生きていくそんな世界になっています。漫画の世界なのでアリなのですが、しかしリアリティとはまた別の次元にとっぷりと浸かっているので、この後どのような世界が繰り広げられようとも(別世界の住人になるとか)驚きはないという感じであります。

 しかし、泉と晃司の愛は現実のもので語れるレベルにないほどの高さに昇っていますので、精神的世界を表現しているこれらのリアリティの薄い世界でも、彼らの存在は薄れることはありません。ここまで彼らを連れて来たのは作者の手腕によるもの。作者がとことん描こうとしている彼らの世界は、永遠に終わることのない彼らのみに許された世界です。

 この第14巻は、ゲストキャラ的な存在だった緋奈透織が、とんでもない重要人物であるという展開。この緋奈透織は、晃司の父の弟、南條漱志を監禁状態で保護しており、南條家の屋敷で、泉、克己、広瀬、晃司ら全員の前で正体を明かす。満身創痍の泉と晃司の明日は──。…という、終りのない螺旋状態のままの締めで第14巻は終了。コミックを読んでどう感じるかは読む人の好みそれぞれ。作者の思いをとことん感じることの出来る内容です。
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と、思ったら
投稿日 : 2004/03/28 22:44
投稿者 久保田r
参照先
 <新連載>として、「BRONZE」が再開しているではありませんか!(爆)
 私が、「これで最後」だと思って、真面目に切々と書いた上(↑)のレビューは何だったんでしょうか(笑)。
 「漢」だねぇ…尾崎南さん…。いやまったくもって「漢」です。「やめる」と言いながら続く辺りが「漢」(笑)。こうなったらとことん行く末を見守りたいと思います。

 晃司側のストーリーで終えた前回の終わりから、今度は、拓人側のストーリーからスタートしている<新連載>。前回のストーリーとのリンクもバッチリ。新たなな歩みが今ここに。
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