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「僕だけが知っている」 竹宮惠子
投稿日 : 2009/07/03 13:21
投稿者 久保田r
参照先
1991年2月17日 (株)角川書店 あすかコミックス

 表題作は、サイキック・ファンタジーを描いた「僕だけが知っている」。同時収録の「誰にもやらない」は、多重人格者の少年と心理学を専攻している青年のストーリー。2本立て。

 「僕だけが知っている」は、病気がちな10才の少年・祐太が主人公となっていて、祐太は不思議な能力を持っており、ポケットにビデオテープを入れておくと自分の見た物が全て映り込み、テレビに触れると映っている物が意思を持って喋りだすというもの。また、守護神として三つ目の鬼がついており、この鬼の能力により祐太は殺された女性の遺体を発見する。

 病気がちの気弱な少年…は、竹宮作品によくある少年像で、こういった少年を見るだけで竹宮作品の特長に触れられる作品であるし、ファンタジーな要素も竹宮作品の良さ。祐太についている守護神の鬼は、人間の姿になると長髪の美青年だし、祐太を支えるESPの那智は、気丈な女の子で頼りになる存在。祐太を中心として魅力的なキャラクターが脇を固めている。

 「誰にもやらない」は、中学生という難しい年頃の少年と大学院生のストーリーで、二人の住む家はお隣同士なのだが、大学院生の誠が昔に言ったことを真に受けて中学生の尚之は多重人格者となってしまう。責任を感じた誠は、様々な性格の顔を持つ尚之を目覚めさせんがために荒療治に出る。

 思春期の少年の不安定な表情をいくつも見ることのできる点は、竹宮作品の良さでもあるのだけど、少年特有の向こう見ずな点は私的にはちょっと苦手(あと女性キャラクターも)。でも、表題作と比べると現代的な作品となっているので、読みやすさは上。


<収録作品>
「僕だけが知っている<序>」
「僕だけが知っている」
「誰にもやらない<前編>」
「誰にもやらない<後編>」

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